ヨーロッパ・リーグでなんとかドルトムントにホームで引き分け、次ラウンドに駒を進めたセビージャ。相手はブンデスリーガ首位を突っ走る強豪とはいえ、試合内容が悪すぎた。前半早々に香川にゴールを許したセビージャ。ロマリッチとカヌーテのゴールで逆転に成功したが、後半早々に集中力を欠き再び失点してしまった。

 ホームのサポーターの後押しもあり同点にされて以降は必死に守ったが、セビージャの全盛期からはかけ離れた出来だった。悪い意味で目立ったのが、ほとんど中盤でボールを収めることができないことだ。ケイタ、ポールセン、マレスカなどが中盤に居た時は、ボールをサイドに散らし攻撃の起点になるということができていた。

 スペイン代表のヘスス・ナバスは怪我で欠場だったが、それにしても持ち味のサイド攻撃は見ることができなかった。右のペロッティ、左のカペルにも勢いが感じられない。セビージャは、移籍マーケットで選手を発掘し、良いタイミングで売りに出すというポリシーを持っているが、UEFAを制した頃のチームにははっきりとした攻撃スタイルがあった。

 個人の力やフィジカルに頼り過ぎている感がある今のセビージャ。チームの立て直しには時間がかかりそうだ。最悪の6連敗、ヨーロッパ・リーグ敗退だけは避けられたが、マンサーノ監督が長期に基づくチーム作りを始めないと、サイド攻撃を特徴とするセビージャスタイルは廃れていってしまう。リーガでR・マドリーとの対戦を迎えるが、この試合がセビージャにとって今後を決める鍵となりそうだ。

(スペイン通信)