ガレット・デ・ロワを買うと金色の紙製王冠が付いてくるので、王様になった人はこれを冠る。

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フランスにも王様ゲームがある。その名もガレット・デ・ロワ(galete des rois:日本語訳すると「王様たちのガレット」)。日本の七草粥のように、フランスでは1月に食べる料理の一つで、その時の作法がさながら日本の王様ゲームのようなのだ。どのように食べるのか。

ガレット・デ・ロワのルールとは、ガレットを人数分に切り分けた際に「フェーブ」が入った1片を引き当てた人がその日の王様となり、皆から祝福されるというもの。フェーブとは、パイ生地でできたガレット内に仕込まれた人や物の形をした小さな陶器のこと。切り分けた各片をどう配分するかは、参加者の中にいる最年少者が決める。最年少者はフェーブが入った1片が分からないように、時にはテーブルの下に隠れるなどして決める。そして皆で一斉に食べて、自分のガレットにフェーブが入っていたら申し出るというものだ。

ガレット・デ・ロワは家族みんなでおこなうゲームなので、王様になったからと言って、日本の飲み会の席での王様ゲームみたいな状況にはならないが、それでも結構盛り上がる。本来は1月6日の公現祭の日(東方の三博士がベツレヘムに誕生したキリストを訪れたことを記念する日)に食べるものだったが、1月中ならガレット・デ・ロワはパン屋やお菓子屋の店頭に並んでいるし、このゲームもおこなわれている。ちなみに「ロワ(王様たち)」とは東方三博士のことを意味している。

フェーブは店によって、毎年色々と趣向が凝らされているので、今年はどのようなフェーブが現れるかもガレット・デ・ロワの楽しみ方の一つだ。また、ガレット・デ・ロワのレシピはシンプルだが、シンプルゆえにその店の技術や特徴の差が出るという。ゆえに様々な店舗のガレット・デ・ロワを食べ比べてみるのも面白い。

最近は日本でも、このガレット・デ・ロワを扱う店が増えてきた。日本の場合は、誤飲防止のためフェーブがアーモンドなど食べられるもので代用される場合が多いが、趣旨に変わりはない。1月は残り約1週間。まだ間に合うので、ぜひフランス初の王様ゲームをお試しあれ。
(加藤亨延)