『おむすび』写真提供=NHK

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 伝説のカリスマギャル“あゆ”こと、結(橋本環奈)の姉・歩(仲里依紗)が、『おむすび』(NHK総合)第3週第15話のラストに登場した。

参考:朝ドラ『おむすび』第3週「夢って何なん?」を振り返る 結(橋本環奈)の決心

 公式サイトの出演者紹介でもヒロインである結の次に位置する歩(3番手が四ツ木というのもまた際立つが)。ここまでハギャレンの現総代表であるルーリー(みりちゃむ)の回想で顔の一部のみが登場したりとある種、神格化されてきた歩だったが、突如米田家に帰ってきたその姿は黒髪に、メイクも落ち着いた清楚な姿。これまで結は「ギャルもお姉ちゃんも大っ嫌いなんです」と思いを爆発させてきたが、「ただいま~結!」と笑みを浮かべる歩の表情からは、かわいい妹への愛情が感じられる。なぜ歩は糸島に戻ってきたのか、黒髪清楚になった理由は、第4週「うちとお姉ちゃん」で明らかになるだろう。

 第3週の週タイトルは「夢って何なん?」。「サクセスロードマップ」に「甲子園出場! 優勝!!」と記し、メジャーリーグを目指す翔也(佐野勇斗)やそれぞれが真っ直ぐな夢を見ているハギャレンメンバーに比べて、農家を継いで平穏無事に生活することを夢とする結は自分が分からなくなっていた。そんな時に、歩の部屋で目にした、デコレーションされた色紙に書かれたギャルの掟。「ダサいことは死んでもするな」は、路地裏でサラリーマンを恐喝するヤンキーギャルへと立ち向かっていくほどに、結を鼓舞していた。その掟は言い換えれば、「人に迷惑をかけるような悪いことはするな」ということ。「他人から見たら、うちら同類だから」と主張するヤンキーギャルたちに、結は「全然違います!」と叫ぶ。それは結自身と歩を同じように比べられることへの抗いの思いでもある。だからこそ、このタイミングで糸島に帰ってきた姉に対して、結は複雑な思いを抱いていることは確かだ。

 もう一つ第15話で印象的だったのは、父・聖人(北村有起哉)から家族で神戸に戻る提案をされた際の結の表情。目が泳ぎ、動揺を隠せない結の脳裏にフラッシュバックするのは、ブカブカのセーラー服でポーズを取る幼い自身の姿、そしてペシャンコになった家と瓦礫まみれの路地。1995年の阪神・淡路大震災で被災した記憶だ。家族の誰かが結の被災の記憶に触れたのは、これが初めてとも言え、橋本環奈の表情には結としての深い悲しみが表れている。

 第4週「うちとお姉ちゃん」の予告では、糸島フェスティバルに出演するギャルメイクの結や現ハギャレンメンバーと対面する歩の姿が確認できる。さらに公式SNSアカウントがポストしている人物紹介図には新たに「神戸の人々(1994年~)」が追加となっており、これから少しづつ神戸の記憶が描かれていくのであろう。(文=渡辺彰浩)