「パニック症」発作へのすぐできる対処法とは。治すには服薬は必須?

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パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

すぐにできる発作への対処法はありませんか?

パニック発作は、自律神経系の働きと深く関連しています。不安や緊張が高まり、交感神経の働きが強まっている状態のときにパニック発作は起こりやすくなります。不安や緊張の高まりを放置しておくと、パニック発作へと進んでいくおそれがあります。

交感神経の高ぶりは、副交感神経の働きを高めることで抑えられます。そして副交感神経の働きは、呼吸を落ち着かせるなど、自分で意識的におこなう行動で、高めることが可能です。発作がひどくなる前、まだコントロールがきく間に交感神経の高ぶりを抑え、副交感神経の働きを高めてリラックスした状態へと意図的に近づけることができれば、パニック発作のきっかけになるような身体反応が生じた場合でも、落ち着いて対処できるようになります。

・呼吸数を減らす発作が起きそうなときだけでなく、ふだんから呼吸法の練習をしておきましょう。

・筋肉をゆるめる座ったまま、立ったままなど同じ姿勢が続くときには、こまめに筋弛 緩法を試しましょう。

・目を閉じる睡眠中は副交感神経の働きが優勢になります。日中も、緊張を感じたときに軽く目をつぶり、ゆっくり呼吸することで落ち着きを取り戻しやすくなります。

心身の緊張をやわらげ、リラックスした状態をもたらす方法は、リラクセーション法といわれます。呼吸法や筋弛緩法もそのひとつです。ふだんから練習しておき、不安や緊張を感じたときに実践してみましょう。

また、交感神経を高ぶらせる習慣を見直すことも大切です。ふだんから睡眠不足や過剰なストレス、カフェインのとりすぎなどは避けるようにしましょう。

服薬は必須ですか? どんな薬が使われますか?

パニック症でみられる強い不安や、パニック症に伴いやすいうつ症状などは、脳の働きの問題で生じます。ストレスの軽減をはかるための環境調整は大切ですが、それだけでは治りにくいのがパニック症です。「抗うつ薬」や「抗不安薬」といわれるタイプの薬を使い、脳の働きを調整していく必要があります。

脳の働きは、脳に存在する膨大な数の神経細胞のネットワークによって生み出されます。それぞれの神経細胞は、神経伝達物質を受け取ることで活性化し、情報を伝えていきます。神経伝達物質にはさまざまなものがあり、それぞれが異なる役割を担っています。抗うつ薬や抗不安薬には、セロトニンやノルアドレナリン、GABAなど、パニック症と関連の深い神経伝達物質の量を増やしたり、効き方を強めたりする作用があります。服薬を続けることで脳の働きが整いやすくなり、パニック発作が起こりにくくなる、うつ症状が改善するなどの効果が期待できます。

続きは<「パニック症」発作を避けるための、自分なりの工夫は効果があるのか>で公開中。

「パニック症」発作を避けるための、自分なりの工夫は効果があるのか