お金のことや健康のことなど、老後の暮らしに対して漠然とした不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。できれば、いくつになっても自分らしく人生を楽しみたいもの。

『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」 がんを乗り越えてわかった本当の幸せ』(ダイヤモンド社)の著者で、団地でのひとり暮らしを楽しむ71歳のソネ ジュンコさんは、離婚や親の会社の倒産、末期寸前のがんなどを乗り越え、歳を重ねても等身大の自分で人生を楽しんでいます。

【写真】つっぱりアジャスターと支柱用木材を使って壁をフル活用

ここでは、DIYもしつつ自分らしい部屋づくりをしているソネさんの「住まいの工夫」をご紹介します。

71歳、ソネ ジュンコさん。「家はずっと賃貸派です」

変化を好む私なので、家はずっと賃貸派です。自分の家を買おうと思ったことは一度もありません。今の団地にはもう7年間住んでいます。1DK(ふた間)ですが、子どもがみな独立してひとり暮らしなので、十分すぎる広さです。

●壁面をフル活用しています

団地住まいで唯一残念なのが、自由に釘を打てないことです。私は壁面を飾るのが好きで、好きな絵を好きなだけ飾りたいのですが、賃貸だとそういうわけにもいきません。

そこで、またひと工夫です。壁全面とまではいかないまでも、一定のスペースを自由に使う方法を考え出しました。

使うのはつっぱりアジャスターと「壁の高さ−マイナスアジャスターの高さ」分の2本の支柱用木材、そして横板用木材です。

まず支柱用木材をつっぱりアジャスターで固定します。2本の間隔はあとからとりつける横板の幅に合わせておきます。支柱用木材に横板を釘で固定すればでき上がりです。

ちなみに横板は古材をインターネットで購入して使いました。新品のものより味わいがあるのが気に入っています。

古材は木材用の色つきワックスをスポンジや布を使って塗って塗装しています。グレーが基調のインテリアなので、色はスモークグレーを選びました。

こうすれば、横板のどこにでも自由に釘を打つことができます。壁に穴をあけることのできない賃貸住宅で、この場所だけは自由にできるというわけです。

ここに絵をかけたり、観葉植物のつるをはわせたりして楽しんでいます。

キッチンカウンターは古い流し台を再利用して自作しました

アイランドキッチン的なキッチンカウンターは、昔、お金があったときにオーダーした流し台を再利用してつくりました。

カウンタートップの部分には、大理石を板状にしたものがのっていたのですが、今の部屋には合わないので、引っ越しのときに外して処分してもらいました。

そしてひとまわり大きな廃材をもらって、広めの天板(てんばん)をつくることに。

部屋全体がグレーを基調としているので、キッチンカウンターの天板部分と側面をグレーに塗り、リビング側から見える面には、グレーとホワイトのストライプの壁紙をはりました。

もともと流し台なので、前側に装飾がなにもありません。そこで前面をモールディングで装飾し、天板と同じグレーを塗っています。

天板にコンセントを二つつけましたが、これがミキサーを使ったりするときに、とても便利なんです。

キッチンにはなにも置きません

普段キッチンには一切ものが出ていません。キッチンスペースには生活感を出したくないので、“隠す収納”に徹しているのです。

食器用洗剤も、小さな容器に入れ替えて引き出しにしまうという徹底ぶりです。こういうと「食器を洗うスポンジはどうしているんですか?」と聞かれるのですが、そもそも私は食器洗い用スポンジというものを使いません。

代わりに使っているのが、ホームセンターの梱包資材売り場で買ってきたロール状の不織布です。ネット通販でも買えます。

30cmほどの間隔でミシン目が入っていて、けっこうな厚みがあり適度に凸凹しているので十分に水を吸ってくれますし、食器用洗剤もよく泡立ちます。

スポンジは、毎日使っていると多くの雑菌がつくと聞きます。その点、この不織布は少量ずつ使い捨てできるので、とても衛生的です。

昔から片づいた部屋が好きでしたが、家族と暮らしていたころは、彼ら彼女らの事情もあって、なにもかもすべて目につかないところに置くというわけにはいきませんでした。

今、自分の家を自分の好きにできる贅沢をあらためてかみしめ、つくづく「ひとり暮らしってすてき!」と感じています(ご家族と同居している方、ごめんなさい)。