〈西新宿・タワマン刺殺〉金色のドレスでピース「売上1000万円と投稿していたけど店はガラガラで大変そうだった」銀座ナンバー1キャバ嬢から独立しママへ…被害者女性が抱えた苦悩と逮捕されたストーカー男との関係

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元客だった51歳の男に「渡した金を返せ」と逆上され、西新宿の自宅タワーマンションで待ち伏せされた末に刺殺された元ガールズバー経営者のA子さん(25)。自身のSNSによれば18歳で銀座のキャバクラ嬢としてデビュー、苦労してナンバー1に上り詰め、弱冠22歳でオーナーママになったようだ。しかし開店にこぎつけた2店舗とも1年余りで閉店。皮肉なことに開店資金を工面した男に逆恨みされ、短い生涯を閉じてしまった。

〈画像多数〉金色のセクシーなドレスでシャンパンボトルに囲まれたり、着物姿のAさん、和久井容疑者の真っ赤な愛車とバイクなど

諦めず頑張ってナンバー1に…

「水商売ワガママでナンボ」--。Aさんは自身の「仕事観」をSNSでこんなふうに述べていた。

〈基本ワンセット60分の10分前コールだから実質50分。『私もご一緒にいただいていいですか?』そこからみんなでお酒飲みながら楽しく会話する場所、それがキャバクラ。お客様だけ飲んで自分は何も飲まず会話する場所、それはキャバクラではない〉

〈数千円差でNO.1逃すとかザラにあるし、となるとあの時一杯飲んでれば...って後悔することになるよね。『来週会うって言ってくれたからシャンパンはその時にしよ♪』って、そのまま音信不通になったらあの日にシャンパン飲みたかったと後悔する事になるよね。お客様はいつ帰るか分からない、いつ居なくなるか分からない〉

18歳の頃から、Aさんは源氏名を「アスカ」と名乗り、銀座のキャバクラでデビュー。SNSで当時を振り返り、「18歳の時銀座で働いたときには相手にされず、1日席に付けてもらえない日、数えきれないくらいあった。そしてやっと数組出来たお客さん。私の来客はボックス空いてても数名だとしても必ずカウンターだった。席に付けてもらえなきゃお客さん出来ないし、でも悔しくて一年その状況に我慢し続けてたけど先も見えない現状が限界で辞めてトラウマで1年間外から出られなかった」と苦い思い出を綴っている。

18歳でデビューして1年働き、退職して1年引きこもっていたとすると、この時点で二十歳ということになる。そして再び銀座のキャバクラに戻ってきたアスカさんは、ナンバー1の座に君臨するほどの人気キャバ嬢になったようだ。

アスカさんは当時のことをSNSで「毎日出勤して指名のお客さん被ったとしてもフリーが来店したら必ず席付いてお客様ノートと来客、売上を毎日欠かさず手帳に書いてお客さんゼロスタートから4ヶ月目でやっとNO.1になれて辞めるまでずっとその地位を貫いて今の私がいる。まだ未熟だけどね」と振り返っている。

さらに自身の経験をもとに、「だから私がずっとスタッフとキャストに言い続けている『負けん気』と諦めずに頑張り続ければ必ず結果は出るよって言うのはそういう事」と同業者たちを鼓舞するような発信をしている。

その後アスカさんは、活動の舞台を銀座から上野の湯島エリアに移し、自身が経営者としてガールズバーをオープン。さらに2021年12月には、湯島のメインストリート「仲町通り」に自身がママを務めるキャバクラ「C」をオープンした。

「お客さんがそんなに入ってる印象はなかった」 

当時のXのナイトワーク紹介アカウントには「『実力者の美人すぎるママキャバ嬢』。22歳の若さにしてママでもあるアスカさん、歴代最高売上を保持する実力者」と紹介され、さらなる飛躍が期待されていたが、経営者としては苦戦していた。

飲食店がひしめき合う湯島エリアで、両店ともわずか1年あまりで閉店。それからおよそ1年後、キャバクラの開店祝いに大きな花を贈っていた和久井学容疑者(51)の凶刃で人生を強制終了させられてしまった。

2023年初頭まで営業していた「C」の近隣で長年スナックを営業しているママはこう語る。

「あそこの家賃は管理費入れて45万円くらいね。店員の男性が伊勢丹の袋に入ったお菓子を持って挨拶にきてくれて、ママ(アスカさん)がビルの1階で宣材写真みたいなのを撮ってたんだけど、体のラインが見える白いドレスを着ていて『きれいな人だな~』と思った。

キャバクラの女の子ってみんな細いけど、あそこのママは今まで見たことないくらい細くて『ポキッと折れちゃうんじゃないかしら?』って心配してたくらい。スタッフの人数は、ボーイさんも合わせて10人くらいだったんじゃないかしら? この界隈ではかなり小規模なお店だったわね」

鳴り物入りでオープンした「C」の営業は順調だったのだろうか。

「正直、お客さんがそんなに入ってる印象はなかったわね。グランドオープンしてから3日間はシャンパンタワーでもしてたのかな? 壁越しにシャンパンを開ける音がパンパン聞こえたから、ウチの店長があそこのInstagramを見たら、3日間で6000万円売り上げたって書いてあったって言っててビックリしたよ。

でも、オープンしてからしばらく経つと、金曜日はお店を閉めるようになって『水商売は週末が儲けどきなのにどうして休むんだろう?』と不思議だった。そのあともあまりお客さんが入ってるイメージはなくて、1年くらいで知らない間に閉店しちゃった感じね」(前同)

同スナックの男性店長が見たアスカさんの印象も、細すぎ女子だったようだ。

「あそこのママさんは店の女の子の生誕祭とかイベントのたびに、このビルの1階で写真を撮っていたので、よく見かけました。スタイルがいいというか、ウエストが細すぎて『ヘビみたいだね』とか『ご飯ちゃんと食べてるの?』なんて言ってる人もいました。

それとちょっとキツそうな見た目をしてるから、気が強そうなイメージがあったんだけど、クリスマスかなにかのイベント終わりにお店からテーブルを出し入れしてたので気になって様子を見に行ったんですよ。そうしたらママさんが『もう終わるので、ご迷惑かけてすみません』と謝ってきました。

べつに怒っている姿も見たことないので、彼女に対して悪い印象とかは一切ないです。ただ、お客さんはあまり入っていないのに『売上1千万円』とか店のInstagramに書かれている日もあったので、不思議ではありましたが」

「ストーカー」とか「新宿警察署」というワードを聞いた

SNS上では「順調」だった経営も、ほどなく苦境に立たされた。スナックの男性店長が続ける。

「オープンからしばらく経ったころ、急にお店の看板の明かりが消えて休業したことがあったんですよ。それで気になってInstagramを覗いてみると、ストーカー被害の対処でしばらく休業するみたいなことが書いてあったんです。当時は『それって本当かよ?』と思ってたんだけど、営業再開後も何度か警察の方たちが店に入っていく姿を見たんですよ」

さりげなく廊下で聞き耳を立てた男性店長の耳に入ってきたのは「ストーカー」や「新宿警察署」というワードだったという。

「このエリアを管轄してるのは上野警察署か本富士警察署なので、『あれ?』と思っていたところ、今回の事件が起きたという感じです。今思うと、開店祝いのボードに『和久井』という名前もあったので、『捕まった人なのかな?』って思っちゃいますよね。

あそこが休業しているときも、それが和久井さんなのかはわからないけど、看板の明かりが消えてるお店の前に、うつむきながら突っ立ってる男性も見たことがあるので......」

虚栄のかがり火に踊らされたのは、51歳のバツイチ男なのか、はたまた「美人すぎるママキャバ嬢」だったのか。
和久井容疑者は逮捕後の調べで「(Aさんを)応援したかった。1千万円以上お金を出した」「お金を返してもらうために行った」などと供述している。

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取材・文/集英社オンライン