お先真っ暗“パチプロ”の実情

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 何かと叩かれがちなパチンコ業界。世に流れているパチンコ業界に関する俗説の多くはネガティブなものだが、その中には、“事実誤認”として伝わっているものもあるという。

 ぱちんこジャーナリストのPOKKA吉田さんは、主婦の友社から出版した2冊の新書本『パチンコがなくなる日』『石原慎太郎はなぜパチンコ業界を嫌うのか』を「批判するなら正しい知識を得てからにしなさい!」というスタンスで執筆。パチンコ業界の暗部に切り込みながら、本当の業界の姿を分かりやすく論じた。
 そして、第3弾となる『パチンコのすべて―サルでもわかるココだけの話―』(POKKA吉田、大崎一万発/著、主婦の友社/刊)はこれまでエディターとしてその2冊に携わってきた大崎一万発さんが著者に加わり、「20兆円産業のウソ」や「警察とパチンコ業界の関係」「パチンコと韓国・北朝鮮の関係」など、ファンとアンチの議論の的になっていた部分を中心に、パチンコ業界を解説した一冊だ。
 ここでは、本書の中から2つのトピックスをご紹介しよう。

■「マスコミはぱちんこ業界を叩けない」のウソ
 テレビを見ていると、パチンコのCMをよく見かけるだろう。そのため、「マスコミはパチンコ業界は優良広告主だから叩けない」と思いがちだ。しかし、POKKA吉田さんはこれを「都市伝説」とまで言う。
 もちろん、明らかに叩かない部分もある。それは、スポンサー「企業」のことだ。しかし、業界や少なくともパチンコそのものについては、批判的な報道が多いのではないかとつづる。例えば事件が起きた際、普通なら職業が「会社員」として報道されるところを、パチンコ店の店員はそのまま「パチンコ店員」と報じられる。事件報道の際に職業を特定される業種は少なく、公務員関係や水商売関係などくらいだが、その中にパチンコ店も入っているのだ。
 POKKA吉田さんは、特に事件のようなネガティブな報道の場合、「パチンコ」という言葉が、記事的に価値があるからではないかと分析している。

■お先真っ暗な“パチプロ”
 プロの打ち師、いわゆる専業パチプロは全国にどのくらいいるのか。大崎一万発さんによれば、明確な統計はないが、各地の現役プロへの聞き取りから推定した数字では5〜6千人程度ではないかという。
 ところが今、パチンコ店の利益管理が徹底され、その数を大きく減らしている。つまり、パチプロに未来を見出せない打ち師が多くなっているというのだ。
 パチプロは孤独で100%自己責任の商売。休めばそのまま実入りに跳ね返るし、保険をかける意味で他の店や台のチェックも欠かせない。稼ぐためには勝つことが前提だが、それでも多くの人は20万から30万円程度の月収だ。アウトローを気取っても社会的には「無職」と同じなのだから、まさにお先真っ暗といえる。
 また、喰えなくなったパチプロの中には犯罪に染めてしまう人もいる。特に多いのが「ゴト師」だ。「ゴト」とは不正な手段で玉を出す犯罪行為で、ゴトをする連中をゴト師という。どのような手段を講じるかは本書で確認してほしいが、その中には完全に罪になるものもあるという。以前は「ゴトだけは絶対にやらない」と公言するパチプロが多く、自分の稼業にプライドを持っていたものだったが…と大崎さんは嘆く。

 「わかりやすく、しかもディープに」をテーマに、パチンコ好きが知りたい疑問や、アンチパチンコの批判への回答が収められている本書。特にパチンコ業界をあまり知らないビギナーにとっては参考になる一冊だ。
 パチンコ業界の光と闇。その本当の姿を知りたい人はPOKKA吉田さんと大崎一万発さんの熱いパチンコ談義に耳を傾けてみて欲しい。
(新刊JP編集部)