「事故なしに荷物が届く」ということが、フランス人にとって冗談の一つとなっているクロノポスト。

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ますます存在感が増しているインターネット通信販売。フランスでもその流れは変わらない。どれくらいのフランス人がインターネットで買い物を楽しんでいるのだろうか。

仏調査会社メディアメトリによれば、3190万人のフランス人(フランスの総人口は約6500万人)が2012年第3四半期にネットショッピングを利用したそうだ。これは2011年と比べて140万人増えたという。今年の同国におけるネット上での注文総額は450億ユーロ(約5兆円)になると予想され、そのうち90億ユーロ(約1兆円)が年末に消費されると予想されている。

ネット通販利用者の平均購入金額は1人88ユーロ。25歳から34歳までの年齢層の90%が、その顧客になっているという。一方で50歳以上は74%と割合は低くなるが、それでも依然高い数字を出している。

フランスのネット通販最大手はアマゾンだ。フランス国内に3ヵ所(中部ロワレ県サラン、ソーヌ・エ・ロワール県スブレ、ドローム県モンテリモール)の物流拠点を持ち、広さは15万6000平方メートル(サッカーコート約21面の広さ)を誇る。出荷がピークとなった年末は、4000人の従業員が交代で1週間24時間を休みなく働き、フランス国内はもとより、海外200カ国に向けた出荷が続いた。

仏ディレクト・マタン紙によれば、昨年末アマゾンは24時間に42万点の商品を扱った。これはトラック1台分の商品を7分ごとに出荷させる計算になるそうだ。さらに全世界では、アマゾンは1日で900万点の商品を扱ったという。

毎年より多くの人がネット通販を利用していく一方で、フランスでは配送の不正確さが、しばしば問題となっている。特に仏郵政公社ラ・ポストの子会社「クロノポスト」による配達不備は日常茶飯事だ。

誤って違う住所に配達される。配送スタッフが家のベルを鳴らさず(受取人が在宅か否かを確認せず)不在票を置いていく。不在票に記載された受取先に出向いたものの、そこには荷物はなく別の物流センターに留めてあるなど、配達事故はかなり多い。日本からEMS(国際スピード郵便)をフランスへ送る際も、同国内での配送はクロノポストが担当しているため、その点は留意した方が良い。
(加藤亨延)