日本代表が2014年のW杯で、どのぐらいの成績を目指すのか? 決勝トーナメント進出というのは当然だと思いますが、ベスト8、ベスト4、更にその先、という事になってくると、そのためにザックが残りの時間でやらなければならない最大の仕事は、セントラルラインの強化、という事になってくるのではないかと思います。すなわち、CFとトップ下、2ボランチ、2CB、という中央の縦のラインの強化ですね。そのセントラルラインが、もし世界の強豪国と並ぶような強さを持ち得れば、南アフリカW杯以上の成績というのが望めるようになってくるのではないかと思います。

まずはCFとトップ下。この前方の中央の2人が、ザックジャパンの攻撃の機能性の70%から80%を握っていると考えてもらっても良いと思います。ザックが目指している、縦に速い攻撃、中央をオトリとしたサイドからの攻撃、それを高いレベルで機能させられるかどうかは、CFとトップ下の選手のパフォーマンス、起点力、その高低にかかっていると言えると思います。縦に速い攻撃を機能させるためには、CFとトップ下がしっかりとボールを収め、尚且つ、そこから良い攻撃を展開させられるようにならなければならず、中央をオトリとしたサイドからの攻撃を機能させるためには、まずはオトリ役の中央が相手の脅威とならなければならない、という事ですね。

従って、そのCFとトップ下の選手を誰にするのか、というのは、これからも厳しい目とアイデアと柔軟性を持って模索し続けて行く必要があると思います。前田と本田、本田と香川、その組み合わせが、今のところは最もベストだと言えると思いますが、新戦力の発掘はもちろんの事、他にも様々な組み合わせを試してもらいたいなと思っています。例えば、岡崎、宇佐美、香川、清武、こういったタイプの選手をCFとトップ下に並べてみるとか、あるいは、SHやボランチの1枚を偽りのSHやボランチとして、実際にはCFやトップ下の役割を担わせるシステムを採用するとか、そういう事も試してもらいたいなと思います。

次はボランチ。中盤の守備力というのは、ポゼッションサッカーをやるにしてもカウンターサッカーをやるにしても、もしくは、どのようなシステムをやるにしても、その機能性や威力の源となり、そして、その中心となるポジションがボランチという事になりますから、そこのポジションの選手を誰にするのか、更には、そこのポジションを何枚にするのか、という事についても、これからも厳しい目とアイデアと柔軟性を持って模索し続けて行く必要があると思います。つまり、現在の遠藤と長谷部の2ボランチ以上の機能性と威力を持ったボランチを見つけ出せるかどうか、という事ですね。

例えば、3ボランチの形をもっと定着させてみるとか、そこから1ボランチになっても守れるかどうか模索してみるとか、更には、細貝や高橋だけではなく、乾、清武、内田、今野、こういった他のポジションの選手をボランチで起用してみるとか、そういう事も積極的に試してもらいたいなと思っています。いづれにせよ、2ボランチと3ボランチというバリエーションを持つ事は不可欠になってくると思いますし、また、複数の選手をポリバレントな能力を持つ選手に育てる、という事も必要不可欠になってくると思いますので、そうやって少しでも中盤の機能性や威力を高める、ボランチのパフォーマンスを高める、中盤の守備力を高める、という事は、2014年までにやってみて欲しいと思います。

最後にはCB。ザックジャパンにおけるCBというポジションは、最も戦力不足を感じさせるポジションであり、中澤と闘莉王によるCBと同じかそれ以上のパフォーマンスを発揮してくれるCBの存在無しに、南アフリカW杯と同じかそれ以上の成績を2014年のW杯で望める可能性は低いように思います。そうでなければ、同じやり方をしたとしても、南アフリカW杯の時のような堅守を発揮させる事もできないと思いますし、更には、南アフリカW杯の時よりも攻撃的なサッカーを、という事も実現できないと思います。極端に言ってしまえば、CBの強度やパフォーマンスという事が、戦い方を決める最大の要素になると言えると思います。