尖閣は序章に過ぎない!中国の真の狙いとは?

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 2010年9月7日に起きた尖閣諸島沖での中国船衝突事件をきっかけに、にわかにキナ臭い匂いが漂い始めた日中関係。11月4日未明には衝突の瞬間を収めた動画も流出し、事故から二カ月が経過した現在でも国内外で関心を集めている。

 何を仕掛けてくるかわからない、不気味な印象の残る中国だが、中国から亡命した作家、袁紅冰(えん・こうひょう)氏の著書『暴かれた中国の極秘戦略』(まどか出版/刊)によると、対米関係・対日関係と並び、中国外交の重要トピックとなっているのが台湾なのだという。

■2012年、中国が台湾を乗っ取る?
 台湾の政治位置や主権帰属に関する問題の歴史は深く、中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)の間で、文化・政治・経済・思想などが複雑に絡み合っている。
 本書は、中国がその台湾を2012年に中華人民共和国の一部として統一する計画があることを指摘している。
 その根拠となっているのがかつての中国の最高指導者であったトウ小平の遺言である。
この遺言でトウ氏は
 
 台湾問題の解決は、中国における社会主義制度の生死存亡に関わり、共産党の生死存亡に関わる。

 と述べ、その期限として

 胡錦濤同志の二期の任期の間に解決されなければならない。二〇一二年を超えてはならない。
 
 としている。
 台湾問題の解決とはまぎれもなく中華人民共和国と中華民国の統一であり、それを果たすために、中国はすでに台湾メディアの統制や、台湾の知識人・学者の飼慣らしを進めているというのだ。

■中国の対日外交、真の狙い
 上記の内容を踏まえると、先日の衝突事故の別の側面が見え隠れする。
 中国の対日外交の戦略は2008年7月に、台湾問題解決を前提として策定された『対日外交策略計画』にみることができる。
 この中で、中国は日本という国を以下のように分析している。

・日本はイデオロギー方面の問題には重きを置かない
・日本が重きを置くのは日本自身の生存と発展に関係する問題のみ
・充分に理性的で、既成事実は受け入れる


 そして、こんな一文まであるのだ。

 充分な譲歩をし、日本に対して、何かしら利益的要求を満足させると同時に、効果的な方法で台湾問題において我々を敵にすれば、日本の国益に重大な損害が生じることをわからせさえすれば、台湾問題において、日中両国どちらも有利となる理性的選択をするよう促すことができるのである。

 平たく言えば“アメをちらつかせながら脅しをかければ日本は言うことを聞く”ということであり、中国共産党側が日本をどう見ているかが伺える。
 ここで気になるのは中国側の“充分な譲歩”だが、『対日外交策略計画』では、北方四島の日本の主権要求を支持すること、竹島問題での日本の立場を支持するなど、やはり日本が抱えている領土問題に関してのものが多い。
 中でも注視すべきは東シナ海の海底油田問題で重大な譲歩を行うというものが含まれていることだ。
 いうまでもなく、これは尖閣諸島とは大きな関連がある。
 尖閣諸島沖での船舶衝突事件について、当初の中国側の対応は強硬であったが、この態度にも何か裏があるのだろうか。

 『暴かれた中国の極秘戦略』では、今回紹介した内容の他にも、これまで報道されてこなかった中国共産党の外交戦略の裏側が明らかにされている。そのどれもがかつて中国共産党と近い位置にいた袁氏しか知り得ない情報に基づいたものだ。
 同じく中国の問題点がわかる書籍『中国の狙いは民族絶滅』と併せて、是非読んでみてほしい。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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