21日のプレミアリーグ第30節で9位のフラムが首位マンチェスター・ユナイテッドをホームに迎え2―0で勝利、順位をひとつ上げた。フラムがマンUをホームで下したのは45年ぶり。

 ゲームセットのホイッスルとともに歓喜に沸くスタジアムの中で、静かに自らの引き際について思いをめぐらせていた選手がいる。1月末にインテルから半年間の期限付きでフラムに移籍してきた元フランス代表MF、オリビエ・ダクール(34)だ。フランス・フットボール誌がウェブ版で報じている。

 ダクールはこの試合、68分から出場。「リバプール戦の敗北が相手の頭にあるってことは僕らも意識していた。ルーニーが入った後半は冷や冷やしたね。ゴール前で危ない場面があったけど、よく持ちこたえた」と振り返り、自分の仕事を果たしたことに満足を表した。

 新しい環境への順応については、「僕個人にとって、大事なのは試合に出ること。ここ1年はまったくプレーできなかったからね。フラムに来て、カップ戦、リーグ戦と少しずつ出られるようになった。あとはプレミアの日程の中で自分のリズムをつかむことだね」と手応えをつかみつつあるようすが感じられる。

 しかし、このままイングランドに残るつもりか、という質問を受けると「まったくわからない。僕がしたいのは楽しむこと。たぶん、シーズンの終わりで現役を退くだろうね」と突然の“引退宣言”ともとれる言葉を口にした。

 「ほんとうに?オリビエ・ダクールのキャリアはこれで終わり?」と驚くインタビュアーに対し、「ああ、ほんとうに。僕は4ヶ月ここで喜びを感じるために来た。楽しめるのもあと残り2ヶ月だね」と淡々と答えた。記者が「きょうはその喜びを味わいましたね」と返すと、ダクールは「それはまったく疑いなしだね」と満面の笑みで応じたという。