期待していなかった初デート。でも33歳女が、心を鷲掴みにされた男の言動とは
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか？
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「女が一度のデートで、男との交際を決めた理由は？」という質問。さて、その答えとは？
▶【Q】はこちら：“デートは3回”の法則はウソだった！？34歳男が、初デートで意中の女と付き合えたワケ
林太郎と会うのは三度目だけれど、二人きりで会うのは、今日が初めてだった。
初回はほぼ話していないし、二度目はみんながいた新年会…。
だから、デートの帰り道、林太郎から突然告白されたときは、少し戸惑った。
「僕、椿ちゃんのことが好きになってしまい…。こんなこと言われたら困るかもなんだけど、付き合わない？」
― え？本当に！？
私はしばらく考えた後、笑顔でうなずいた。
「よろしくお願いします」
「え！！いいの？」
「うん。私も、林太郎さんのこといいなと思っていたから」
少し早いかなとも思った。でも林太郎と今日デートをしてみて、私は彼からの告白に応えることにしたのだ。
A1：みんなが敬遠するなか、向かってきてくれたのが新鮮だった
林太郎と最初に会ったのは、忘年会だった。かなりの大人数で、人見知りの私からすると結構苦痛な会だった。
私は身長が高く怖く見えるのか、こういう場でナンパ目的以外の男性は話しかけてこない。
― 面倒だし、帰ろうかな…。
そう思っていると、向こうから背が高くて目立つ男性が話しかけてきた。
「初めまして、林太郎です。涼太の知り合いですか？」
急に話しかけられてビックリしたけれど、林太郎に下心があるようには見えなかった。
「そうです。でもここまで人数がいると思っていなくて…」
「僕もです。人数が多くてびっくりしました！」
この日は、これくらいの会話で終わった。
でも後日、もっと少人数で新年会をすることになり、そこに林太郎も参加していた。
「林太郎、さんでしたっけ？この前チラッと話しましたよね？」
「名前覚えていてくださったんですか！？嬉しいです！あの時は人数が多すぎて、全然話せなかったなぁと思ってて」
「同じくです」
「今日は少人数なので、この前より話しやすいですね」
あの日、ひとりでいる私に親切心で話しかけきた林太郎を、私もちゃんと覚えていた。
「実は私、すごい人見知りで…」
「そうなんですか？全然そんなふうに見えないですけど」
「本当ですか！？なんでだろう、林太郎さんが話しやすいからですかね」
今日の林太郎も、なんの計算もなさそうな感じで話してくる。それが私には新鮮だった。
「椿さんは、お仕事は何をされているんですか？」
「私は秘書をしています。林太郎さんは？」
「僕は自分で会社を経営してます」
「すごい！何系の会社なんですか？」
― へぇ…経営者なんだ。
そろそろ結婚したい私は、現在彼氏を探している。結婚を考えるならば、ある程度の財力は必要だ。
「椿さんって、話しやすいですね」
「そうですか？林太郎さんも！」
結局、一次会ではずっと林太郎と話していた。二次会は個室カラオケが付いているバーへ移動したが、席が離れていたのであまり話さなかった。
しかし、帰る頃になると林太郎が「送って行く」と言ってくれた。
「椿さん、お家はどの辺りですか？」
「私は白金高輪です。林太郎さんは？」
「僕は芝のほうなので、送って行きますよ」
「いいんですか？じゃあお言葉に甘えて」
車内でごく自然な流れで連絡先を交換し、次に食事に行く約束をした。
「椿さんって、意外にお酒強いんですね」
「そうですか？林太郎さんも、全然顔色が変わってないです。お酒、お好きなんですか？」
「そうですね。…良ければ、今度二人で食事しませんか？」
「はい、ぜひぜひ」
― いい人だし、一度くらいご飯へ行ってみてもいいかな。
最初は、それくらいのテンションだった。
A2：ストレートにぶつかってきてくれたのが嬉しかったから。
林太郎と二人きりで会うことになった初めての夜。
林太郎は、西麻布にある落ち着いた和食の名店『一即夛』を予約してくれていた。
「場所、すぐにわかりました？」
「はい！」
そんな会話をしていると、急に林太郎がマジマジと私の顔を見てきた。
「椿さんって、本当に可愛いですね。性格含めて」
突然の言葉に、私は驚く。でも、ストレートに褒められて嫌な気分になる女性はいない。
「どうしたんですか、急に」
「あ…すみません、つい本音が！」
「林太郎さんって、面白いですね」
「そうですか？単細胞なんですよ、きっと」
「そこがいいですよね。素直な人って、素敵です」
食事も美味しいし、会話も弾む。
何気ない会話の中にも、林太郎のことを「いいな」と思うポイントが散らばっていた。
「林太郎さん、お料理は？家で作ったりする？」
「いや〜それが、料理はそこまで得意じゃなくて。たまに男飯作るくらいかな。椿ちゃんは？」
それくらいが、逆に良い。
あまりにも完璧な料理を作られてしまうと、下手な料理を出したら申し訳ない気持ちになる。
「私もたまに。家でひとりだと、つい適当になりがちで」
「わかる！でも奥さんとか彼女がご飯作ってくれるだけで、何でも美味しく感じられる自信がある」
― この人、付き合ったり結婚したりしてもきっと楽で良い人なんだろうな。
何をやっても褒めてくれそうだし、神経質ではない。そして大らか…。家事に対するハードルも低そうだ。
私は「ウニをソースとする湯葉」を食べながら、さらに掘り下げてみることにした。
「林太郎さんは、彼女とか…結婚願望とかは？」
「あるよ！もうすぐ34歳だし、めちゃ結婚したい。椿ちゃんは？」
「私も今年で33歳だから、早めに結婚したいかな」
34歳、独身経営者。好条件なだけでなく、林太郎は優しくて人柄もいい。
この後もう一軒行ったけれども、下心も見えないし、初デートなのになぜか安心できた。
「椿ちゃんといると、本当に楽しいな。椿ちゃんって、今本当に彼氏いないの？」
「うん、いないよ〜。リアルに彼氏募集中」
ほろ酔いで、そんな話までしていた。
そしていい時間になったので帰ろうとすると、林太郎が少し恥ずかしそうに私を引き止めた。
そこで、ストレートに告白をしてきてくれた林太郎。
「僕、椿ちゃんのことが好きになってしまい…。こんなこと言われたら困るかもなんだけど、付き合わない？」
大人になると、みんな傷つくのが怖くなって素直になれなくなる。でも、そんな大人の男性が、ストレートに想いを伝えてくれると心がグイッと動く。
「よろしくお願いします」
こうして、私は林太郎と交際をスタートさせることにした。
意外に女性も単純な生き物だ。
もちろん大前提として条件だったり生理的な問題はある。でも好意を見せてくれたり、褒めてくれたり…。まっすぐに来てくれる人に対して、悪い印象は抱かない。
仮にその時ダメだったとしても、また別の時や、ふとした瞬間にその人のことを思い出すこともあると思う。
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