ポテト抜きのセットの登場は、バンズに本格的なバゲットを使用した仏マクドナルドのサンドイッチ「マックバゲット」以来の衝撃。

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マクドナルドのハンバーガーのセットメニューからポテトが消えた! 今フランスでは衝撃の事実が進行中だ。マクドナルドでセットを頼む時、ドリンクをコーラにするかファンタにするか、それとも健康を考えて爽健美茶にするか迷うことはあったが、ポテトはオートマティックについてきた。「おい」と言えば「はい、あなたお茶」と夫婦で通じ合うような、欠かすことのできない存在だった。そのポテトが消えた。

ただし消えたと言っても、すべてのメニューからポテトが消えたわけではない。もちろん今まで通り「サンドイッチ&ドリンク&ポテト(もしくは代替のサラダやスイートコーン)」のセットはあるが、新しく「サンドイッチ&ドリンク」のセット4.5ユーロ(約540円)を仏マクドナルドは今月から売り出したのだ。

この試みは仏マクドナルド史上初めてのことだそうだ。今回は期間限定でおこなわれているが、好評だった場合は定番セットとして販売していく予定だという。なぜ今回のような導入に至ったのか。

じつは仏マクドナルドには巨大な敵がいる。それは街中のパン屋。そこではバゲット(フランスパン)にハムやチーズなどを挟んだ、各パン屋が趣向を凝らしたサンドイッチが売られており、多くのフランス人が日本のコンビニおにぎりのようにそれらを買いランチを済ます。パン屋では「サンドイッチ&ドリンク」のセットメニュー5ユーロ(約600円)前後を設けていることも多く、仏マクドナルドにとっては大きなライバルとなっている。

フランスにおけるサンドイッチの割合がどれほど大きいものかというと、生活環境を調べている仏機関Credocによれば、フランス人の10人中8人はパンを毎日食べ、なおかつフランスはハンバーガーよりサンドイッチが多く売られる国だという。ハンバーガーだけでなく、通常のサンドイッチ客をいかに押さえるかが、仏ファーストフード業界での重要な点なのだ。

今回のポテト抜きのセットには「ル・ミクスト(Le Mixte)」「ロリエンタル(L’Oriental)」「ル・ピュレ・ポワーヴル(Le Poulet-Poivre)」という3種類のサンドイッチが用意されている。それぞれのパテは、ハムとフロマージュブラン・ソース、ハンバーグとオリエンタル・ソース、フライドチキンと胡椒ソースが挟まれ、これらを彩るレタスとエメンタルチーズは各サンドイッチ共通だ。なおロリエンタルのみハンバーグが入っている。

そして忘れてはいけないのがハッシュポテト。これも各パテと一緒に挟み込まれ、食感に良いアクセントを加えている。……そう、仏マクドナルドはセットからポテトを無くしたものの、なんだかんだ言いつつもこっそりとサンドイッチ内にポテトを残していたのでした。
(加藤亨延)