今季のリーグ・アン序盤戦はサプライズに満ちた展開だ。第9節を終えた時点で、首位レンヌ、2位サンテティエンヌ。マルセイユ、ボルドー、リヨンといった過去3シーズンの王者はようやくエンジンがかかってきたものの、いまひとつピリッとしない。

 中でも2位のサンテティエンヌは、ここ数年つねに降格の危機にさらされてきただけに、驚きの大変身と言える。その原動力となっているのが、現在リーグ得点ランキング首位のMFディミトリ・パイエット(23)。サッカー専門サイト「クロノフット」に躍進の秘密を語った。

 パイエットは「プレシーズンにチーム全体で意識改革に取り組んだ。3年続けて苦しみたくなかったからね。見えない訓練が違いをもたらしたんだ」と語る。具体的には、「ふだんの練習以外でどう過ごすかなんだ。昼寝、休憩、食事、そういった健康管理が意識改革のひとつだ。それ以前は毎日そんなふうに過ごしていなかった」と説明する。

 パイエット個人にとっても9試合で8ゴールとこれ以上ない滑り出し。昨シーズンまでは129試合で11ゴールだったから、突如としてゴールゲッターの才能を開花させた感がある。これについては、「たしかにいままでにはなかったことけど、偶然じゃないんだ。それだけ練習している。それと戦術の変化があった。ゴール前にいることが多くなった。それだけゴールを狙うチャンスが増えたということ。あとはたまたまシュートが成功したというのもあるね」と淡々と分析する。

 その結果、初のA代表選出というチャンスが訪れ、ルーマニア戦では残り5分で投入されて追加点をアシストした。リベリとプレースタイルが似ていることから、その代わりが務まるのではという期待もある。しかし本人は「リベリからポジションを奪えたわけじゃない。まだ彼のレベルには遠いよ。いまはただフランス代表に入れて満足というだけだ」と慎重だ。

 2013年までサンテティエンヌとの契約が残るパイエット。今季の活躍でビッグクラブから注目を浴びるのは必至だが、「いまはわからない。まだシーズンがはじまったばかりだ。サンテで進歩を続けて、そのあとで考えるよ。バルセロナに入るのは夢だけどね。欧州カップの雰囲気には憧れる。出たいという意欲を起こさせる。でもあせるつもりはないよ」と将来を冷静に見つめている。