後藤真希が、約13年ぶりとなるオリジナルミニアルバム『prAyer』を完成させた。

モーニング娘。に加入し、日本中を席巻した大ヒット曲「LOVEマシーン」でデビューしてから25年──本作はアニバーサリーイヤーに相応しい存在感を放つ作品であり、彼女の歴史や成長、変化や進化までもが凝縮された1枚に仕上がっている。

今回BARKSでは後藤真希にインタビューを実施。彼女がどのような想いのもと本作に向き合ったのか、ここだけの写真とともに生の声をお伝えしよう。

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◼︎“後藤真希は踊れる”っていうイメージが付くといいな

──ミニアルバム『prAyer』が完成しました。リリースを前にした今のお気持ちを聞かせてください。

後藤:新曲をリリースするのが13年ぶりなんだってことにまずびっくりですよね(笑)。ツアーとかライブは毎年やらせてもらってたりしてたんですが、新曲を出さずにやってたのかって考えたら、ある意味すごいなって自分でも思います。それくらい、久々なんですよね。何かを作る作業は久しぶりだったけど、なんの違和感もなくちゃんと完成させることができました。

──ビジュアルのイメージも含めて、タイトルや作品としてのコンセプトなど、どういう経緯でここに着地したんでしょうか。

後藤:曲を出して新たにアーティスト活動をスタートさせるっていうのは自分でもすごく大きなことだなと思ってるし、ファンのみんなにとっても「待ってました!」って感じもあると思うので、ここからまた羽ばたいていくよっていう雰囲気も感じてもらいたいというのがひとつありました。そして、今までやってきたけどここで一旦リセットねっていう気持ちも。今回25周年というタイミングでもあるので、ファンの子たちも歴史を振り返れるような、そういうきっかけを作れたらいいなという気持ちもありましたね。

──生まれ変わる、復活みたいなイメージもありますね。

後藤:生まれ変わる……。そうですね。7月にミニアルバムから先行配信リリースした「CLAP CLAP」のビジュアルはお花に包まれているんですが、あれは、私の中では棺に入っているイメージなんです。そして『prAyer』のジャケットは背中に蝶がいて、また羽ばたいていくんだっていう意思表示。「prAyer」のミュージックビデオは真っ暗な中にお花が床に敷かれていてそこで目覚めるっていうシーンがあったりするんですが、実はいろいろと物語が繋がっているんです。



──今回のミニアルバムという狭いくくりではなくて、全体的な流れとして大きなストーリーがあるんですね。

後藤:はい。「CLAP CLAP」のジャケットのイメージを話し合っている段階から、これから出していくミニアルバムやライブのビジュアルなど、すべてがストーリーとして繋がっていけばいいよねっていうイメージで考えていきました。ライブビジュアルはベールをかぶって撮影したんですけど、それは1stシングルの「愛のバカやろう」のオマージュだったりもして。

──深読みする楽しさがありますね。

後藤:ファンのみんなには、「考察を楽しんでね」って言ってるんです。でも、「prayer」のミュージックビデオを見たら「いやいや、もう燃やされてるやん!」「埋葬されてるやん!」って思いますよね(笑)。自分でも、完成したものを見るのがすごく楽しかったんで、いろいろ楽しんでもらえたらいいなって思ってます。


──全7曲が収録されたミニアルバム『prAyer』は、1本のライブを見ているような流れになっているなと感じました。特にオープニングの「QUEENDUM」はすごくドラマチックで、世界中の民がひれ伏すような存在感があるなと感じました。

後藤:あはは(笑)。これは歌っててめちゃくちゃ楽しかったです。1曲の中でいろんな展開があるから、歌い方とか声色とかで雰囲気を変えてるんですよ。歌詞のワードセンスもすごくいいですよね。今回のテーマである走馬灯だったり、一旦棺に入ってるところからまた羽ばたくみたいな感じのテーマが凝縮されてるし。

──ライブの演出なども、すごく見応えのある感じになるだろうなと思います。

後藤:まだ振り付けができてないから、私自身「どういう顔で歌うんだろう?」ってまだ見えていない感じなんですよね。ファンの前で私がこれを歌うとき、自分がどういうスタンスでいるのかが今から気になる曲でもあるというか。今までの曲みたいに簡単にジャンル分けができないので、実際のライブで表情だったりテンションがどう変化するのか、自分自身でも楽しみです。

──「CLAP CLAP」も、キャッチーだけど主人公は結構強気な感じですね。

後藤:たしかに(笑)。この曲はメロディーがそんなに複雑ではないから、多分ファンのみんなとも一緒に歌えそう。今どき感もありつつ、歌謡曲世代の人にもスッと馴染むような感じがいいなと思っています。あとこの曲って、大勢の人の前で披露しているイメージも浮かぶんです。ミュージックビデオもあわせて見てもらえると、世界観が広がっていろいろ楽しんでもらえそうな作品に仕上がったなと思ってます。



──ミュージックビデオのダンスシーン、すごく迫力がありました。

後藤:私、実はがっつり踊ってるミュージックビデオってそんなにないんですよ。ライブでは今までもめちゃくちゃ踊ってるんですけど、世の中的にはあまり私にダンスしているイメージがないみたいなんですよね。だからたまにTikTokとかでダンス動画を上げたりすると「え、こんなに踊れたんだ!」みたいに言われることもあって。だからこの「CLAP CLAP」のミュージックビデオで、“後藤真希は踊れる”っていうイメージが付くといいなっていう戦略(笑)。

──それこそモーニング娘。時代と今とでは、ダンスと言ってもジャンルや流行なども変わってきてますしね。

後藤:違いますよね。ハロー!プロジェクトにいた頃って、曲としてのリズムが難しいんではなくて、ポージングが難しいとか、そういう感じだったんです。覚えようと思ったら案外覚えられちゃうし、割と一定のノリで披露できる曲が多かったんですけど、最近はK-POP寄りのダンスが多かったりするので、すごく新鮮な分、慣れないステップもあったりして「ここ、どうなってんの!?」って思うこともあります。

◆インタビュー(2)へ


◼︎自分を愛せるようになることが、私にはもっと必要

──リード曲である「prayer」は、曲の世界にグッと引き込むインパクトがありました。『prAyer』がアルバムのタイトルになったのは?

後藤:直感みたいなものが大きかったと思います。そもそも「prayer」は、こういう曲が歌ってみたいっていうのを投げて集めていただいた曲の中の1曲なんですけど、ちょっとクセになる感じで、妙に哀愁も感じて、でも今どきっぽさもあるこの雰囲気が私にはすごく新鮮だったんです。結局私は今こういう曲を自分で求めてるんだろうなと思えたし、誰かの意見とかじゃなく、自分が歌いたいって思うのがこれなんだなってピンときたから、この曲をメインにしたし、アルバムのタイトルにもしたんです。「prayer」ってこのスペルだと“祈り”とかそういう意味にとられるけど、私の中では“1プレイヤー”みたいな意味もあって。これからもプレイしていくよ!っていうことですね。



──ミニアルバムの最後を締めくくる「I am」はとても潔いタイトルですし、人生を歌いたいという今の思いも伝わってくる曲だなと思います。

後藤:そうですね。この曲が最後に来ることによって、自分がまた浄化されるというかリセットされるような感じがします。歌詞もじっくり読んでいくと、すごく納得する言葉ばかりで。《変わらない今日に苛立った 偽り続けてた そんな自分にサヨナラ告げ 新しい私にありがとう》っていうフレーズは、今までを振り返りながらも前向きに進んでいる感じがあって、自分自身の人生みたいなものを感じるような曲だなと思いました。

──《変わらないままで生きるほど強くはなれなくて そんな自分も愛せたなら 誇らしい私に会えるかな》という歌詞もありますが、もう充分誇らしいのではと思ってしまいました(笑)。

後藤:そんなこと全然なくて(笑)。本当に最近、自分でも思うことがあるんですよ。

──というと?

後藤:《誇らしい私に会えるかな》ってありますけど、それは自分を愛せるようになることをひとつずつ自分で経験して、昇華していってこそなんですよね。そういう機会が、私にはもっと必要なんだろうなって思うんです。

──それはきっと、まだまだ成長していきたいとか、もっとやりたいことがあるからとか、ポジティブな気持ちがあるからでしょうね。

後藤:そうですね。前向きな気持ちでいると、じゃあこれもやらなきゃ、あれもやらなきゃとか、どんどんやるべきことややりたいことが出てくるじゃないですか。今、そういう状況なんですよ。いいことだ(笑)!


──相乗効果かもしれませんが、ミニアルバムの制作なども含めて、いいタイミングでこの25周年を迎えられたんですね。

後藤:このミニアルバムをリリースできることは、自分の中で結構大きなことでしたね。コロナ禍もあって、何年も“待て”の状態が続いてましたけど、やっと動き出せるとなったこの状況で、「頑張れるかも」って思えたのは大きい。やっぱり、アーティストとして作品を制作する時間はとっても充実していて。自分のやりたくないことに向き合わなきゃいけない時は「もう疲れた!」ってなっちゃうんですけど(笑)、制作中ってまったく疲れないんですよね。これが答えだなって思います。

──もうすぐライブもありますから、準備が始まっていくとさらに充実していきそうです。

後藤:本当に頑張んなきゃですね。レコーディングは終わったけど、ライブできちんと歌えるかどうかわかんないから(笑)。

──「BAD BOY」や「Flirty Sun」は、ライブの演出としても作り甲斐がありそうな曲だなと思いました。

後藤:(歌詞を見ながら)「Flirty Sun」、歌詞がめちゃくちゃ長いな(笑)。でもこの曲も雰囲気がね、他の楽曲とは全然違ってて。「BAD BOY」も今から行くよ!って感じですごくいい空間が作れそう。楽しみです。

──「Ivy」は、結婚式で使う人もいるんじゃないかなと思ったんですけど。

後藤:たしかに。《ありがとう》ってサビにもバーンと出てきますしね。この曲は、ライブでみんなが大きく左右に手を振ってくれるようなノリの曲が欲しいねっていうところから始まったんですね。それで探してもらった中で、すごくピンときたのがこの曲だったんです。私の曲の中になかったなとも思ったし。そこから他のデモとも比べて聴いてみて、でもやっぱりこれだよなって確信して、この曲を選んだんです。ミディアムな感じなんだけど2コーラス目に行くと、ちょっとラップのような雰囲気もありつつ、サビはすごいロングトーンで。おしゃれですよね。

──長く愛されていきそうな曲だなと思いました。しかも、聴いた方がみんな自分の人生を映すような曲でもあるんじゃないかなと思います。

後藤:「Ivy」って日本語では蔦で、歌詞にも《あの蔦のようになりたい》という一文があって。だいぶ前に占いをしてもらったときに、「あなたは例えるなら一輪の花だから、太陽の光をもらえないと枯れちゃうし、水がないと枯れちゃうし、土もちゃんと耕さないと枯れちゃう。つまり、あなたには見守って支えてくれる人がいてこそ綺麗に咲けるんですよ」って言われたんです。それをすごく覚えていて。3年くらい前に「ramus」っていう写真集を出したんですけど、それも幾つもの枝が育って成長していく="ramus"というところから名付けたんです。私が植物だとして、成長していくためにはみんなとの繋がりが大事ということ。この「Ivy」も、たまたまだったんですけど「そうか、これも私か」みたいな気分になって。自分の中でいろいろ繋がりができているような曲だなって、運命的でした。


──9月4日のリリース後には、兵庫と東京でワンマンライブが開催されます。こちらも楽しみですね。

後藤:覚えなきゃいけないことがいっぱいで大変ですけど(笑)。

──でも、モーニング娘。に入られたときは1日で10何曲か覚えたっていう伝説がありますよね。

後藤:1日じゃなくて、1週間です(笑)。1週間で13曲覚えなきゃいけなかったときは結構なカオス状態で、自分が今何をやってるいるのかさえわかってなかったですからね。なんか違うんだろうけど、どこを間違えてるのかすらわからないんですよ。詰め込みすぎて。だからよく夏先生に怒られてました。「もう本番出たくない!」っていう気分にまでなってましたからね。その様子は当時『ASAYAN』でも放送されてましたけど、もう無理、出たくありませんモードの顔が、今見てもすごく面白いんです(笑)。

──でも後藤さんのYouTubeチャンネルでつんく♂さんと対談されていた時に、つんく♂が「そういうときを経て今があるんだよ」っておっしゃっていましたよね。そして、後藤さんにはずっと歌い続けてほしいと。

後藤:私自身も思いますからね。同じハロプロの人たちや同じ時代を頑張ってきた人たちにはずっと歌っててほしいし、もっとライブとかもやって世に出てほしいって思うし、私にそう言ってくれる人もいます。だから、育ての親であるつんく♂さんもきっとそう思ってくれたのかなって思います。

──では最後に、ワンマンライブ、そして今後についての意気込みなどを聞かせてください。

後藤:ライブはとにかく楽しみです。25周年のテーマである、走馬灯を見ているような気分になりつつ、これからまた新しいところに向かっていくよっていう表現ができたら一番かな。リリースが9月4日で、ライブ初日が16日。結構短期間だけど、みんなしっかり聴き込んで来てほしいですね。「今、何の曲やってんの!?」みたいな状況にはならないでねって思います(笑)。

──それは大丈夫だと思いますよ(笑)。

後藤:どの曲も、みんなと育てていけるような曲にしていきたいなって思うんですよね。リリースイベントとかもありますけど、これからもみんなでどんどん進化させていこうぜって思ってます。ミニアルバムは例えるなら教科書みたいなもので、カスタマイズはこれから。今後の活動にも期待していてほしいなって思います。あ、私も「期待してるからね♡」ってプレッシャーかけておこうかな、ファンのみんなに(笑)。

取材・文◎山田邦子

ミニアルバム『prAyer』

2024年9月4日(水)リリース
発売元:エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社 
(レーベル:avex trax)



◼︎初回生産限定盤(豪華BOX仕様) AVZD-63629/B〜C
CD+Blu-ray Disc+7インチアナログレコード盤
豪華特典付きBOX仕様 19,800円(税込) / 18,000円(税抜)

[収録楽曲]
1. QUEENDOM
2. BAD BOY
3. prayer
4. Ivy
5. CLAP CLAP
6. Flirty Sun
7. I am

◆Blu-ray Disc (MusicVideo2曲・Blu-ray限定Version + MVメイキングやアルバム制作オフショット等特典映像収録)
◆7インチアナログレコード盤(カラードーナツEP盤・「CLAP CLAP」「prayer」 全2曲収録)
◆豪華BOX仕様・完全限定封入特典
1)完全撮りおろし豪華フォトブック(全40ページ)
2)25周年記念オリジナルベースボールシャツ
3)特製「prAyer」仕様オリジナルアクリルスタンド


◼︎通常盤 CDのみ7曲入 AVCD-63630 
2,970円(税込)/2,700円(税抜)

アルバム『prAyer』発売記念イベント

「後藤真希プレミアムイベント・トーク&ミニライブ&特典会 」
※楽天ブックスにて対象商品の購入者(先着)限定のイベント
楽天ブックス特設サイト:https://r10.to/hkA4Z5

【日程/会場】 2024年10月13日(日)
CITY HALL & GALLERY GOTANDA(東京・五反田)

・イベント内容
トーク&ミニライブ、ブックレットサイン会
※特典会ではブックレットに本人がサインを入れ手渡しをさせていただきます。

・対象商品
2024/9/4発売 後藤真希ALBUM「prAyer」※初回生産限定盤
【CD+Blu-ray Disc+アナログ盤】AVZD-63629/B〜C

・販売期間(先着販売)
1次販売:2024年 8月4日(日) 23:59まで
2次販売:2024年8月7日(水)19:00 〜 2024年9月29日(日)23:59まで

<後藤真希 25th anniversary live tour 2024 〜 pr∀yer 〜>

2024年9月16日 兵庫・あましんアルカイックホール・オクト
2024年9月21日 東京・山野ホール

チケット一般販売中
【先着チケット申込URL】
ローソンチケット: https://l-tike.com/makigoto/
イープラス: https://eplus.jp/gotomaki/
チケットぴあ: https://w.pia.jp/t/gotomaki/

関連リンク

◆YouTubeチャンネル「ゴマキのギルド」
◆後藤真希 オフィシャルInstagram
◆後藤真希 オフィシャルX