原作ガチファンが「天元突破グレンラガン対キルラキル展」に行ったら「一生ここに住みたい」となった

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※本記事には『天元突破グレンラガン』『キルラキル』のアニメ本編、および原画展に関するネタバレが含まれています。これから原画展に行こうとお考えの方はご注意ください。

原画展の出口

やだあああああああああああああここに住むううううううううううううううううう!!!!!

池袋PARCOさんとこの子になってここに住むんだあああああああああああああああ!!!!!

※編集部注:会場を出た直後の模様

現在、東京・池袋を含む4都市(池袋、名古屋、福岡、札幌)のPARCOで「天元突破グレンラガン対キルラキル展」が開催中だ(池袋、名古屋は終了)。

本展は、人気アニメ『天元突破グレンラガン(以下、グレンラガン)』『キルラキル』両作品の生原画1200点以上を展示するとんでもない催しだ。

私、ハチミツはこの原画展にメチャクチャ来たくてたまらなかった。

私は『キルラキル』が大好きだ。学生時代は第4話を作業用BGMに課題をやっていたぐらい『キルラキル』にハマっていた。青春のアニメの生原画、見たいに決まってる!

一方、『天元突破グレンラガン』はカミナの生死を知っていた程度だったので、先日全27話+劇場版2作を大急ぎで履修し、X(Twitter)で感想を投稿したりもした。

グレンラガン初見感想「グレンラガン対キルラキル展を楽しみたかっただけなのに」

すべては今回の展覧会を100%楽しむためである。

情緒ぶっ壊された ニアが忘れられない 『グレンラガン』、最高のアニメ。

そういう紆余曲折を経て、晴れて「天元突破グレンラガン対キルラキル展」を見に行ったのだが…

記事を書くために現地でとったメモの一部。なに言ってだこいつ

取材用メモが大変なことになった。

決して私だけが情緒不安定なわけではない。『グレンラガン』『キルラキル』両作品の原液たる生原画たちが発する熱は、10年以上前のものとは思えないほど鮮烈で、あの場の観客はその熱に静かに圧倒されていた。少なくとも私にはそう感じられた。

今回は『キルラキル』が昔から大好きで『グレンラガン』を大好きになったばかりの私が、「天元突破グレンラガン対キルラキル展」をネタバレ全開でレポートしていく。

原画を掲載できない関係上、9割方わけのわからない限界オタクのうめき声になってしまったが、それが私のレポート記事ってことだよ!

エントランス〜音声ガイドで開幕10割〜

当日の受付。チラ見えしているクソデカポスターにワクワク

7月16日18時の回の前売りチケットを用意し、5分前に池袋PARCO7階に到着。

前売りだけで1階下の踊り場に届く行列に無事入れるか不安になるも、時間になったら入場は比較的スムーズにいけた。受付でチケットをもぎってもらうと同時に、スマホで音声ガイドを聞くための手続きをしてもらう。

本展示は完全録り下ろし音声ガイドがセットになっており、自分のスマホで指定のサイトにアクセスして聞く仕組みだ。

博物館のようにイヤホンの貸し出しはないので私物(イヤホン)の用意は必須。さもなくば周りの迷惑にならないよう音量に気をつけながらスマホを耳に当てる必要がある。

公式サイトにある音声ガイド注意書き。行く人はよく読んでおこう

この音声ガイドがとにかく最高だった。

『グレンラガン』の展示はみんなの兄貴分・カミナ(声:小西克幸)が、『キルラキル』の展示は主人公・纏流子(声:小清水亜美)が紹介してくれるのだが、2人とも本編最終回後の時系列から話しかけてくれる。

カミナはシモンに「あばよダチ公」して多元宇宙でシモンから「行くぜダチ公」を返された”あの”カミナだし、流子はハッキリと「あの日から10年か」と言ってくれる。セーラー服を脱いで10年経った纏流子概念は脳に効く。なんだか泣きそうだ。まだ原画1枚も見てないのに。

ふわふわした気持ちでエントランスをさまよっていると、両作品を手がけた脚本家・中島かずき先生からのメッセージパネルが目に入った。

「ぜひ螺旋力に目覚め、人衣一体してください」

いや、それは怖いからいいです。

『天元突破グレンラガン』展示スペース〜ここに住ませろ〜

『天元突破グレンラガン』展示室。緑色に光るラガンを中心に原画を展示している

空間がもう熱い!!

最初の展示室は『グレンラガン』のコーナーで、部屋の中心に鎮座するラガン模型を囲むように原画、原画、原画、原画! その数、気分的に無量大数!

描きこみやスタッフへの指示文も見応え抜群で、原画そのものから熱が放たれているのでは…と思うほどの迫力があった。

空間を埋め尽くすほどの原画は適当に並べられているわけではなく、アニメスタジオのTRIGGERスタッフが当時の原画から展示にふさわしいものを選りすぐっている。

さらに本編のエピソードを複数ピックアップし、展示をブロック分けしているため「どの原画が何話のどのシーンのものか」がひと目でわかる親切設計だ。

原画選びの様子はTRIGGER公式のYouTubeチャンネルで動画が公開されているので、予習しておくとより楽しめるだろう。

企画展開催に向けた準備の様子がわかる

ちなみに、東京会場の展示で目立ったエピソードは次の8つだった。

『天元突破グレンラガン』原画展収録エピソード

第1話「お前のドリルで天を突け!」

第3話「顔が2つたぁ生意気な!!」

第8話「あばよ、ダチ公」

第11話「シモン、手をどけて」

第15話「私は明日へ向かいます」

第25話「お前の遺志は受け取った!」

第26話「行くぜ ダチ公」

第27話「天の光はすべて星」

『グレンラガン』のトロ尽くし。

シーンのチョイスもハンパじゃない。第8話はカミナが真っ白に燃え尽きる瞬間、第11話はシモンが「アニキは死んだ!」を言い放つシーン、第25話は螺旋力に目覚めたキタン一世一代の見せ場だし、第27話はシモンとニアの結婚式…シモンとニアが結婚してる!!!

トロの部分の大トロ原画が盛りだくさんだ。原画を通して「あのシーンだ! あのシーンだ!」とキャッキャできるのが楽しい。

音声ガイドではカミナが「シモンと再会したらいつの間にか背ぇ抜かれちまって…」と全力で後方からダチ公語りをしてくれている。目も耳も幸せでいっぱいだ!

気づけば私だけでなく、その場の全員がラガンを中心に展示室をぐるぐる行ったり来たりしていた。まるで巨大なドリルの一部になったような気分。

ラガンの頭上にはヨーコ愛用のライフル模型。デカい。これを14歳の女の子が使っていたのか…

さて。ヨーコのクソデカライフルで心を落ち着けながら、個人的『グレンラガン』スペースで絶対に見てほしい原画ナンバーワンを発表したい。

ずばり、第26話「行くぜ ダチ公」の甘い夢から醒めて”夫”から”戦士”になるヴィラルだ。視聴者の全員が「お前そういう奴だったの!?」と叫んだであろうあのシーンの原画も、ある。

何がすごいってヴィラルと目が合うのだ。本編を再生できる方は第26話の20分47秒あたりを見てほしい。多元宇宙で自分と幸せに過ごしてくれた妻子と無言の別れを告げる、ひどく穏やかな顔のヴィラルと目が合う。画面越しではなく至近距離でこちらを見つめてくる。私は…ヴィラルの妻子だった…?

アニメでは一時停止を連打しないとわからない”夫”から”戦士”への移り変わりも必見だ。変化の過程を比較しながら見られる、原画展の良さが一番発揮されていたと思う。

撮影禁止で実物をお見せできないのが残念でならない! 私のこの動揺をまったく共有できないじゃないか! あなたも見に行ってヴィラルのやさしい眼差しに錯乱してくれ!

アニメではなかなか見られないラガンの背中もじっくり見られる

結局『グレンラガン』スペースを40分ほど堪能し、次の部屋へ向かうことに。

正直「出たくない」「住ませろ」「毎日ここで清々しい朝を迎えたい」の気持ちしかなく、ラガンが放つ緑の光に後ろ髪を引かれる想いで退場したのだった。なんて罪な原画展なんだ「天元突破グレンラガン対キルラキル展」。

螺旋展示スペース〜劇場版『天元突破グレンラガン対キルラキル』か?〜

第2の展示室、螺旋展示

グレンラガンレスとともに訪れた2つ目の展示室は、両作品を繋ぐ螺旋展示だ。ぐるりと円状のパーテーションに原画が飾られており、前半部を『キルラキル』が、後半部を『グレンラガン』がそれぞれ担う。

観客は螺旋に導かれるように、パーテーションに沿いながら鑑賞していくわけだ。

螺旋にあやかった展示室の目玉はもちろん『グレンラガン』…ではなく『キルラキル』! しかも二大ヒロイン、纏流子と鬼龍院皐月のW変身バンクフルカット原画集という超豪華仕様だ!!

螺旋の空間で流子と皐月が変身する…喪失感にまみれた心がみるみるテンションを上げていく。もし劇場版『天元突破グレンラガン対キルラキル』があればクライマックスはこれで決まりだろう。原初生命戦維をブチ抜くギガドリルブレイクとか超見たい。

音声ガイドで10年後纏流子(概念)のあの頃と変わらぬ「人衣一体!」を聞きながら、流子と皐月の変身を追いかけていく。とにかく枚数が多い。何枚あるのか数えようとしたが、100を超えたあたりで諦めてしまった。

アニメでは1分足らずの変身バンクを静止画で余すことなく観察できる機会はそうそうない。「流子も皐月もカッコイイだけじゃなく美しいんだな…」とリアタイでは辿り着けなかった真実に触れながら楽しんだ。

後半部では、先の展示室になかった『グレンラガン』第1話の原画が飾られていた。2周目視聴で100%ひっくり返ると噂の第1話冒頭シーンの原画もあるので、あの謎の男ファンはこれだけでも見る価値があるだろう。

さて、螺旋展示レポートの最後に「天元突破グレンラガン対キルラキル展」に来場して感じた注意点を伝えておこう。なるべく動きやすい服装で来た方がいい。

膨大な数の原画を展示するためか、上は天井ギリギリ下は地面スレスレまで原画でみっしりとしている。丁寧に鑑賞するには背伸びしたりしゃがんだりをくり返さなければならない。

螺旋展示は特にその傾向が強く、流子・皐月W変身コーナーを1枚ずつ鑑賞したいならスクワットがごとき屈伸運動を覚悟しよう。

推しコンテンツのためにおしゃれをして挑みたい人も、その点を考慮して衣装を考えたほうがいいかもしれない。

『キルラキル』スペース〜纏流子がどうにも止まらない〜

『キルラキル』展示室の中央に鎮座するのは流子の「片太刀バサミ」と皐月の「縛斬(ばくざん)」。第22話の並び立ちを連想させる構図だ

いよいよ最後の原画展示室である『キルラキル』の展示室にたどり着いた。いきなりだが音声ガイドの話をさせてほしい。原画展だけど。

一般的な音声ガイドは「音声」が「観客」に語りかけるものだ。『グレンラガン』担当のカミナも、観客である私に展示を解説したりシモン自慢をしたりしてくれた。

だが流子は違う。彼女が語りかけるのは観客である私ではなく、最終話で別れた鮮血なのだ。

『キルラキル』展示室の音声ガイドを再生すると、流子はまず「お前」と、もういない鮮血に語りかけ、彼と思い出話をするかたちで展示を紹介していく。時間としては1分弱の短いものだが、そこに10年分の想いが込められているかのような、とてもやさしい声色だった。

そして、流子は最後にこう締めくくる。

流子「セーラー服を卒業したんだ」

これ、本当に私が聞いていいのか…? 完全に鮮血への10年越しのメッセージなんだが…?

『キルラキル』はTV本編で綺麗に完結している。本能寺学園を卒業し、皐月やマコとデートをした後の流子は公式に描かれていないはずだ。

リアタイから10年間「纏流子はあの後どうなったんだろう?」と思いを馳せたこともあったが、あんなに美しく終わった物語に「その後」を求めるのは野暮だと深く考えなかった。

もちろん、音声ガイドの纏流子=本編から10年後の纏流子本人と明言されているわけではない。それはわかっているのだが、それでもあの物語から10年経ってなお、鮮血を大事に想う纏流子の声が聞けるなんて夢にも思わなかった。

今こうしてやさしく語っている纏流子は、はたして鮮血が嫉妬するような服を着てくれているのだろうか…。

『キルラキル』原画展収録エピソード

第1話「あざみのごとく棘あれば」

第3話「純潔」

第7話「憎みきれないろくでなし」

第12話「悲しみにつばをかけろ」

第15話「どうにもとまらない」

第20話「とおく群衆を離れて」

第24話「果てしなき闇の彼方に」

第25話「さよならをもう一度」※TV未放送エピソード

原画も最高だったので触れておこう。『グレンラガン』同様、特定のエピソードごとに原画をピックアップした形式で展示されており、そのチョイスもファン心をくすぐるものばかりだ。

個人的に面白かったのが、あらゆるシリアスをゆるくしてしまうファンおなじみ「マコ劇場」の原画だった。

当然だがマコの奇行にも原画があるし、スタッフへの指示文も書きこまれている。あのふざけにふざけたわけのわからない「マコ劇場」のワンカットにまじめな指示が書かれていた事実がもう面白すぎる。ハーレルヤ!

特別映像&物販スペース〜帰りたくない〜

「天元突破グレンラガン対キルラキル展」もクライマックス。最後の展示室は『天元突破グレンラガン』と『キルラキル』の映像を掛け合わせた特別映像コーナーだ。

好きなアニメもその原画を見てきたばかりだとひと味違う。「あ、さっき見た絵だ!」と気づけるのが楽しい。

ちなみに音声も流れており、他の展示室に天元突破グレンラガンの合体口上が全力で音漏れしていた。具体的には『グレンラガン』展示室で最終話の原画見てたら「俺たちを誰だと思ってやがる!!」が聞こえてくる。人を幸せにする音漏れ。

物販スペースで特に目立っていた『天元突破グレンラガン』の特別フィギュア。販売されており、お値段は30万円オーバー

あとはカミナが天を指差すポーズが印象的な特別フィギュアが鎮座する物販スペースでお買い物をすませれば、夢のような「天元突破グレンラガン対キルラキル展」もおしまいだ! お疲れ様!

本展はただ原画を羅列しているだけではなかった。選ばれた原画や音声ガイドの力で『天元突破グレンラガン』『キルラキル』を初めて見たあの日の感動を魂の奥底から引きずり出す…そんなパワーを持つ超弩級の空間だった。

『天元突破グレンラガン』『キルラキル』が好きな全人類向け企画展といっても過言ではないだろう。「原画にはあまり興味ないなぁ」なんて人にこそ足を運んでほしい。

綺麗にまとめたところで退場の時間だ。物販スペースまで来たら展示スペースへの後戻りはできないし、入場から一定時間が過ぎると音声ガイドも聞けなくなる。悔いが残らないよう、せめて好きなだけ買い物をしてから外に出よう。

悔いが、残らないように…

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やだああああああああああああああここに住むううううううううううううううううう!!!!

池袋PARCOさんとこの子になってここに住むんだあああああああああああああああ!!!!

終わりに

物販スペースでゲットした戦利品の一部。シモンとニアぎゅーっとしろ

『天元突破グレンラガン』も『キルラキル』も好きになって本当に良かった。

100%どころか何億%も楽しめた「天元突破グレンラガン対キルラキル展」レポート、いかがだっただろうか。まずはこの場を借りて本展を企画進行してくださっているすべての方々に感謝したい。本当にありがとうございました。

さて、私が見に行った「天元突破グレンラガン対キルラキル展」東京会場は7月29日(月)18時まで開催し、その後は愛知県、福岡県、北海道と巡回しながら12月まで開催予定だ。

今回のレポートを通して世界中のひとりでも多くのファンが足を運んでくれると嬉しいし、私のように情緒ぐちゃぐちゃでメソメソ泣きながら出口でうろたえてくれるともっと嬉しい。お前も私と同じものになれ。

最後にこれは余談だが、出口に差し掛かった時、私は本気で帰りたくなかった。

「せめて当日券を買って閉館まで粘れないか?」とまじめに考えたのだが、そんな私の未練に風穴を開けたのは音声ガイドだ。実は本展には、これから帰る人のためのメッセージが用意されている。

最後に誰が、何を伝えてくれるのか。こればかりはぜひ自分の耳で聞いてほしい。聞いてくれ! 絶対に「聞いてよかった」と思えるから!

俺を信じるな!!!

「天元突破グレンラガン対キルラキル展」を信じろ!!!!

 

「天元突破グレンラガン対キルラキル展」

■巡回スケジュール

〈東京都〉2024年7月12日(金)〜7月29日(月)池袋PARCO 本館7F・PARCO FACTORY

〈愛知県〉2024年8月3日(土)〜8月12日(月・祝)名古屋PARCO 南館7F PARCO SQUARE

〈福岡県〉2024年9月20日(金)〜10月6日(日)福岡PARCO 本館5F・PARCO FACTORY

〈北海道〉2024年12月6日(金)〜12月15日(日)札幌PARCO 7F・SPACE7

■東京会場イベント情報

営業時間:11:00〜21:00※入場は閉場の30分前まで。最終日は18:00閉場

会場:池袋PARCO 本館7F PARCO FACTORY

入場料:音声ガイド付き1800円(税込)

※小学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要)

※株主優待を含む全ての割引対象外

©中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」
©TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会

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