11日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦のセカンドレグで、バルセロナがリヨンに5―2と圧勝、ベスト8に駒を進めた。

 翌日のレキップ紙は「絶望的完敗」と見出しを掲げ、リヨンがバルセロナを相手に手も足も出なかった一戦を振り返っている。「単純にバルセロナは我々より強かった。強烈なプレス、素早いパス回しで自陣に踏み込ませなかった。我々は猛攻に耐えるのが精一杯で、多くのミスを犯した」というリヨン・ピュエル監督の試合後のコメントが、両者の優劣を端的に示している。

 試合の統計で優劣の差がはっきり表れたのは、ボール支配率(バルサ63%:リヨン37%)とともに、ファウルの数(バルサ9:リヨン26)。リヨンにとってはこのうち実に7度が警告の対象となった。リヨンの選手は相手のスピーディーな個人技に対応しきれずにファウルを連発し、その焦りは絶え間ない判定への抗議を伴った。主将ジュニーニョがロスタイムに入って審判に抗議し、2枚目のイエローカードを受けて退場になったのは象徴的だ。

 リヨンの選手たちが「いいプレーができなかった。ふだんのリヨンではなかった」(DFグロッソ)、「バルサに勝つには、ふだん以上のゲームをする必要があったが、それができなかった」(MFボドメール)と振り返るように、相手に本来のプレーをさせなかったところに、バルセロナの強さがあった。

 リヨンはこれで3シーズン連続のCL決勝トーナメント1回戦敗退。昨シーズンはリヨンを敗ったマンチェスター・ユナイテッドが欧州の王座に輝いている。バルセロナがこのまま勝ち進んで栄冠を手にすれば、リヨン・サポーターの屈辱感も和らぐが、ピュエル監督は「バルサが優勝候補のひとつであるのは確かだが、プレースタイルの違う優れたチームがほかにもある。結果はわからない」と語っており、単純に直接対戦した相手の強さだけに敗因を求められない“欧州の壁”をあらためて感じたようすが窺える。

 またリヨンのオラス会長も、「我々は過去10年にわたりフランスのトップクラブだ。それが結果を出せないのだから、敗因をフランスサッカー全体の構造的な問題にも探らなければならない。組織、税制、日程、スタジアムなどすべてだ」とフランスの“限界”と現状改善の必要を痛感しているようすだ。