●本気扮装に年々増すプレッシャー

テレビ埼玉(テレ玉)の正月恒例特番『第32回埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』(1月1日19:00〜 ※再放送:同7日19:00〜)。年々磨きがかかる出場者のユニークなパフォーマンスと、お堅いイメージの政財界人とのギャップが大きな話題を集め、今や県を越えて“埼玉の奇祭”と呼ばれるようになり、今回初めて再放送後にYouTube配信されることが決まった。

マイナビニュースでは12月2日、4年ぶりに大宮ソニックシティ 大ホールで行われた収録を取材。出場者らに本番のステージ直後に行ったインタビューをお届けする。

今回は、政界人の後半出場者に直撃。毎年本気の扮装で挑む市長がプレッシャーを吐露し、県知事は映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』に対して寛容でありながら、したたかな姿勢を見せた――。

(左から)小野克典桶川市長、奥ノ木信夫川口市長、清水勇人さいたま市長、大野元裕埼玉県知事 (C)テレ玉

○市民から「何であの歌を歌ったんですか?」

これまで美川憲一や水前寺清子に、昨年はMISIAと、本気の扮装で出場してきた桶川市の小野克典市長は、美空ひばりの伝説の“不死鳥コンサート”の衣装に身を包み「川の流れのように」を披露。その完成度の高さに、今回も出番前から舞台裏の出場者たちの間で大きな話題となっていた。

今や“オノカツ”の愛称で親しまれるようになったが、前回のMISIAに対しては、「半分冗談ですけど、市民の方から“私、「アイノカタチ」が一番好きな歌だったのに、今聴くと(市長が熱唱する)あの映像が出てきちゃうんです。何であの歌を歌ったんですか?”と言われちゃまして。こちらは案外、真面目に取り組んでいるですけどね」と悩ましい。

その上、「皆さんのご期待に応えようと自分なりに努力はしているんですけど、おかげさまでその分ハードルが上がってきてしまって、毎年プレッシャーがありますね」と本音を吐露するが、「これ以上やり過ぎると、市民の皆さんに“何やってんだ”と言われちゃうかもしれないんで、本業をしっかりとやりながら、時間の許す限り、そうした期待には応えていけたらと思います」と、継続への意欲を見せた。

今回の選曲については、「やっぱり人生は川の流れのように、この先どんなことが待っているか分からないじゃないですか。特に政治の世界に身を置いてると、緩やかで穏やかな流れだと思ったら、急に思いがけない激流に巻き込まれたりすることもあるので、そういうことが表現されてる歌は、しみじみ歌えるのかなと思って」と狙いを明かしている。





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○孫と一緒にステージへ「助かりました」

県議会議長時代から8回目の出場となる川口市の奥ノ木信夫市長は「いつもサイサンのせがれさん(矢沢永吉を熱唱する川本武彦社長)の次だから、キツいんですよ。でも今回は和みの里さん(ケアハウス和みの里・山中和子理事長)の次ですから、順番的に歌いやすかったです」とご満悦で、吉田拓郎「今日までそして明日から」を披露。

今回は、自身の孫2人もステージに。「最初の頃はバックコーラスに応援団が出てもらってたんですけど、何回も出てもらって申し訳ないんで、前回から1人で歌うようにしたんです。今回もきゅぽらん(川口市マスコットキャラクター)だけでいいと思いながら寂しいと感じていたので、孫が出てくれて助かりました」という。孫は「テレビに出たい!」と喜んでくれたそうだ。

孫2人とともに、会場には「のぶちゃん」うちわを掲げる人たちの姿が。「川口は、コマームさん、立石(泰弘県議会議長)さん、大野(元裕県知事)さん、私と出身が4人いるから、たくさん応援者が来てくれてありがたいです。テレ玉さんに感謝します」と話した。







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●個性あふれる市長たちに「煽られている(笑)」

さいたま市の清水勇人市長は、恒例となった手話ダンスでさいたま市の歌「希望(ゆめ)のまち」を披露。14回出場のベテランは、「毎回大変緊張しますが、子どもたちや市民の皆さんと一緒に、この舞台で手話や歌ができるのは楽しいです」と充実の表情を見せる。

美空ひばりの桶川市長をはじめ、他の自治体の首長たちが個性あふれるパフォーマンスを繰り広げるのに、「なかなか煽られているところです(笑)」と感じているが、「私はずっと手話で歌を一緒に歌うということでやってきたので、これはずっと踏襲していきたいと思います」と、独自路線を堅持していく方針だ。





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○満を持して“埼玉県人”ネクタイ「ここしかないだろう!」

大トリはもちろん、大野元裕埼玉県知事。Kiroro「未来へ」を選曲したのは、「ポストコロナの埼玉県を進めるためには、女性の力、そして経済を前に進めることが不可欠なので、女性の強さと愛、優しさが込められ、未来へ向かうというこの歌がふさわしいと考えました」と狙いを明かす。

埼玉県がフィーチャーされる映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』が公開中だが、「県をPRする上でとても効果が大きいと思っていますので、この機をしっかり捉えて、どうせディスられるなら目いっぱい利用させていただきたいと思います(笑)」と寛容でありながら、したたかな姿勢をうかがわせた。

そんな大野知事のネクタイは、濃紺地に金の“埼玉県人”という文字が入ったインパクト抜群のアイテム。「行田の足袋屋さんがお作りになったものを頂いたんです。どこかでつけようと思っても、なかなかそのロケーションがなかったのですが、“ここしかないだろう!”ということでとっておきました」と、満を持しての披露となっている。





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○『第32回埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』出場者 ※【 】内は出場回数

1:東京ガス(株)埼玉支社・細田千恵支社長【2】/SEKAI NO OWARI「RPG」

2:上里町・山下博一町長【初】/赤い鳥「翼をください」

3:(株)埼玉りそな銀行・福岡聡社長【初】/菅田将暉「虹」

4:蓮田市・山口京子市長【初】/ザ・ピーナッツ「恋のバカンス」

5:YKK AP(株)埼玉支社・水野彰二支社長【初】/高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」

6:草加市・山川百合子市長【初】/木村弓「いつも何度でも」

7:(株)サイサン・川本武彦社長【16】/矢沢永吉「止まらないHa〜Ha」

8:埼玉県議会・立石泰広議長【初】/NAT KING COLE「L-O-V-E」

9:(株)コマーム・小松君恵会長【2】/「こころま〜るく♪ちがうから☆ワクワク」※オリジナルソング

10:桶川市・小野克典市長【6】/美空ひばり「川の流れのように」

11:ケアハウス和みの里・山中和子理事長【16】/ピンキーとキラーズ「恋の季節」

12:川口市・奥ノ木信夫市長【8】/吉田拓郎「今日までそして明日から」

13:(株)馬車道・木村徳治名誉会長【17】/石原裕次郎「北の旅人」

14:さいたま市・清水勇人市長【14】/さいたま市の歌「希望(ゆめ)のまち」

15:(株)清水園・清水志摩子社長【32】/村上進「鏡の中のつばめ」

16:埼玉県・大野元裕知事【4】/Kiroro「未来へ」