厚生労働省が発表した「08年版労働経済白書」で、正社員、とりわけ製造業での正規労働者はマイナス1.2%がさらに加速し、1.9%に進んでいることが指摘されています。中途採用はもちろん、「空前の売り手市場」と呼ばれた新卒採用ですらも、企業は景気後退を敏感に感じ取り、どんどん引き締めを始めています。こうした採用氷河期再来!?の予兆をどう捉えるべきなのでしょう。


個人相談に来る大学生、大学院生で、いまだに「今って売り手市場なんでしょ?」等と愚かなことを聞く者がいます。全く経済の状況を把握出来ない素人ゆえだとはわかりますが、職業選択という人生の進路を決める際の判断力として、あまりに稚拙だと感じます。最も「売れる」新卒ですら、企業は明確に選別しています。ごく一部の優秀学生は、どんな有名企業からも内定が取れる、完全売り手状態です。しかしこれはごく例外的な、ほんの一部の学生です。それ以外は、たとえ有名大学・院生でも、しっかり企業のメガネにかなわなければ、内定に至らない厳しい状況です。まして20代、30代、さらに中高年となればどんどんそのハードルは上がって行きます。一時期もてはやされていた第二新卒も例外ではなく、「3年で辞める」若者の象徴とも言える存在として、厳格な審査をされるようになりつつあります。

経済・経営環境の不透明さが今すぐ解決されるとはとうてい思えない以上、今の厳しい就職環境は、しばらくは続くと考えた方が安全だと思います。こんな話をすると、よく「ネガティブ思考ではなく、ポジティブに乗り切るべき」とのご意見も受けます。しかしこれはあくまで思考の問題ではなく、戦略性の問題だと言い切れます。つまり就職、転職をする上での目的意識とアティチュード、つまり心構えは明確に切り分けなければならないのです。


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