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金融庁が投信の販売や運用ルールの見直しを進めている。信用リスクの集中を防ぐため、同一発行元の株式やデリバティブの組み入れ比率を10%以内に制限するなどの新規制が検討されているのだ。狙いは投資家保護だが、この手の規制は行き過ぎると商品設計の自由度が奪われる。

9月の国の有識者会議「金融審議会」で、金融庁が提示した資料に「10%規制」の話題が盛り込まれていた。また、規制が商品設計の過度な制約にならないように、ETFなどでは指数採用株の構成比が10%を超えても規制の対象としない例外規定にも言及がある。

資料では、「ルール整備を図ることについてどう考えるか」と控えめな問題提起の形が採られている。しかし、金融庁が実現性のない思考実験のためにわざわざ審議会の議題として取り上げるとも考えにくい。

金融庁が規制に前向きな背景には、欧米の事情がある。米国では、運用業者が投信が「分散型ファンド」か「非分散型ファンド」かを明示。分散型ファンドは同一発行元の株式や債券への投資額をファンド純資産の5%以内に制限している。欧州でも、同一発行元の資産への投資は株式や債券、デリバティブなどの総計でファンド資産の20%以下となっている。日本が追随しても違和感はない。金融庁が投信協会など関係各方面への根回しを終えている可能性もありそうだ。

ただ、どの金融商品に投資し、どの程度のリスクを負担するかは、いつの場面でも投資家が最終判断する。そして、投資家の支持を得られない商品は自然と消えていく運命にある。運用会社の手足を縛りかねない規制よりも、投資家が「結果」で判断できるような情報開示の充実のほうが急務ではないだろうか。

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この記事は「WEBネットマネー2012年12月号」に掲載されたものです。