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 本日土曜夜に開催されるドイツ頂上決戦は、トーマス・トゥヘル監督にとってバイエルンの指揮官として、ちょうど1年前に対戦した初陣と同じカードであると共に、古巣ボルシア・ドルトムントを相手にする3度目の『デア・クラシカー』でもある。ただ例年との大きな違いを挙げるとするならば、バイエルンは定位置である首位から二桁も勝ち点差を放され2位につけ、対するドルトムントはCL出場権争いを5位ライプツィヒを相手に激しく展開しているということ。ただそれでも「順位表はそうであっても、普段通りの頂上決戦。非常に気合の入る重要な、緊張感ある試合だ。これまでの歴史を踏まえれば大きな違いなどないだろう」と強調した。

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ポイント1:クロップ監督の前に辛酸を嘗め続けたバイエルン

 それはトゥヘル監督のドルトムント時代の前任者であり、そして現在はリバプールで監督を務める、ユルゲン・クロップ監督も同じ意見を示しているところ。2008年から2015年までの5年にわたり監督を務めた同氏は「あの頃はまさにこの戦いは”対決”の名に相応しいものであり、非常に困難ながらもとても特別な試合であった」と、とりわけ2011年2月26日に開催された、「ヌリ・シャヒンが私のメガネを壊した」3−1での勝利について回顧。「あの頃バイエルンを4・5回連続で破ったが、ただ相手を上回ったわけではなく守りきれていたということ。そこからカウンターを繰り出すという良いサッカーを長時間キープできていたのさ」

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ポイント2:ドルトムント、ミュンヘンの地で10年未勝利

 しかし「そのうちうまくいかなかった」とも付け加えたように、総じてみればドルトムントはバイエルンを相手に、28勝34分61敗と大きく負け越しているところ。しかも最後にミュンヘンの地で勝利したのは、まだクロップ監督時代である2014年4月。その後ドルトムントではトゥヘル監督、ボシュ監督、シュテーガー監督、ファヴレ監督、ローゼ監督、そしてテルジッチ監督へと受け継がれていくことになる。「バイエルンは並外れたチームだ。過去も、そして現在もね」とクロップ監督。逆にトゥヘル監督も古巣ドルトムントへの高い評価を口にする。「非常に強力な攻撃陣をもつスピードあるチーム。攻撃面で柔軟性がありポゼッションしてくるだろう。攻撃的な試合展開となるはずだ。ただ我々もまた自分たちに非常に自信をもってはいるがね。最近の流れから」

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ポイント3:バイエルン、ドルトムント共に復調

 確かにボーフム戦での敗戦によって公式戦3連敗、直後のトゥヘル監督の今季限りでの退任発表など、まさに暗雲が立ち込めたバイエルンであったがそこからの公式戦5試合では4勝1分。1試合平均得点は4、しかもCL16強ラツィオ戦での貴重な逆転勝利も含まれており、この勢いに乗って首位レバークーゼンにプレッシャーをかけていきたい。一方のドルトムントも引き分けが混んでいるとはいえ年明けからの敗戦はわずか1試合のみ、最近の公式戦4試合では4連勝中と、こちらも貴重なCL16強でのPSV撃破など勢いに乗る。「チームとして非常い良い雰囲気にあるよ」とトゥヘル監督。「ただ残念ながら、今回はまた何人かが欠場することにはなるのだがね」

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ポイント4:両チームの守護神が共に欠場

 特に水曜日に38歳の誕生日を迎えたノイアーは、代表参加中に痛めた内転筋の負傷回復に向けて個別調整を続けていたものの、結果的にはドルトムント戦を欠場することに。逆にドルトムントでも同じく守護神、グレゴール・コーベルが危惧された筋肉系の負傷からは回復したものの、胃腸炎をわずらったためにこちらも欠場することが明らかとなっている。その代役となるのは共に、バックアップとしての信頼度の高さを示してきた、スウェン・ウルライヒとアレクサンダー・マイヤーのベテランGK2人。そのほかドニエル・マレンが大腿への打撲で欠場。バイエルンもゲレイロが筋損傷で不在となり、パブロヴィッチが扁桃炎のため出場が危惧されている。

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ポイント5:ケインという絶対的点取り屋の存在

 だがバイエルンに朗報も届けられており、足首の負傷でイングランド代表から早期に離脱したハリー・ケインが戦列に。特に今季ここまで26試合でマークしてきた31得点というのは、ドルトムントのテルジッチ監督が指摘した通り、「うちの上位3選手の得点数を合わせても届かない」数字だ。とりわけCFにより決定力不足は以前より指摘されたことであり、だからこそ昨夏には敢えてニクラス・フュルクルクを獲得したという経緯もある。ただここまでの数字ではまだ物足りないとはいえ、それでもフュルクルクは後半戦よりコンスタントに得点をマーク、またコートジボワール代表のアジア杯優勝で英雄となったセバスチャン・ハーラーも復調をみせており、勝負の月となる4月からの猛攻に向けての期待感は間違いなく向上しているところだ。

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両チームの先発予想と出場状況

バイエルンの先発予想:ウルライヒ - キミッヒ、デ・リフト、ダイアー、デイヴィス - ライマー、ゴレツカ - L.サネ、T.ミュラー、ムシアラ - ケイン
バイエルンの欠場見込:ブイ(大腿筋束断裂)、ブッフマン(大腿手術)、ゲレイロ(筋損傷)、ノイアー(内転筋付近の負傷)、パブロビッチ(扁桃腺炎)、サール(十字靭帯断裂)
バイエルンの備考:パブロビッチ(扁桃炎)の出場は非常に厳しく、またノイアーは欠場。 ただコマンとマズラウィはメンバー復帰の見通し。

ドルトムントの先発予想:A.マイヤー - リエルソン、ズーレ、N.シュロッターベック、マートセン - エズカン、ジャン - アディエミ、ブラント、サンチョ - フュルクルク
ドルトムントの欠場見込:ベンセバイニ(膝)、コベル(胃腸疾患)、マレン(太ももの打撲)、ザビッツァー (出場停止)
ドルトムントの備考:ロイスがトップ下に入り、ブラントがボランチのジャンの隣でプレーする、より攻撃的なバリエーションの可能性もあるだろう。 もう一つの選択肢はヌメチャの先発復帰をという選択肢もある