高市早苗氏を支えた面々は非主流派に転落した(写真/共同通信社)

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 石破新政権は総選挙で野党の攻勢に晒されることとなるが、党内にも大きな火種を抱えている。自民党総裁選で石破首相と大接戦を演じた高市早苗・前経済安保相の存在だ。高市氏を支えた面々は非主流派に転落。次の火種になっているのが、裏金議員の公認問題だ──。【全3回の第1回】

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 10月9日の衆院解散を前に、自民党内の亀裂が急速に広がっている。石破首相は組閣と党役員人事で高市支持派の議員たちを干し上げた。

 高市氏本人が総務会長就任や入閣の打診を拒否したとはいえ、組閣ではその高市氏の推薦人や高市支持派が多い旧安倍派からの入閣はゼロ。高市氏の推薦人の1人が言う。

「負けた以上冷や飯は覚悟していたが、ここまで徹底した報復人事をやるとはね。麻生派からは2人入閣したものの、いずれも河野太郎さんの推薦人で、高市支持に回った麻生太郎・元首相に近い議員は露骨に外された。石破首相は反発覚悟でやったのだろうが、総裁選の決選投票で高市さんを支持した173人の議員、党内の半分を完全に敵に回したわけです」

諸刃の「クビ切り役・進次郎」

 石破vs高市の次の火種になっているのが、裏金議員の公認問題だ。

 石破首相は10月15日に予定されている総選挙の公示までに小選挙区の公認候補と比例代表の名簿順位を決定するが、自民党が公表している裏金議員82人のうち、衆院議員が51人いる。

 10月6日、石破首相はこのうちの一部の議員を非公認とする方針を表明。選挙での非公認より重い処分を受けていた西村康稔・元経産相、下村博文・元文科相、高木毅・元国対委員長ら安倍派幹部を含む10人以上が非公認となる可能性がある。

 これから自民党選対本部で具体的な公認審査が始まる。その責任者に就任した小泉進次郎・選対委員長は会見で「最終的には執行部で厳正に判断する」と表明した。

 裏金問題で処分を受けた議員の間では、「公認問題で厳しい発言をしてきた進次郎が選対委員長に起用されたのは“クビ切り役”をさせるためだったのか」(旧安倍派議員)と動揺が広がっている。

 当然ながら、裏金問題に厳しい姿勢を示せなければ、総選挙では国民から総スカンを食いかねない。追い詰められているのは石破首相も同じだからこそ、公認審査で高市シンパを締め上げる作戦を練っているようだ。石破氏に近い議員が明かす。

「15日の総選挙公示までもうほとんど時間がない。現実問題として今から候補の差し替えや刺客を立てるのは難しい。そこで総理は、国民へのけじめとして、不記載があった議員については、処分内容にかかわらず、比例代表との重複立候補を認めない方針を示すことにした。小選挙区で落ちればもう復活はできない、ということです」

 だが、こうしたやり方は諸刃の剣でもある。

(第2回へつづく)

週刊ポスト2024年10月18・25日号