38歳の完封劇
埼玉西武ライオンズ対北海道日本ハムファイターズの第17回戦は、1対0でライオンズが勝利した。
ライオンズは6回、中島裕之の犠牲フライで1点を先制。投げては、先発投手の西口文也が完封勝利。西口の完投は2006年6月4日の対読売ジャイアンツ戦、完封は2005年8月27日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦以来。
自身が持つ102試合連続での完投無しの日本記録を途絶えさせた西口について、29日付のスポーツニッポン紙は、ウェートトレーニングと走りこみの成果としている。
また日刊ゲンダイ紙では、「(西口は)昨年から『投げるための肉体』を作り直した。走り込みで徹底的に下半身を鍛え、尻回りはスクワットなどで強化。上半身はダンベルを使ったトレーニングで腕の筋肉をつくり直した。その結果、体のキレが戻った」とのトレーニングコーチの大迫幸一氏のコメントを紹介している。
球団では、東尾修氏の38歳3カ月を上回る38歳11カ月での最年長完封記録を樹立したに右腕の努力には頭が下がる思いだが、今回の完投・完封劇の背景には、今季から導入された12球団統一球の影響もあることも見逃せない。
12球団統一球は、開幕前から「従来に比べ打球の飛距離が伸びない」と言われていたが、はたしてその通りになった。
29日現在、本塁打数はセリーグで340本、パリーグで337本。まだシーズン途中とは言え、昨年に比べセリーグで60.6%、パリーグで54.6%も減少している。広島東洋カープにいたっては、現在パリーグの本塁打王争いで1位を独走するライオンズの中村剛也の個人記録と並ぶ33本だ。
この12球団統一球の恩恵を受けているのが、投手陣だ。昨年から今年にかけてのリーグ平均防御率は、セリーグは4.13から3.07、パリーグでも3.94から2.83に、それぞれ1点以上改善している。
先発投手の完投の割合も上がっている。セリーグでは5.2%から7.1%、パリーグでも9.8%から12.5%に向上した。
個人記録を見ても、ゴールデンイーグルスの田中将大と、ファイターズのダルビッシュ有が12球団トップタイの9完投。以下、福岡ソフトバンクホークスの杉内俊哉が6完投、オリックスバファローズの寺原隼人、千葉ロッテマリーンズの成瀬善久、東京ヤクルトスワローズの館山昌平が5完投で続いている。
投手の分業制の確立と選手年俸の高騰などにより、わが国でも年々、先発投手の完投数は減少している。1950年には、完投率はセリーグで46.1%、パリーグで46.4%もあったが、半世紀後の2000年にはそれぞれ8.9%、13.2%に低下。2010年は、5.2%、9.8%とさらに下回った。
それが今年、29日現在で7.1%、12.5%に回復したのは、12球団統一球の影響ではなかろうか。
投手陣は、長打を浴びるリスクが低くなったため、ストライクゾーンの中で打者と勝負ができる。ストライクゾーンの中で勝負ができることで、ボール球が減り、球数も減る。こうなることで、投手は長いイニングを投げられるようになり、完投数が増えたのではなかろうか。
もちろん、だからと言って西口の快挙を疑うわけではない。38歳のベテランが、疲労が蓄積する夏場、蒸し暑い西武ドームで完投・完封するのは容易ではない。西口もまた、努力に努力を重ねてきた。
今回の完封劇は、そんな西口を、12球団統一球が後押しした形ではなかろうか。
ライオンズは6回、中島裕之の犠牲フライで1点を先制。投げては、先発投手の西口文也が完封勝利。西口の完投は2006年6月4日の対読売ジャイアンツ戦、完封は2005年8月27日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦以来。
自身が持つ102試合連続での完投無しの日本記録を途絶えさせた西口について、29日付のスポーツニッポン紙は、ウェートトレーニングと走りこみの成果としている。
球団では、東尾修氏の38歳3カ月を上回る38歳11カ月での最年長完封記録を樹立したに右腕の努力には頭が下がる思いだが、今回の完投・完封劇の背景には、今季から導入された12球団統一球の影響もあることも見逃せない。
12球団統一球は、開幕前から「従来に比べ打球の飛距離が伸びない」と言われていたが、はたしてその通りになった。
29日現在、本塁打数はセリーグで340本、パリーグで337本。まだシーズン途中とは言え、昨年に比べセリーグで60.6%、パリーグで54.6%も減少している。広島東洋カープにいたっては、現在パリーグの本塁打王争いで1位を独走するライオンズの中村剛也の個人記録と並ぶ33本だ。
この12球団統一球の恩恵を受けているのが、投手陣だ。昨年から今年にかけてのリーグ平均防御率は、セリーグは4.13から3.07、パリーグでも3.94から2.83に、それぞれ1点以上改善している。
先発投手の完投の割合も上がっている。セリーグでは5.2%から7.1%、パリーグでも9.8%から12.5%に向上した。
個人記録を見ても、ゴールデンイーグルスの田中将大と、ファイターズのダルビッシュ有が12球団トップタイの9完投。以下、福岡ソフトバンクホークスの杉内俊哉が6完投、オリックスバファローズの寺原隼人、千葉ロッテマリーンズの成瀬善久、東京ヤクルトスワローズの館山昌平が5完投で続いている。
投手の分業制の確立と選手年俸の高騰などにより、わが国でも年々、先発投手の完投数は減少している。1950年には、完投率はセリーグで46.1%、パリーグで46.4%もあったが、半世紀後の2000年にはそれぞれ8.9%、13.2%に低下。2010年は、5.2%、9.8%とさらに下回った。
それが今年、29日現在で7.1%、12.5%に回復したのは、12球団統一球の影響ではなかろうか。
投手陣は、長打を浴びるリスクが低くなったため、ストライクゾーンの中で打者と勝負ができる。ストライクゾーンの中で勝負ができることで、ボール球が減り、球数も減る。こうなることで、投手は長いイニングを投げられるようになり、完投数が増えたのではなかろうか。
もちろん、だからと言って西口の快挙を疑うわけではない。38歳のベテランが、疲労が蓄積する夏場、蒸し暑い西武ドームで完投・完封するのは容易ではない。西口もまた、努力に努力を重ねてきた。
今回の完封劇は、そんな西口を、12球団統一球が後押しした形ではなかろうか。
バックスクリーンの下で 〜For All of Baseball Supporters〜
野球は目の前のグラウンドの上だけの戦いではない。今も昔も、グラウンド内外で繰り広げられてきた。そんな野球を、ひもとく