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学校の一大イベントでもある運動会。感染症の流行で中止・縮小された学校もあったようですが、最近は以前と同じような規模で行えるようになったところも多いのではないでしょうか。当日までワクワクしながら準備に励む子もいそうです。

しかし、一方では運動会が憂鬱(ゆううつ)でたまらない子もいるようで……。

運動が苦手な子にとって、憂鬱でしかない運動会。見る側の親も辛い

『私も子どもも、運動会が憂鬱です。もともと運動が得意ではないし、スポ少などをしている子たちとは体力が違うので、走るのが圧倒的に遅い。練習も憂鬱のようですが、当日までわが子とどんなふうに接したらよいでしょう? 足が速い子は、いつもどおり速い。「悩みなんてないんだろうな、いいな」と、子どもは言っています』


ママスタコミュニティに届いた投稿です。

「あの子は足が速い・遅い」という差がなんとなく出始めるのは、年長あたりでしょうか? 幼児の頃はスタートの合図が鳴ってもぼんやりしている子、真っすぐに走れない子もいますが、小学生になる頃には多くの子が”必死になって速く走る”ことができるようになります。ある程度速く走れる子なら「リレーの選手に選ばれるかな」と、運動会を楽しみにすることもあるかもしれません。

集まったコメントのなかには、投稿者さんの気持ちに大いに共感するママからの声がありました。

『私自身、運動が苦手でした。ビリ確実で走っていると「おっそ!」とクスクス笑われ、屈辱でした。運動会が嫌すぎて母親に懇願して、何度か休んだ記憶があります。わが子も走るのが遅く、運動会が嫌だとグチグチ……。本当に辛いのなら、休むのもありなのでは? 速い子とは体力の差がありすぎて、保護者席で見ている側もぶっちゃけ辛い。できれば見に行きたくないほどです』


このママさんの小学生時代とは違い、今の学校では足の遅いお子さんをクラスみんなが「頑張れ頑張れ!」と応援してくれるそう。やさしさはありがたいものの、お子さんの辛い気持ちに変わりはないようです。

とくに小学校において、足が速い子はスーパースター。人気者の条件のひとつにもなり得るほどです。しかし足が速い子がいれば、当然のように遅い子が存在します。

足の速い子にだって悩みはある!そして努力もしている

『今って、徒競走は同じくらいのタイム同士で組んでくれたりしない?』


こんな声もありました。先ほどのコメントからはみんなが圧倒的な速さでゴールするなか、のんびりひとりだけお友達を追いかけるシーンが浮かびましたが……。たしかに近年は体育の授業などでタイムを取り、近いタイムの子でグループを作り競うことが一般的かもしれません。つまり、足が特別速くない子だって、徒競走で1位を取れるチャンスはあるのです。

『うちも運動神経はよくないけど毎年似たような子たちと走っているから、全然憂鬱じゃない。悩むこともない』


さらに投稿者のお子さんが「悩みなんてないんだろうな」と考える、足の速い子にだって悩みはあるといいます。

『4クラスあったとすれば、リレーのアンカーは4人。クラスで一番速い子であっても全員が速いなか、必死で走るんだよ』


みんなが「あの子は速い」と期待するなかで走るのですから、プレッシャーは相当でしょう。

『運動会を前に、うちも走る練習をしているよ。速い子は他にもいるから、結局1位が取れないこともある。「悔しい」と落ち込む子どもを励ますのも大変』


ほかにも「うちは1位を取る気満々で、練習にも一生懸命向き合っている。その気持ちを勉強にも向けてほしい(笑)」といった声もありました。足が速いとされる子たちは、さらに速く走るための練習をしているのです。ただただ生まれ持った能力に甘えているだけではないのがわかります。

徒競走だけが運動会じゃない!頑張ること自体が大事

足が速い子がいれば、そうでない子もいる。勉強ができる子がいれば、苦手な子もいる。絵が得意な子がいれば、苦手な子もいる。それぞれに得意不得意はあります。投稿者さん親子にとっての運動会はその苦手なことがクローズアップされてしまうのでしょうが、そこだけを見て憂鬱になるのは、少しもったいないのではないでしょうか。

『親は憂鬱な顔をせず、子どもに「頑張っている姿を見るのが楽しみ」と言ってあげればいいじゃない。大事なのは「最大限の努力をしなさい」ということ』


走ることが苦手なら、少しでも速く走れるよう練習することもできます。その結果誰かひとりでも追い抜けたら上出来ですし、自己タイムが少しでも速くなれば「やればできる」と自信が持てます。

『うちも運動音痴で、かけっこでは4位か5位。でも運動会前は「全力で頑張れ!」と励ますし、結果が悪くても「よく頑張った! 偉い!」と言っています』


結果がどうであれ一生懸命に頑張っているわが子の姿は、ママにとっての宝物にだってなり得ます。

『うちも走るのは遅いけど、障害物競争では1位を取ったことがある。応援団に入った年もあったし、放送係を担当した年もある。走る以外にも頑張れるところはあるよ。そういうことに目を向けたらいいんじゃない?』


「恥ずかしそうにダンスしている姿も思い出。徒競走だけが運動会じゃないよ」という声もありました。投稿者さん自身も小学生時代の運動会によい思い出がないのかもしれませんが、親子でネガティブになっていては、何ひとつ楽しいことを見つけられないまま終わってしまいそうです。せめてママだけは明るく、お子さんが少しでも運動会を楽しめるように励ましてあげてほしいです。

文・鈴木麻子 編集・すずらん イラスト・Ponko