【マンガ「ダンダダン」】
少年ジャンプ+にて連載中
【TVアニメ「ダンダダン」】
10月 放送開始予定

 集英社のコミック配信サービス「少年ジャンプ+」にて連載中のマンガ「ダンダダン」。

 龍幸伸氏の手によって2021年4月からスタートした本作は、連載が始まるやいなやSNSを中心に話題となり、第1話は公開2日で100万PVを達成。「次にくるマンガ大賞2021」Webマンガ部門2位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」&「出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2022」で1位を獲得するなど、瞬く間に「ジャンプ+」看板作品の仲間入りを果たした。2023年にはTVアニメ化が発表され、いま最も勢いのある作品のひとつだ。ここでは、10月のアニメ放送開始を控えた「ダンダダン」の魅力について振り返ってみたい。

【TVアニメ「ダンダダン」第2弾PV|24年10月放送開始】

6月末には第2弾PVが公開された

対象的なダブル主人公を起用した「ダンダダン」のストーリー

 「オカルティック怪奇バトル」と紹介される本作は、その切り口として「宇宙人の存在は信じていないが幽霊のことは信じているギャル女子高生」の綾瀬桃と、「幽霊の存在は信じていないが宇宙人のことは信じているオカルトマニア男子高校生」の高倉健(桃からはオカルンと呼ばれている)という、対象的なダブル主人公を中心としたストーリーが展開される。

 相反する信条を持つ桃とオカルンは、それぞれUFO・心霊スポットに乗り込んで宇宙人・幽霊がいることを証明するための勝負に挑む。そこでオカルンが強い力を持つ妖怪・ターボババアに呪われてしまったことをきっかけに、2人は様々な怪奇現象へと巻き込まれていく。

“ごった煮”を成立させている絶妙なバランス感

 作者の龍幸伸氏は、映画の「貞子vs伽椰子」から本作の着想を得たと過去にインタビュー(※)で明かしており、「良い意味で馬鹿っぽくてすごく楽しめた」と語っている。まず、筆者が本作の魅力として紹介したいのはまさにここで、オカルトというテーマを主軸にした“ごった煮感”だ。

□「良い意味で馬鹿っぽい、面白い話が描きたかった」SNSで話題の『ダンダダン』作者・龍幸伸インタビュー/ダ・ヴィンチニュースのページ

 幽霊、妖怪、宇宙人、地底人、巨大生物に怪異や超能力や呪い、都市伝説にUMAなど、現代科学では説明できないオカルティックなものは全部入りといった作風だが、「実は宇宙人の侵攻から妖怪が地球を守っている」という、ありそうでなかった対立構造を盛り込んだ点が特にユニークだ。また、基本的にコメディタッチな言動をするキャラクターに対し、本能に訴えかける不気味さを漂わせたオカルト的存在が登場する。それらを緻密な描き込みや大胆な構図で見せる画力など、相反する要素を上手く混ぜ込みながらマンガとして絶妙なバランスでまとめ上げている。

オカルト全部盛りにラブコメも! その振り幅を表現し切る画力

 本作の“ごった煮感”はこれだけに留まらず、ラブコメや青春群像劇といった要素まで入ってくる。俳優の高倉健のように硬派な男が好きな桃は、「ジブン不器用なんで……」というセリフを発したオカルンが、憧れの高倉健と同姓同名であることをきっかけに異性として意識し始める(そもそも第1話のタイトルが「それって恋のはじまりじゃんよ」である)。

 様々なトラブルに巻き込まれながらやきもきしたり、一本気で男らしい面も持つオカルンに惹かれていく桃のかわいらしさは、本作の魅力を語る上で欠かすことのできない要素だ(また、そんな女の子まで描ける龍幸伸氏の画力には感嘆する)。

人間だけでなくオカルト側のキャラクターまで、多軸展開される重厚なドラマ

 宇宙人との接触を契機に超能力が使えるようになった桃、ターボババアの呪いを自ら引き出せるようになったオカルンのほかにも、本編では様々な怪奇現象を通じて、2人の幼馴染やクラスメイトなど多彩なキャラクターが能力に覚醒し、仲間となる。そのきっかけとなるのはやはりオカルティックな存在との接触なのだが、各エピソードではそれぞれが秘めている過去と密接に絡んだ人間ドラマが描かれる。

 桃とオカルンの仲間となるキャラクターたちはもちろん、元は人間だった妖怪がなぜそうなってしまったのかや、病気の息子のために奮闘する宇宙人など、オカルト側の存在についても掘り下げるシーンがあり、ドラマを展開できる軸が多数用意されていることが物語に厚みを持たせている。

 現在連載されている最新エピソードでは、映画「ジュマンジ」に代表されるような、呪いのボードゲームをテーマとした物語が展開中。ボードゲームの中の世界に取り込まれてしまった桃が、そこから脱出するためにゲームを進めていくが……? という内容だ。腕っぷしが強く、強力な妖怪・アンブレボーイ(唐傘お化け)の力を操る新キャラクター・頭間雲児が登場している。彼がどんな過去を持つ人物なのか、ぜひ「ジャンプ+」で確認してほしい。

アニメは10月より放送を予定。オカルンは花江夏樹さん、モモ役は若山詩音さんが演じる

(C)龍幸伸/集英社
(C)龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会