「ホスラブ」というサイトをご存知だろうか?名前からも察する事ができる通り、「ホストラブ」の略でホストや水商売、はたまた風俗に関する話題が交わされる、いわゆる『夜の世界の2ちゃんねる』的な『知る人ぞ知る』巨大掲示板の事である。
基本的には掲示板での交流がメインとなっているが、2009年4月から開始された「ホスラブ小説」と呼ばれる新コンテンツが今じわりじわりと注目を集めている。「ホスラブ小説」は、書き手がもちろん「ホスラブ」利用者という事もあり、一筋縄ではいかない「アウトロー」な人たちばかり。
掲載されている作品は、実話もしくは若干のフィクションを含んだ実話小説が多く、『詐欺』『覚醒剤』『風俗嬢に転落するまで』『真実の愛』『ホストへの復讐』など取り扱われるテーマは“裏社会に関わる内容”が主。

ただし、書き手達が普段小説を生業としていない証に、稚拙な文章や誤字・脱字も多く若干の読み辛さは否めない。
反面実体験者でしか知りえないリアリティ溢れる内容や、フィクション小説であればかなりの取材を要するであろう内容を「サラ」っと書き綴っている辺り、「実話である」というという雰囲気がプンプン伝わって来て、思わず読みふけってしまう作品も少なくない。

閲覧は無料で、人気作品のランキングも表示されているので、試しにその幾つかを読んでみた。

『本当の愛』
6歳まで実母から育児放棄をされ、自分の名前を名乗ることや会話をする事すらできなかった少年が、養母にめぐり合い幼少期から成人までの成長を綴った感動作。
幼少期のトラウマ、自分がいる意味、人の温もり、青年期の葛藤、初めての恋など序盤からラストまで涙絶えない作品。

『アンダーグラウンド』
高校中退をした主人公が、とび職⇒キャバクラのボーイ⇒運び屋⇒大麻の生産者⇒ヤクザ⇒闇金融⇒オレオレ詐欺と表の仕事から裏社会へと飛び込み、裏社会でのし上がっていく様を描いたノンフィクション小説。
当初モバゲーに掲載していた様だが、その内容の過激さからから運営判断で消去されたらしい。
内容は、昨今流行の「オレオレ詐欺」の内容やヤクザとの抗争の様子など生々しく綴られている。主人公は既にこの世の人ではないという前提で書き出されており、現在も連作中の作品。
ノンフィクションという前提もあり、「オレオレ詐欺」の被害者や関係者からの反響も多数。
色々な意味で物議を醸している。

『後悔と懺悔』
進学高校を卒業しながらも親との確執により、衣・食・住の保障された自衛隊に入隊した作者が、風俗嬢に転落しその後現在までを綴る自伝小説。
現在は連載開始ともあり、序盤の自衛隊時代までが掲載されているが、訓練時代の班長が自殺をしその後作者が苦悩する様がリアルに綴られている。

試しに読んだ作品はいずれも人気作ばかりを選択してみた。
中には普通であれば出版困難とも思われる作品もあり「ここでしか読めない」という印象がひしひしと伝わってくる。
ただ、前述した通り『稚拙な文章の割りにリアリティ溢れる内容』が淡々と綴られており、その迫力からかいずれの作品も読む者をその世界に取り込んでくれる。

今回紹介したサイトは取り扱う題材が水商売や性風俗に関わる内容なため、18才未満の人の閲覧はできない。ただそれ以上の方で興味のある人は是非読んでみることをお勧めする。
『事実は小説よりも奇なり』それを地で行く荒削りな小説達が待ち受けている。

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