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「焼き肉店」の倒産が、過去最多のペースで増えているという心配なニュースです。値上げを決めた焼肉チェーン店もあります。なぜ、倒産や値上げが起きているのでしょうか。

【写真を見る】焼き肉店の倒産“過去最多” 去年同時期の2倍以上に「すべてのコストが上がっている」 小規模な店では厳しい価格競争に耐えきれず…

家族や友人、カップルで…幅広い層に人気の「焼肉」。多くの飲食店が苦しんだコロナ禍も、換気設備の充実などで乗り切り、飲食業界では数少ない「勝ち組」とも言われていました。

しかし今、焼肉店の倒産件数が過去最多のペースで増えています。帝国データバンクによりますと、ことし1月から9月までに倒産した焼肉事業者は39件。去年の同じ時期の2倍以上で、すでに年間の過去最多を更新しているのです。

なぜ、こんなことになっているのか。名古屋駅の近くの焼肉店で現状を聞きました。

仕入れ値だけではない「すべてのコストが…」

店長が頭を悩ませているのが…

(焼肉 福 名駅西口店 吉岡悠馬店長)
「仕入れ値が8%~10%上がっている。徐々に上がり続けている。特に輸入のタンやハラミ」

アメリカ産など輸入牛肉の原価が、4年前から平均で1.7倍にまで上昇しているのです。背景には歴史的な円安があります。さらに…

(吉岡店長)
「光熱費・人件費も全てのコストが上がっている」

10月から愛知県の最低賃金が1077円に引き上げられ、この店でも従業員の時給を上げました。

このため、店では10月1日、値上げに踏み切りました。厚切りタンを200円値上げして1780円に、ハラミを100円上げて1480円に。メニューのうち約3割の品を10%ほど値上げした形です。

メニュー見て「高いな」という反応をしていると不安に…

(吉岡店長)
「工夫として新メニューの開発などをしているが、それでも大変」

値上げに踏み切ったものの、気になるのはお客さんの反応です。

(吉岡店長)
「お客さんがメニューを見たときに『ちょっと高いな』という反応をしていると、お客さんが離れていかないか心配になる」

値上げせざるを得ない状況ですが、客離れが進んでしまうかもしれない不安。そうした思いが倒産にも影響しています。

帝国データバンクは原材料費の高騰に加え、小規模な焼き肉店では客離れを警戒して大幅な値上げに踏み切れず、厳しい価格競争に耐えきれなくなっていると分析しています。