アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年10月6日付で、現地時間10月10日に予定されていた無人探査機「Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)」の打ち上げを中止すると発表しました。メキシコ湾で発生して熱帯暴風雨からハリケーンに発達した「Milton(ミルトン)」が、ケネディ宇宙センターがあるフロリダ半島に接近すると予想されているためです。


Europa Clipperは木星の衛星エウロパの観測を目的としたミッションで、木星を周回しつつエウロパのフライバイ観測を40回以上行う予定です。機体にはカメラの他に分光計・レーダー・磁力計など9つの科学機器が搭載されており、氷の外殻の下に存在すると予想されている内部海の特性、表面・氷・内部海の相互作用、内部海の生命居住可能性などを探ります。打ち上げにはアメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)の「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」ロケットが使用されます。


NASAによると、Europa Clipperの打ち上げ期間はアメリカ東部夏時間2024年10月10日12時31分(日本時間同年10月11日1時31分)に始まりますが、前述の通りフロリダ半島にハリケーンの接近が予想されることから、10日の打ち上げは中止されました。打ち上げ期間は2024年11月6日まで続くため、暴風雨による施設の損傷の有無などが確認された後に次の打ち上げ機会を決定するということです。【最終更新:2024年10月7日11時台】


【▲ Falcon Heavyロケットのフェアリングに格納されるアメリカ航空宇宙局(NASA)の無人探査機「Europa Clipper」。2024年10月2日撮影(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】
【▲ ハリケーン「Milton」の進路予想図。アメリカ中部夏時間2024年10月6日19時時点(Credit: NOAA/NWS)】

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NASA - NASA, SpaceX Secure Europa Clipper Ahead of Hurricane

文・編集/sorae編集部