『Missナイト & Missデイ』(写真はJTBC公式サイトより)

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 Netflixで6月16日より独占配信中の『Missナイト & Missデイ』が日本で「今日のTV番組TOP10」の常連、グローバルランキングでも6位と好評だ(6月17日~6月23日週)。2019年『パラサイト 半地下の家族』で一躍世界的認知度を高めた、名バイプレーヤーのイ・ジョンウンと、Apinkのチョン・ウンジが2人1役で、夜と昼で20代と50代に変身する女性イ・ミジン役を演じている。本稿では、第3話、第4話を中心にここまでの流れをご紹介したい。(以下、ネタバレあり)

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 チョン・ウンジ演じる、30代を目前に控えた就活浪人中のミジンは、公務員採用試験に挑戦するも不合格となる。ミジンが藁にも縋る思いで掴んだチャンスだと思ったものは、就活詐欺で母チョン(チョン・ヨンジュ)から預かった店の資金を奪われてしまう。そこに偶然居合わせた、チェ・ジニョク演じる検事のケ・ジウンにより、ミジンは救われる。ミジンは、ジウンの車で警察署に送ってもらうが、その際にミジンが持っていた履歴書と、ジウンの書類が気づかぬうちに入れ替わる。

 帰宅したミジンは、井戸に落ちた猫を助けたことがきっかけで、昼になると50代に変身してしまう体になる。慌てるミジンだが、50代の女性「イム・スン」としてソハン地検のシニアインターンに見事合格する。そこへソハン地検検事として異動してきたジウンの元で働くことになる。

 ジウンは、バラバラ殺人の連絡を受けて事件の現場に急行し、犯人らしき男の乗った車を追いかける。その頃、ミジンは犯人の乗った車と接触し、あわや危機一髪のところにジウンが駆けつけ犯人は逃走する。その後、ジウンは、犯人に顔を見られたミジンを心配し、彼女に護身用の道具を持たせる。さらに、自分の番号を短縮1番に登録し、ミジンの携帯電話にGPSを彼女の知らない間に取り付ける。

 一方、イ・ジョンウン演じる50代のミジンは、ミジンの叔母イム・スンの名前で、ソハン地検でシニアインターンとして活躍していた。仲間のインターンも、元刑事や元病院長など癖のある人の集まりで、彼らものちに活躍しそうな気配だ。

 名バイプレーヤーとして、様々な顔を見せてきたイ・ジョンウンだが、本作では見た目は50代のアジュンマ(韓国語でおばさんの意)だが、中身は20代の今の若者を見事に演じている。軽快なダンスステップを見せ、20代の馬力ある若さ溢れた自転車の漕ぎ方をし、使う言葉も若者のソレだ。その様子がコミカルで思わず笑わせられる、“中の人”が20代に見える演技を見せるのは、さすがイ・ジョンウンだ。

 20代のミジンを演じるチョン・ウンジも、俳優デビューを果たした『応答せよ1997』で披露した方言と歯に衣着せぬ物言い、『酒飲みな都会の女たち』でも見せた口の悪さは顕在で、チョン・ウンジはこういう役が上手い。

 チェ・ジニョクは、クールで部下や同僚からは煙たがられているが、その実、内面はとても優しい検事ジウンとして、20代のミジンと50代のスンに振り回されている。ジウンは、幼少の頃に母を殺人事件で亡くしており、ジウンが追っている事件と母の事件、ミジンの叔母の失踪事件が繋がっていきそうな様相だ。

 チェ・ジニョクは、2006年にデビュー後、さまざまな作品に出演しているが、2013年『相続者たち』ではイ・ミンホ演じるキム・タンの腹違いの兄ウォン役で、冷淡さを見せ、2014年『運命のように君を愛してる』での2番手男子ダニエル役では、チャン・ナラ演じるヒロインのために奉仕的な愛を見せていた。2017年の『愛の迷宮‐トンネル‐』では、タイムリープのできる刑事グァンホ役として、本作と同じように事件を追う姿をとても魅力的に演じている。

 2020年『ゾンビ探偵』ではゾンビとバレないようにBBクリームを塗ったり、2020年『哲仁王后~俺がクイーン!?』でもコミカルな演技を披露し、高いコメディセンスを見せているが、本作でもスンや検察捜査官ビョンドク(ユン・ビョンヒ)とのやり取りに笑わせられる。

 “変身もの”の面白さは、周囲に秘密にしている“変身”がバレそうなハラハラ感と、バレたときの周囲の様子、どうやって元に戻るのか、などが挙げられる。さらに本作では、以前から追っている連続殺人事件の謎と解決も気になり、犯人が誰なのか、どうやって追い詰めていくのかも目が離せない。

 作中で、ナイト(夜)とデイ(昼)でミジンとスンがスイッチする瞬間に、リンゴを齧っている最中に変身してしまったり、自転車を漕ぎながら変身したりと思わず笑ってしまう場面も多い。コメディとサスペンス、ミジンとジウンの間に漂うロマンスの予感と、一粒で何度もおいしい“多ジャンルドラマ”の本作。ナイト&デイの両方のMissに魅了され、最後は1人になってしまうのが寂しく感じる程に、すでに愛着を感じさせるキャラクターたちが誕生した。(文=にこ)