オーストリアのグラーツで30日、日本代表対イングランド代表の国際親善試合が行われた。古典的な日本の“ハラキリ”が、醜態をさらすことからイングランドを救っている。前半を1−0とリードした岡田武史監督率いる日本をイングランドが上回るには、2つのオウンゴールが必要だったのだ。

南アフリカへ連れていく23名のメンバーリストを完成させるべく、有効なシグナルを求めていたイングランド代表のファビオ・カペッロ監督だったが、2−1の勝利に終わったこの一戦はイングランドにとって、光が少なく影が多い試合となった。

この一戦に際し、自らの去就に関して質問されたカペッロ監督は、事態を明確にするために、FA(イングランドサッカー協会)と会談したいとの意向を繰り返している。ここまでは満足できる良い結果を残してきたカペッロ監督とFAの関係だが、それを続ける条件があるかどうかを検討するようだ。

日本戦で特に注目を集めていたのは、トム・ハドルストン、アーノン・レノン、ダレン・ベントの3選手だ。南アフリカへのチケットを狙っていた彼らだが、テストを完全にクリアすることはならなかった。イングランドは全体的にも不調で、1年ぶりの出場となったGKデイヴィッド・ジェームズも、4人のスタメン(グレン・ジョンソン、リオ・ファーディナンド、ジョン・テリー、アシュリー・コール)に守られていたにもかかわらず、開始7分で失点を喫している。遠藤保仁のコーナーキックの場面で、G・ジョンソンは闘莉王の存在を忘れてしまい、同選手が見事なタッチでシュートを沈めた。

ハーフタイムまでイングランドはあまり反撃できず、ウェイン・ルーニーはベントやサイドやセオ・ウォルコット、レノンからサポートを受けられず。唯一の良いプレーもレノンとベントが決められなかった。

カペッロ監督は後半からスティーヴン・ジェラードを起用し、中盤でフランク・ランパードとコンビを組ませる。また、ほかにもイアン・ハートとジェイミー・キャラガー、ショーン・ライト=フィリップス、ジョー・コールが投入された。イングランドにとって最も良いニュースとなったのは、マンチェスター・シティでプレーする若き守護神ハートの存在だ。同選手は本田圭佑、森本貴幸のシュートを素晴らしいセーブで防いでいる。

一方で、日本のGK川島永嗣も絶好調。日本は55分に本田のハンドでPKを献上するが、川島はランパードのシュートを防いだ。さらに、同選手はルーニーのシュートもスペクタクルなジャンプでセーブしている。しかし、同点ゴールの雰囲気が漂うと、72分にその得点が生まれる。J・コールが右サイドからクロスを送ると、闘莉王が今度は自陣のネットを揺らしてしまった。

そして終了7分前、今度は逆サイドからのプレーで同じシーンが見られる。右サイドからA・コールがクロスを送ると、中澤佑二がこれに触れ、ボールは非情にも川島の守るゴールへと沈んだ。終盤にはエミール・ヘスキーとルーニーがリードを広げようとしたが、スコアは変わらなかった。