洗濯機の「ドラム式」と「縦型」にはどのような違いがあるのでしょうか。洗浄力の違いや洗い方、落としやすい汚れなどについて、家電エバンジェリストの安蔵靖志が解説します。

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「ドラム式」と「縦型」の2種類がある洗濯機。購入時にどちらにするか迷ったことがある人も多いのではないでしょうか。それぞれの種類の洗い方や汚れの落ち方はどのように違うのでしょうか。

今回は、家電エバンジェリストで「All About」デジタル・家電ガイドの安蔵靖志が、解説します。

(今回の質問)
ドラム式と縦型、洗濯機で洗浄能力が高いのはどちらですか?洗い方もそれぞれ異なるんでしょうか?

(回答)
皮脂汚れに強いのはドラム式、泥汚れなど固形汚れに強いのは縦型です。洗浄力に大きな違いはないといえます。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

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洗濯方法が大きく異なり、落としやすい汚れが異なります

「ドラム式」は、洗濯槽を垂直方向に回転させることで衣類を上から下に落とす「たたき洗い」と、ドラムを揺すりながら衣類をもむように洗う「もみ洗い」の2種類の洗い方で衣類の汚れを落とします。衣類や洗剤液を上から下に落とすため、縦型に比べて少量の水で洗うのが特徴です。水量が少ないことから洗剤の濃度を濃くできるので、皮脂汚れをしっかり分解して落とすことができます。その一方で、少量の水で洗うため、洗濯で落ちた汚れがほかの洗濯物に移る「汚れ移り」が生じやすい点はデメリットといえるでしょう。

「縦型」は洗濯槽の底にある「パルセーター」と呼ばれる羽根のような部品を回転させることで、槽内の衣類をこすり合わせるように「もみ洗い」することで衣類の汚れを落とします。この方法は衣類をこすり合わせるため、泥汚れなどの固形汚れが落ちやすいものの、衣類が傷みやすいというデメリットも。また、ドラム式よりも多くの水を使うため、水道代がかさむ点も注意が必要でしょう。

このように、それぞれメリットとデメリットがあります。泥汚れなどが付きやすい育ち盛りの子どもがいる家庭では縦型、ワイシャツやブラウス、下着など、普段の生活で付く皮脂汚れが多くて衣類の傷みを避けたい家庭ではドラム式を選ぶといいのではないでしょうか。

洗浄力に大きな違いはなし。自らのニーズをしっかりと考えて選びましょう

ただし、ドラム式で汚れ移りを防止するために予洗いをしたり、「2度洗いモード」を使うといった方法で対処することも可能。また、共働き家庭などで乾燥機能を多用したい家庭では、ヒーターを搭載する縦型洗濯乾燥機よりも省エネなヒートポンプ方式を搭載するドラム式洗濯乾燥機の方が断然おすすめです。

以前は縦型の方がドラム式よりも洗浄力が高いと言われていましたが、先述したようにタイプの違いがあるだけで、洗浄力に大きな違いはありません。どのような汚れを落としたいのか、どのような衣類を洗うことが多いのか、乾燥機能が必要かどうかなどのニーズに合わせて選ぶといいでしょう。

この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
(文:安蔵 靖志)