Image: Artem Golub / Gizmodo US

話題になったのは一瞬だけ。はやくも全然売れてない。辛辣な意見が飛び交うApple(アップル)の空間コンピュータ、ヘッドセットのVision Pro。Vision Pro用のオペレーティングシステムvisionOSは、この秋、visionOS 2としてアップデートを予定。すでにデベロッパ向けのベータ版が配布されています。

Apple Vision Proをガチ使いしている米GizmodoのBarr記者が、さっそくvisionOS 2を試してみました。ジェスチャーの反応がよく、操作がしやすくなっているのがポイント。でも、劇的によくなることはなく、まだまだ未完の品という印象が残ります。

以下、使った感想です。

OSアプデが入っても、正直、Appleの高額ガジェット「Apple Vision Pro」の未来的に素晴らしい何かの技術デモという感覚が拭えません。visionOS 2ベータ版を触ってみて、Appleはまだ未知の領域を手探りで進んでいる段階から抜けていないことが伝わってきました。

もちろん、OSアプデでヘッドセットもよりよくはなっています。新ジェスチャーは反応がよく、操作がしやすい。Apple Vision Proを語るとき、使えるアプリの少なさを指摘する声が多く出ますが、個人的にはApple Vision Proが真に活きてくるのは、従来のApple端末(iPhoneやMacなど)と一緒に使えるユーザビリティが向上してからだと思っています。

大人気アプリの存在がハードを売るという話に辟易している今日この頃。確かに、優れたアプリはモノ(ハード)を売るかもしれません。しかし、そうして購入したモノを使い続けるには、やはりモノ自体のよさは必要不可欠。何百ドル、何千ドルという大枚叩いて購入する端末には、1つ以上のことができてほしいと思うのです。

「ゲーム機はゲームしかできないじゃないか!」という人もいますが、それは極端な話。だって、Xbox Series XやPlayStation 5を購入するとき、1タイトルしかプレイしない想定の人はいないでしょうから。

Apple Vision Proを入手して以来、(首が痛くならない程度に)日常タスクを日々これで行なっています。visionOS 2のアプデは、そもそも最高レベルに近かった目や手の動きのトラッキングが、さらに正確になり、引き締まった印象。ただ、そこが引き締まったところでヘッドセット自体は同じ。欲しいのは、ドラッグやピンチ以外のまったく新しいジェスチャーなんです。VRの世界の中でVRの世界と触れ合うジェスチャー、それなんです。

現時点で試しているのはあくまでもベータ版。本リリースがどうなるかは、出てみないとわかりません。そもそも、いつ出るのか明確にはされていません。iPhone 16の発表とともに、iOS 18やiPadOS 18などのリリースとともに、visionOS 2もやってくるかなというのが多くの予想。

操作性UP

Gif: Kyle Barr / Gizmodo US

ジェスチャーからアプリにアクセスしやすくなっています。手のひらを開いて、目的のアプリを見てタップする、それだけ。手のひらを返せば、コントロールセンターにアクセス可能。Meta Quest 3の最近のアプデに似ていますね。

ヘッドセット装着すると視野が狭まりますが、いっそ、キーボードやマウスで操作するのもありだし、Macのトラックパッドを使ってもいい。ジェスチャー以外でも、こっちの操作も向上しているようです。デスクに座っているときは、ジェスチャーよりマウスが速いって時もありますし。

個人的に大きいと感じたのは、ゲストプロフィールが設定、保存できること。保存しておけば、ゲストも目でアンロックが可能。以前は、ゲストアカウントを追加することはできたものの、毎回設定しないといけなくて、もうめちゃくちゃ面倒くさかったんです。が、アプデによって、最後に使ってから30日以内なら再設定の必要なしになってます。

アプデによる根本的な変化はある?

Screenshot: Kyle Barr / Gizmodo US

ホーム画面でのアプリの並び変更、ネイティブアプリ以外の追加が可能になり、圧倒的に使いやすさがアップしました。というか、最初からできとけよって気もしますが。

Appleがアプデで推してきたのは空間写真の部分。ほぼどんな写真でも、Apple Vision Proの世界では3Dっぽい空間写真にすることができます。画像に奥行きがあれば、この効果は非常に活きてきます。数ヶ月前に他界した愛犬、Remusの画像を空間写真にしたときは、涙が溢れました。空間写真にしてもしなくても、Remusのことを忘れることは絶対にありませんが、それでも感慨深さはありました。

Apple Vision Proリリース時に、YouTubeとNetflixのネイティブアプリがないことに大きな不満の声が出ていました。今もこれは変わらないものの、今回のアプデでブラウザ経由の視聴でのフルスクリーンモードが追加されました。Disney+やParamount+のVision Proアプリと同様のスクリーン感覚になります。今Appleができるのはこれが精一杯。

残念なのは、期待しているMacの画面をミラーリングで目の前に巨大化して映し出すことがまだできないこと。多分、visionOS 2の本リリースにも間に合わないのでは…。これは本当に残念。

Apple Vision Proに限らず、可能性が大きく、価格も高いARヘッドセットでは、小さなことでも大きな変化につながることが多々あります。が、今回のアプデ(ベータ版)ではその大きな変化を起こすアプデはなかったように感じます。

iPhoneとの相性UPに期待

Screenshot: Kyle Barr / Gizmodo US

なかには頑張ってるアプリもありますが、現時点ではほとんどのアプリが他のApple環境(iOSやMacOS)と同等の使い方はできません。ゲームも、モバイルゲームを単純に3D化したものばかりで、いっそストリーミングにするか、エミュレーターを使った方が満足度は高いかと。

フィルムやゲーム、エンタメの話に寄ってきましたが、そもそもの話に戻すと…。AppleはApple Vision Proを空間コンピュータと呼んでいます。ジャンルとしてはコンピュータなんです。つまり、使い方もコンピュータであるべきなんです。ネット観覧して、動画視聴して、メールやSlackの文章をキーボードで打って、今まさにスマホやパソコンでやっていることをするべきモノであるはずなんです。となれば、Macの画面のミラーリングなしではやりづらいわけです。一番使い勝手が上がってほしいのは、そこなんですよね。

MacOS Sequiaでは、iPhone画面のミラーリングが可能、Macのカーソルで操作可能になりました。現在ベータ版ですが、これ、めちゃスムーズに使えます。Apple Vision ProとMacの関係では、これがずいぶん楽になりました。が、iPhoneはまだまだ。Apple Vision ProのAirPlayレシーバーを設定すれば、iPhoneのミラーリングはできるものの、操作はできません。そもそもヘッドセット装着しているので、顔認証によるアンロックができない時点でイライラするんです。

ベータ版ではありますが、visionOS 2のアプデはまだまだ不完全。本当にハードが活きてくるのは、MacやiPhone画面を目の前、上、左右にミラーリング表示し、操作もできるようになってから。Apple Vision Proはあくまでもコンピュータであると考えると、アプデのスピードが遅すぎる気がします。

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