自分を「過小評価」する日本人は4人に1人。医師が実践する「3歳の子ワーク」の効果

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現在、どんなにがんばっていても自分を過小評価してしまう「インポスター症候群」が、日本には4人にひとりいるといわれている。医師である田中遥さんは、インポスター症候群を「謙遜さん」と呼び、最新著書『「どうせ私なんて……」がなくなる 謙遜さんの本』(飛鳥新社)の中で少しでも変わる方法を紹介している。

誰しも日々の生活で嫌なことやネガティブな感情が生まれてしまうもの。しかし、あることをすると、驚くほど消えるという。医師が実践するそのワザを、本書より抜粋&再編集の上ご紹介する。

ネガティブな感情は「幸せ」に置き換える

「また、失敗してしまった」「なんで私はいつもこうなんだろう」と、頭の中は思考がグルグル渦巻いている……。

自己評価が低い謙遜さんに、ありがちなパターンです。

先ほどお話ししたとおり、気分の落ち込み自体は悪くありませんが、いつまでもそこから抜け出せなければ、行動まで消極的になってしまいます。

頭の中で渦巻く嫌な記憶や否定的な感情は1回忘れましょう。

「そうはいっても、実際、忘れるのはむずかしい」とみなさんはおっしゃいますが、実は簡単。その感情を、ほかのものに置き換えればいいのです。

「ほかのもの」とは、「いい気分」や「ホッとした気持ち」、「リラックスした状態」。また、あなたが幸せを感じる感覚を指します。

たとえば、お気に入りのカフェやショップに行ったり、映画をみたり散歩をしたり、あるいは、好きな入浴剤を入れてゆっくりお風呂に入ったりするだけで、気分は一新。マイナス思考から抜け出せます。

「推し」がいる人は「推し活」をすると、すぐに気分転換できるでしょう。ペットと触れ合ったり、気のおけない友人とおしゃべりしたりすれば、気分が変わるという人もいます。

あらかじめ、あなたなりの置き換え方法をいくつかピックアップしておきましょう。そうすれば安心です。一見、単純な方法にみえますが、効果は絶大。心が沈みかけたときにすぐ対処でき、堂々巡りをくり返す頻度が明らかに減ります。

ネガティブな感情はゴミ箱に捨てる

なにかを空想するのが好きな人は、イメージを使って気分を切り替えましょう。これはマインドフルネスの手法を応用したイメージ法です。

手順は次のとおりです。

(1)静かな場所に座り、目を閉じて深くゆっくりとした呼吸をくり返します

(2)過去の嫌な記憶やネガティブな気持ちが湧いてきたら、それらを遠くにポーンと飛ばすイメージをします

(3)深い呼吸を続けながら、しばらく(3)を続けます。心が落ち着いたと思ったら終了です

目的は、自分を苦しめる感情を手放すこと

ですから、イメージで「ゴミ箱」をつくってネガティブな感情をポンポン投げ入れていくなど、自分仕様のバージョンをつくるのもいいでしょう。

すると、「次はここを改善しよう」「そんなに気にしなくてもいいか」など新たなとらえ方ができ、心がラクになります。また何事にも、余裕をもって取り組めるようになるはずです。

あなたの内面にいる子と話すと、ネガティブな感情は消える

ほかにもネガティブな感情を切り替えるのではなく、受け入れてポジティブな感情に切り替える方法もあります。

心理カウンセラーとしてご活躍されている、矢場田勲先生が考案した「3歳の子のワーク」というものです。

自分の感情や内面にいる3歳の子のような存在を、大人の私が母性愛(父性愛)でありのままに受け入れるのです。

まずはそのやり方をご紹介します。

(1)不安や寂しさ、悲しい、怒りなどの気持ちに気づく

(2)体の中から、3歳の子を取り出すポーズをする

(3)3歳の子だとイメージできるものを、子どもを抱きしめるように抱きかかえる

(4)そのときの気持ちを、大人の自分が子どもの自分を受け入れるように、そのまま伝え返す

(5)落ち着いたら、「気づいてあげられなくてごめんね」「教えてくれてありがとう」など、声掛けをする

(6)冷静に考えられるようになったら、改善策や対処法を考える

いかがでしょうか。

(3)の3歳の子だとイメージするものは、ハンカチやクッション、ぬいぐるみなど、なんでもOKです。また、(4)の伝え返すときに「大丈夫だよ」という言葉は使用せず、不安だなと思ったら「不安なんだね」、つらいと思えば「つらいんだね」とそのままの気持ちを返しましょう。

もし、うまくできないという場合は、「3歳の子があなたと同じ気持ちを抱いているとしたら、どのように対処するか」を基準にしてみましょう。

できれば、ネガティブな感情だけでなく、がんばった自分をほめてあげるような「よしよし」するイメージでやってみると、優しい気持ちになります。

ネガティブな感情に気づき、受け入れる。

そうすると、次第に自分に優しくなれ、次はどうしたらいいかという改善策や、また日々の生活でがんばる自分に対して、ほめてあげることができるようになります。ネガティブな感情を受け入れることは、むしろポジティブな気持ちを生み出すのです。

著者プロフィール

田中 遥 (たなか・はるか)

医療法人ベスリ会理事長・ベスリクリニック院長・心療内科医・産業医

福島県立会津高等学校、東京慈恵会医科大学医学部卒業。ベスリクリニック、ベスリTMS横浜醫院にて勤務。医師、産業医としてビジネスパーソンのメンタルヘルスに従事している。単に病気がよくなる医療ではなく、どのように生きるかを追求する医療を目指している。

加藤紘織 (かとう・ひろお)

保健師・看護師

1996年、茨城県古河市生まれ。高校卒業後、家族が病気を患い入院したことをきっかけに、人々の健康を支える看護師を志す。また保健師の資格を取得。現在、ベスリTMS横浜醫院にて、保健師、看護師として勤務。睡眠外来、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)などのケアに従事している。

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