「五輪予選を見て、自分ももっとやらなくちゃいけないって思ったんです」

 代表入りの資格を持ちながらも、過去その選出のチャンスは訪れなかった。「クラブで試合に出ていないのだからしょうがない」と理解し、五輪代表のことなど考えている状態じゃないと横浜で汗を流し続けてきた。そして、やっと、代表を口にするだけの自信を得ることができるようになったのだろう。

「08年シーズン、新しい監督が就任します。また一からのスタートです。シーズン前のキャンプからしっかりとアピールしたい。ボールを使わない練習から、気持ちを出していきたい」

 レギュラー選手との差を“気持ち”と話していたこともある狩野の意識の変化、覚悟を感じた。

「来季はチームからベテラン選手も少なくなり、僕ら若手がやらなくちゃいけないという気持ちもあります。まずはレギュラーポジションに定着することからです」

 かつて、その強さに憧れた。その一員になれると胸を躍らせた。そこで、味わったのは現実の厳しさ。だが、苦しんだ3年間があるからこそ、大きな華を咲かせられる。

「試合に出られないから移籍をしようと考えたことは一度もないです。ここで試合に出なくちゃ、どこへ行っても同じだと思うから」

 奥大介、本山雅志、前田遼一……強豪クラブに所属したことで、先発定着までに時間を要しながらも日本代表へと到達した選手は多い。

「今は結果が出ていないけれど、マリノスにはいい選手がたくさんいます。そういうチームの一員であることは幸運だと思う。そこで学んだことを発揮し、この3年間が無駄じゃなかったと思えるようにしなくちゃいけない」

 2008年。狩野健太の躍進が、マリノスの再起の鍵を握るかもしれない。

文/寺野典子

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