そして、肝心の国内リーグも、まだまだ彼らにとっての完成形とは程遠い状態にある。マエストリやリッディのような、イタリアで生まれ育った選手たちよりも、ベネズエラ、キューバ、アルゼンチンといった中南米から海を渡ってきた、移民たちが主力としての座を掴むIBLにおいては、今年までの3シーズンで毎回参加球団が変わっている。来シーズンからは、これまでの1リーグ8球団制から、2リーグ12球団制へと拡大する見込みだと伝えられる一方、その理由が「チームの移動範囲を狭くし、遠征費の負担を減らすため」という後ろ向きな理由だという報道もあるらしい。現時点でも、レギュラーシーズンでは6強2弱の状態。果たして、今回のリーグ拡大がどのような結果をもたらすのか、まだ先は不透明な状態だ。

 しかし逆に言えば、そういった「不安定さ」はある意味で、これからさらに成長していけるという伸び代がある、ということの証明でもあるはずだ。そもそも、まだプロリーグ誕生からわずか4年の段階で、何もかもが全て上手くいくようではむしろ不気味ですらある。これまでも、ヨーロッパの中では数々の歴史を作り上げてきたイタリアも、世界レベルにおいてはこれからビッグになっていく国の1つ。ならば、やはり現時点で存在する光明の方に、より価値を見出していくべきだろう。

 まだ不透明な部分も少なからず内包しつつ、それでも確かに輝きを放っているマエストリとリッディ。彼らの右腕やバットは、やはりこの国の野球界にとっての象徴であると言って、間違いはないのかもしれない。