『おむすび』写真提供=NHK

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 『おむすび』(NHK総合)第4週ラストの第20話で描かれたのは、結(橋本環奈)たちハギャレンメンバーが出場する、糸島フェスティバルでのパラパラダンス。放送を前にして、橋本環奈をはじめとするハギャレンメンバーを演じるキャスト陣が次々に自身のSNSにオフショットや当時の思いをポスト。相当思いのこもった撮影であり、シーンだったのだと視聴者側も感じるものがあった。

参考:朝ドラ『おむすび』第4週「うちとお姉ちゃん」を振り返る 糸島フェスの大成功

明日は、本物の青春してきたハギャレンの本物のパラショーを見せるよ!✨この日のために、みんなでいっぱい練習してきた🎀きっと、うまくいくので、みなさん応援していてください!🥹⤴︎⤴︎#朝ドラおむすび pic.twitter.com/4Sm9GmHGaY

- 田村芽実 (@Tamura_Meimi) October 24, 2024

 リサポンを演じる田村芽実は「本物の青春してきたハギャレンの本物のパラショーを見せるよ!」「この日のために、みんなでいっぱい練習してきた」と記しているが、劇中でもステージ前の円陣から5人の気迫と絆が役を超えて伝わってくる。その思いに反して、会場はギャルのパラパラを冷めた目で見つめるものの、フリを間違え笑みのない結を鼓舞するいつものかけ声にオーディエンスも呼応するようにして、徐々に会場が熱を帯び、笑顔が伝播していく。

 結果的にハギャレンは優勝を逃すことになるが、この5人でステージに立つことが最も大切なことであり、何よりも会場の盛り上がりがハギャレンがダサくないということを証明していた。「ギャルって、チョー楽しい!」と笑顔の弾ける結。子供の頃、つまりは震災前のように心から笑えること、素直になれることは、外見だけではなく、心からの変身。それはかつてセーラームーンに変身していた頃のように。

 久々の“朝ドラ受け”となった、宮藤官九郎を迎えての『あさイチ』(NHK総合)でも話題になっていたように、今回の第20話は特にラスト5分間の情報量がかなり多い。まず、結がギャルメイクでステージに上がっていたことが、会場にいた家族や同級生全員にバレてしまう。特に聖人(北村有起哉)にとっては、軽蔑していたギャルの仲間であり、歩(仲里依紗)と同じ道を辿る結に愕然としてしまっていることだろう。さらに風見先輩(松本怜生)が、学校のマドンナ的ポジションの神崎優里亜(栞那)と結の前に登場。恋人繋ぎで去っていく風見と優里亜の後ろ姿に、呆然とする結。もう一つの青春が終わった瞬間――。「小柄で親しみやすくて元気で、笑顔がかわいい子」という風見の好みは、部長の大竹(桑野颯太)に優里亜との関係がバレないように咄嗟についた嘘ということだろう。

 浜辺で海を眺め、失恋モードの結。一人にしてあげようとハギャレンメンバーが立ち去ると、入れ替わりで結のもとに翔也(佐野勇斗)が近づいてくる。「感動した!」と結のパラパラを褒め称える翔也は、「おめ、あんな楽しそうな顔すんだな」「おめ、ここにいっとき、いつも寂しそうな顔してた」と結の変身、変化に気づいていた。その理由を聞かれた 結は、「1995年1月17日」と9年前のあの日について、語り始めるのだった。

 第5週からは「あの日のこと」のタイトルの通りに、本格的に阪神・淡路大震災での体験が描かれていく。歩の親友・真紀(大島美優)の存在、劇中で何度も印象的に出てくる「おいしいもん食べたら悲しいこと、ちょっとは忘れられるけん」のセリフ。米田家、ひいては『おむすび』にとっての根源とも言えるエピソードが展開されていきそうだ。(文=渡辺彰浩)