28日に行なわれたリーグ・アン第15節リヨン対パリ・サンジェルマン(PSG)戦。リヨンが勝てば首位マルセイユと勝ち点で並び、PSGが勝てば1差でマルセイユをかわしてトップに躍り出るという、両者にとって非常に重要な一戦だった。

 試合はそれを反映して、気温2度という厳しい寒さにもかかわらず、熱のこもった内容になった。前半は相譲らず0―0。リヨンは太腿痛で動きに精彩を欠いたMFトゥラランに代えてマクーンを投入して仕切り直し、54分にはDFシソコのゴールで先制した。

 その後はPSGが巻き返しにかかる。リヨン守備陣のスペースを突いて、63分にネネが同点弾。1―1のまま終盤に入って81分、均衡を破るきっかけをつくったのはまたしてもネネ。ゴール前へと果敢に突破してシソコのファウルを誘う。ペナルティはオアロが決めた。リヨンは残り10分でリードを許したうえ、シソコの一発退場で数的不利を強いられた。

 しかし勝利目前のPSGに信じられないミスが生まれる。GKのエデルが87分、パントキックを蹴り損ない、相手FWのゴミスの足元へ。ゴミスがこれを冷静にゴールに蹴り込んで、リヨンは土壇場で勝ち点1を拾った。

 この日の敗因となったエデル・アプラは24歳のカメルーン系アルメニア人。その驚異的な瞬発力から、かつてのPSG守護神でフランス代表だったベルナール・ラマの再来と言われるが、経験不足からミスが多いのもたしか。PSGには元フランス代表のベテラン、グレゴリー・クぺがおり、開幕から4試合はゴールマウスを守ったが、第3節と第4節で合計5失点を浴びて連敗を喫してからエデルに守護神の座を譲り渡していた。

 まさかの同点ゴールを許してしばらく仰向けになったまま立ち上がれなかったエデル。試合後、レキップ紙に「もちろん落胆している。あの瞬間、何が起こったかわからなかった。こういうこともある。セ・ラ・ヴィ(それも人生のうち)。2ポイント失ったけど、1ポイント得たと考えたい。努力をつづけなくてはならない」と語った。

 PSGのコンブアレ監督は、エデルに腹を立ててはいないようだ。試合後の記者会見で、「彼の気持ちを考えている。きょうは誰よりも苦しい思いをしているだろうからね。チームメイトといっしょに彼を支えていきたい。彼には差し伸べられた手をつかんでほしい。あとはみんなで気持ちを切り替えることだ。立ち直るには強い心が必要だが、心配はしていない。彼には強力なメンタルがある」と期待をもちつづけている。