韓国のKBS放送が2日連続で放送した朝鮮戦争のドキュメンタリー番組が、「親日派を英雄に仕立てた」として、非難の的になっている。韓国メディアは専門家の見解や世論の反応を紹介しつつ、相次いで同話題を報じた。

 問題となったのはKBSが制作・放送したドキュメンタリー番組『戦争と軍人』。番組では朝鮮戦争で功績があったとして白善ヨプ(ペク・ソンヨプ)氏が登場。しかし、番組放送後にKBSの視聴者掲示板に1000件を超える書き込みがあり、抗議電話も900件を超えるなど、非難が続出した。

 白氏は韓国陸軍では初めて大将に任じられた人物で、朝鮮戦争では第一線で戦っていた。しかし、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権では日本の朝鮮半島支配に協力したとして『親日人名辞典』に掲載された。また一方で、李明博(イ・ビョンバク)政権の2009年には韓国軍史上初の「名誉元帥」に内定されるなど、韓国内で評価が分かれている。

 世論の批判に対して、KBS側は「白氏が朝鮮戦争の大事な節目で活躍したのは明らかな歴史的事実」と主張、「朝鮮戦争に焦点を当てたもので、特定の人物を扱っていない」、「英雄に美化していない」と反論した。

 チョ・ヨンゴン慶南大学名誉教授は「白氏の功と罪をナレーションで伝えるべきだった」、「国際的に恥をかく放送」と指摘、「韓国の歴史に関心を寄せている日本が帝国主義・軍国主義の立場から(番組)を見ると、嘲笑って軽べつするだろう」、「親日人物を英雄にしたので、大東亜共栄圏の橋頭堡の役割に忠実な放送という点で笑われる」などと、番組を厳しく批判した。

 韓国の複数メディアはチョ教授の見解を詳しく取り上げている。一方、視聴者掲示板の抗議文についてKBS側が「ねつ造」との見方を示したことも問題となり、KBSの労働組合も強く反発、番組をめぐる「親日論争」は大きな波紋を広げている。(編集担当:金志秀)



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