東京証券取引所

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 東京証券取引所(東京)で企業の情報開示に関わる部署に所属する社員が、企業の株式公開買い付け(TOB)に関する未公表情報を使ったインサイダー取引に関与した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反容疑で強制調査を受けていたことがわかった。

 監視委は、東京地検特捜部への告発を視野に調査を進めている。

 東証を傘下に持つ「日本取引所グループ」(東京)は23日午前、東証社員が監視委の調査を受けていることを認めた上で、「調査に全面的に協力する。関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くおわびする」とのコメントを発表した。

 関係者によると、この社員は、上場会社がTOBなど経営に重大な影響を与える出来事を投資家らに伝える「適時開示」などを担当する部署に所属。業務を通じて上場会社のTOBに関する未公表情報を知った上で、親族に株取引を勧めていた疑いがもたれている。

 金商法のインサイダー取引規制は、未公表の重要事実を基に自身で株取引をする行為のほか、2014年施行の改正法で、他人に重要事実を伝える「情報伝達」や、重要事実を伝えずに株売買を勧める「取引推奨」も加えられた。監視委は、この社員による不審な取引を把握し、今秋に社員や親族の関係先の強制調査を実施した。

 東証は株や債券を売買する国内最大の取引所で、企業の上場審査や重要事実の公表などを行っている。監視委の調査を受け、東証は社員を公表前の情報を扱う業務から外したという。