美食家たちを魅了するペルー料理の美味に開眼! 表参道で現地さながらの味わいに出合う

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世界の食通たちをうならせる美食の国、ペルー。日本ではまだなじみのない「ペルー料理」だが、日本人の口にもよく合うと言われている。2020年に表参道に誕生したペルー料理店では、現地の味にこだわり抜いた料理、現地にいるかのような雰囲気が味わえる。訪れる客をたちまちとりこにしてしまうペルー料理とは?

〈今夜の自腹飯〉

予算内でおいしいものが食べたい!

食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?

川井 潤
フジテレビ「料理の鉄人」企画ブレーン(1993年〜99年)。元(株)博報堂DYメディアパートナーズ。現在は、渋谷区CFO(Chief Food Officer)として渋谷区にあるおいしい店の啓蒙・誘致、区独自の商品プロデュースほか食品関連企業、IT会社、広告代理店などのアドバイザーを務める。滋賀県彦根市、その他エリア等これまでの企画ノウハウを活かして「地域サポート」も行っている。

骨董通りを歩き裏路地に入ると、異国の空気に誘われる

一歩足を踏み入れれば、そこから食の旅がはじまる

店は骨董通りを曲がった静かな路地に立地。外が暖かい季節はテラス席も設けられる

洒落たレストランがひしめく表参道。高級店や有名店が数多くあるが、路地裏には知る人ぞ知る手頃な名店が潜んでいたりと、美食家たちを飽きさせない食感度の高いエリアだ。骨董通りを一本裏に入った路地にある「ペルー料理 DESTINO 51」は、まさにそんな隠れ家的な名店。こちらで絶品のペルー料理をいただけるという。

アンデスをイメージした「赤」を基調にしたダイニングルーム。ペルーの伝統的な織物や工芸品をレイアウトした、洗練された空間が広がる

川井さん
以前ペルー料理にハマっていた頃があって、ペルーにまで行ったことがあります。こちらでは、ほぼ現地の人たちが食べるものと変わらないおいしい料理が出てきたので、通うようになりました。

店内の装飾もペルー仕込み! 細部にまで行き届く現地の香り

日本人にはあまりなじみのない「ペルー料理」だが、じゃがいも、キヌア、とうもろこし、唐辛子は、実はペルーなど南米が原産地で、日本人の口にもよく合う絶品料理の宝庫。ワールド・トラベル・アワード「World’s Leading Culinary Destination(世界で最も美食を楽しめる国)」部門で、ペルーは11度の最優秀賞に輝き、2023年版「世界のベストレストラン50」では、リマの「セントラル」が世界1位を獲得。ペルーは世界が認める“美食大国”であり、そうと聞けば俄然ペルー料理への興味が高まるものである。

海岸地帯をイメージした青が基調のテーブル席。メインダイニングと離れており、デートや会食、大人数での貸切りにも最適だ

海岸地帯、山岳地帯、ジャングル地帯の3つの地域の異なる気候によって、魚・肉・野菜とさまざまな食材に恵まれていること。そして、アンデス文明、インカ帝国時代からの伝統、移民(スペイン、日本、イタリア、中国、アフリカ)の文化の融合が生み出した、自由闊達な独自の食文化。それが、ペルーが美食大国と呼ばれる所以だろう。

ブドウが原料のペルーの蒸留酒「ピスコ」で作るカクテル「ピスコサワー」1,600円。ペルー産のビールやワインも充実し、現地のお酒をあれこれ楽しめる

「DESTINO 51」のシェフは全員ペルー人。現地のレストランに20年以上勤めてきた敏腕シェフが料理長を務め、ペルー食材を使った現地の味にこだわった料理を提供してくれる。現地気分を味わえるのは料理だけにとどまらず、ペルーの代表的なお酒「ピスコ」やペルー産のワインもそろい、楽しく酔わせてくれる。

川井さん
ペルーの方や中南米の方も多くお客さんとして来られていて、それだけでも現地の気分を味わえるのですが、ピスコサワーやビールなど現地のものが用意され、しかもおいしく、気分も陽気になれます。

現地で買い付けてきたペルーの民芸品や、ペルーの民族が祭で使うお面なども飾られている

アンデス・ジャングル・海岸の3つの地域をイメージしたフロアのインテリアや、店内に散りばめた現地の伝統工芸品など、空間まるごとペルー旅行をしているような気分にさせてくれるのも魅力だ。

美食の国、ペルー 豊富な食材と多様な食文化によって生まれた料理とは?

ペルーを代表する料理のひとつが、インカ帝国時代以前から作られてきたという歴史がある「セビーチェ」。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている、ペルー料理を語る上で外せない伝統料理だ。

セビーチェ ミクスト 3,300円

お店のイチオシは「セビーチェ ミクスト」。海老、真鯛、イカ、タコ、帆立など種類豊富なシーフードをミックスした、味も見た目も豪華で食べ応えあり。テーブルがぐっと華やぎ、デートなどにもおすすめの逸品だ。

セビーチェ デ  ペスカド 2,400円

そして、川井さんおすすめ「セビーチェ デ  ペスカド」は、真鯛をライム、パクチー、アヒリモ(ペルーの唐辛子)でマリネ。ペルーで“虎のミルク”と呼ばれている「レチェ・デ・ティグレ」の酸味が、さっぱりとした味わいにまとめている。ちなみに「レチェ・デ・ティグレ」は、魚の出汁やニンニク、生姜などがベースのソースで滋養強壮に良いとされ、現地では二日酔いのときに飲むペルー人も多いのだとか。

川井さん
鯛、現地のとうもろこし、揚げたとうもろこし(カンチータ)とレモン汁を加えた酸味爽やかなマリネ。食感も絶妙なコンビネーション。

イカのフリットに“虎のミルク”を合わせてさっぱりと。現地人にもおなじみの、ぜひ真似したい通な食べ方

川井さん
このセビーチェの汁に別メニューの「チチャロン デ カラマル(キャッサバ粉をまぶしたイカのフリット)」をつけて食べると、まるで現地の人のような食べ方。おいしくておすすめ。

チチャロン デ カラマル 1,500円

「チチャロン デ カラマル」はいわゆるイカのフリットなのだが、ペルー人の手に掛かるとひと味変わる。衣にはキャッサバ粉(タピオカの原料であるキャッサバの粉)を使用し、ザクッと軽い食感に。イカにはアヒアマリージョ(黄色い唐辛子)とマスタードなどで下味をつけて、味わいにアクセントを添えている。トマトの角切りとペルーの黄色い唐辛子アヒリモとライムを混ぜたチャラキタソース、はたまた自家製タルタルソースにディップしながら、ペルー独特の風味を堪能したい。

ユカス フリタス 1,000円

ペルーのローカル気分を味わえるのが、「ユカス フリタス」(キャッサバのフリット)。先ほど衣の粉として登場したタピオカの原料「キャッサバ」は栄養価が高く、ペルーでは健康芋としてよく食べられているそう。

実際食してみると、さつまいもとジャガイモの中間のようなホクホク感と繊維っぽい食感が特徴的。アンデスのハーブ「ワカタイ」とアヒアマリージョを合わせたピリ辛ソースと抜群の相性で、このひと皿でビールがグビグビと進んでしまう。

じゃがいもとさつまいもを掛け合わせたような食感と味わいで、日本人の口によく合う!

川井さん
タピオカの原料でもあるキャッサバのフリットは、外側カリッと中は軟らかに揚げられておつまみに最適。

ロモ サルタード 3,300円

メインの肉料理にもペルーらしさが満載。現地の食堂や家庭でも親しまれている「ロモ サルタード」は、ロモ=牛のヒレ肉、サルタード=炒める、という意味でごろりと入った野菜と肉をソテーした料理。ペルーに移住した中国人から伝わった料理で、味付けに醤油やビネガーを使用しているため舌なじみがよくとても日本人好み。一辺倒の味付けに終始しない、多様な食文化が混在するペルー料理の奥深さをしみじみと体感できる。

酸味のある醤油ソースが染み入ったトマト、赤玉ねぎ、ポテトも美味

川井さん
肉は軟らか、ソースは醤油とバルサミコ的な味で甘酸っぱく美味。中に入っている赤玉ねぎが絶妙なアクセントになっています。

ピスコサワー 1,600円

川井さん
せひ飲んでいただきたいのが「ピスコサワー」。ペルー料理には欠かせずピッタリ料理と合うアルコールドリンクです。「ピスコ」の度数は42度と高めですが、このカクテルは爽やかで飲みやすい。

爽やかなぶどうの香りとクセのないピスコに、ライム、シュガーシロップ、卵白を合わせたカクテル。唐辛子やハーブを多用するペルー料理に寄り添う

食を通じて日本の皆さんにペルーを伝えたい

日系ペルー人の子孫である与座聡志さんと、店のマネージャーを務める具志堅真由美さん。具志堅さんはペルーに在住していた経験もあり、ペルーの歴史や文化にも詳しく、ペルーに旅行したことのある客やこれから旅行に行く客と会話をすることも多いそう。

左)マネージャーの具志堅真由美さん 右)与座聡志さん

「美食の国と呼ばれるペルーですが、ペルー料理は日本人にはまだなじみがあまりありません。とはいえ、キヌアやチアシード、カムカム、アマランサスなどのスーパーフードの原産国でもあり、野菜や魚などの食材も豊富。じゃがいもだけで5,000種類以上もあるんです。食感度の高い日本人なら、きっとペルー料理を楽しんでもらえるはず。恵まれた食材と多種多様な国の食文化が入り混じったペルー料理との出会いを通じて、ペルーの魅力を感じてもらいたいです」(与座さん)

川井さん
「ペルー料理 DESTINO 51」では、ペルーの豊富なスーパーフード=栄養価の高い食材を使って日本人の口に合う味付けがされています。

ランチタイムにはペルーの代表料理がそろうコースも用意されており、ペルー料理が初めての人にもおすすめだ。今回ご紹介した「セビーチェ」は前菜、「ロモ サルタード」はメインで選ぶこともでき、ペルー料理の魅力を知れる満足度の高いコースになっている。

2月には「DESTINO 51」の姉妹店「YUYAY(ユヤイ)」が新丸ビルにオープンし、うれしいことにペルー料理を味わえる店がまた増えた。
ネクストブームになる予感大のペルー料理。いち早くその魅力を体感しに、“表参道のリトルペルー”を訪れてみてはいかがだろう。


<店舗情報>
◆ペルー料理 DESTINO51
住所 : 東京都港区南青山5-4-30 CASA SERENA 1F
TEL : 050-5457-0760

※価格は税込・ディナーのみサービス料別。

文:坂井あやの、食べログマガジン編集部
撮影:八木竜馬

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