コメの値段が高止まりしています。

夏のコメ不足以降、新米が店頭に並ぶようになっても値段が高騰する状況に、まちの飲食店では「ごはんのおかわり無料」を断念する店も現れています。

金沢市役所の近くに店を構える中華料理店では、ランチメニューとして、スパイスが効いた「麻婆豆腐」とジューシーな「鶏のからあげ」の2種類を用意しています。

ランチタイムのに「ご飯のおかわり無料」が、常連客から好評でしたが、取引業者から新米の価格が1.5倍に値上がりすると伝えられたことで、10月からおかわり無料を断念しました。

常連客「だいたい、いつも2杯くらい食べる。よくおかわりをしていたので残念」

店主の山形友作さんが抱く「お腹いっぱい食べてほしい」という思いから開店以来続けてきたランチメニュー。しかし、このところの物価高騰の影響は避けられません。

想いは「おなかいっぱいになってほしい」だけど…

店主の山形さん「牛肉とか豚肉、鶏肉、油全般での物価の高騰で、オープン時は800円でやっていたランチが難しくなり、900円に一度値上げした。それでも『おかわり無料を楽しみにしているお客様もいるかな』、『お腹いっぱいになってもらいたいな』という思いはそのままだったんで、お代わりの所は手をつけずにやってきたのに」

メニューを値上げしても継続していた、ランチタイムの「ご飯のおかわり無料」サービス。取引業者から伝えられた1.5倍の新米価格は経営に重くのしかかるとして有料化に踏み切りますが、客離れが起きないかを心配します。

店主の山形さん「新米が出るタイミングの前、『コメが無いよ』と言われてきたタイミングで見積もりが来たのが、ほぼほぼ1.5倍の値段。いろいろ計算したところ、継続は難しいかなと、今回思い切っておかわり有料としました。無料とりやめは、かなり悩みましたね。それでお客さん減っちゃうのかなと」

「令和の米騒動」とも言われた8月から9月にかけてのコメ不足は、新米の流通が増えると共に品薄状態は解消されるとされていました。

コメの卸として石川県内でトップシェアを占める米心石川の担当者は、小売りベースでも新米は去年より3割から4割ほど値上がりしていると話します。

新米が高いわけ…コスト高にコメ相場の上昇

高騰の背景として、生産コストや物流コストの上昇があります。コメの需給がひっ迫した夏ごろからコメの価格上昇していることも要因といいます。

話は戻って、おかわり無料の金沢市の中華料理店。

最終日となる9月30日にも多くの客が訪れていましたが、翌日から有料になることを伝えるとほとんどが「仕方がない」と納得している様子です。

常連客「週に一回利用している。周りの方がお代わりをしているのは見たことがある。物価が上がっているのでしょうがない」

店主の山形さん「おかわりは有料にしますが、最初に提供するご飯の量は大盛り無料で提供させてもらおうかなと。やはり『お腹いっぱいで帰ってもらいたい』というところですね」

一般家庭だけでなく個人営業の飲食店にとっても打撃が大きいコメの値段高騰。

山形さんは、今後さらに物価が上がることを危惧していて、来客数が減少する前にコメ農家との直接取引に切り替えることも検討しているということです。