850周年を迎える夜のノートルダム大聖堂。

写真拡大

今年850年を迎えたパリのノートルダム大聖堂の記念行事が先月12日から始まった。同行事は1年を通しておこなわれ、11月24日まで様々なイベントが続く。

まず昨年末には、記念行事の開会式とミサが先行しておこなわれ、厳かな雰囲気の中、多くの人々が聖堂内で祈りを捧げた。今回の記念行事の目玉は、塔の鐘の新調だ。1856年に鋳造された4口(こう)の鐘は昨年2月にすでに取り外されており、新たに造られる8口の鐘と1口のテナーベル(12.8トン)が同聖堂の南北両塔に据えられる。2月2日に一般公開、3月23日に音色が披露される予定だ。歴史的にも鐘は今まで幾度か鋳直されてきた。今回の作業によって、同聖堂には1769年当時の音色が再現される。

グランド・オルガンも20年ぶりに修理され、1万2000本あるパイプも清掃される。そのほかにもコンサートがおこなわれたり、聖堂内のライトアップが新しくなったりと、今回のイベントの費用は、総額で6500万ユーロ(約7.3億円)が見積もられている。

今から850年前といえば日本は平安時代。同聖堂の歴史は、1163年に当時のローマ教皇・アレクサンデル3世により礎石が据えられたことに始まる。1345年に至るまで工事は幾度も続けられ現在の姿になった。

ノートル(=私たちの)ダム(=貴婦人)とは聖母マリアのこと。建物全体の大きさは長さ128m、幅40m、塔は96m、内部は4800平方メートルの広さを持つ。ナポレオン1世がここで戴冠式をおこなったほか、1924年には同聖堂の前にある広場が全フランスの道路距離の起点として定められた。現在では毎年1400万人が訪れるパリ市内でも有数の観光地となっている。

ちなみにノートルダム大聖堂はパリ発祥の地であるセーヌ川の中州・シテ島の要の場所だが、パリで現存するもっとも古い教会ではない。パリで最古の外観を持つ教会は、ノートルダム大聖堂からすぐのところにあるサンジュリアン・ル・ポーヴル教会だ。12世紀に建てられたと言われている。またパリでもっとも古いモニュメントは、コンコルド広場に立つエジプトから贈られたオベリスク。かつてエジプトのルクソール神殿にあったものだ。
(加藤亨延)