見応えのある駆け引きをした鈴木(右)と綱島(左)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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「お前、最低だ!」

 試合中、鹿島アントラーズ鈴木優磨東京ヴェルディサポーターから罵声を浴びせられる。握手拒否をした行為に対してである。東京Vのファン・サポーターなら、確かにそんな心情になるだろう。ただ、個人的には見応えのあるやり取りだった。

 2024年8月25日、味の素スタジアムで開催された東京Vと鹿島の一戦で43分、自陣でボールを受けた鈴木が東京Vの綱島悠斗の後方からのタックルに激怒。そのタックルで倒された鈴木はすぐに立ち上がると、凄んだ表情で綱島に向かって何かを言い放つ。

 笑顔で握手を求める綱島に対し、鈴木はその握手を拒否。直後に「お前、最低だ!」と罵声を浴びせられたのである。
 
 そんな状況下で綱島は無理やり両手で鈴木の手を握るのだが、そのやり取りはまさに心理戦。以後のバトルでメンタル的に上回ろうと、あえて凄んで握手に応じず綱島のメンタルを削ろうとした鈴木と、いやいやそれでも怯みませんよと笑顔で対応した綱島の駆け引きは見応え十分だった。

 鈴木とのマッチアップを綱島は次のように振り返っていた。

「鈴木選手がキーなのはスカウティングで入っていたので、自由にやらせていたら試合の流れも違うものになっていたと思います。狡賢くプレーしたつもりです」

 プレー以外の駆け引きも面白いのが、サッカーというスポーツだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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