将棋の一種「シャンチー(中国象棋)」の大会で優勝した棋士が、戴冠後にホテルの客室のバスタブで排便したことで、「公序良俗に反する」としてタイトルを剥奪され、賞金も没収されたことがわかりました。

对话“象棋浴缸门”当事人:会对处罚进行申诉,不懂肛珠、摩斯密码-今日头条

https://www.toutiao.com/article/7316847105450967589/?req_id=20231226185946B03CE5912FF96C696C56



Chinese chess champion dethroned, stripped of prize money - SHINE News

https://www.shine.cn/news/nation/2312260504/

2023年12月15日から17日にかけて、海南省陵水でシャンチーの大会「全国象棋民間棋王争覇賽(棋王戦)」が開催されました。

決勝戦は河南省登録棋士の顔成龍氏と吉林省登録棋士の張偉氏との対局となり、顔氏が勝利。棋王のタイトルと賞金10万元(約200万円)を獲得しました。

以下が対局の様子。顔氏と張氏の対局は1時間28分過ぎからスタートし、およそ20分で決着しています。

2023民间棋王争霸赛 半决赛、决赛、棋王挑战大师赛 - YouTube

勝利を祝して、顔氏はその晩、ホテルの客室で他の人たちと飲み食いを行い、翌日、主催者の手配した飛行機で河南省へ帰りました。

ところが、顔氏のチェックアウト後の客室で、浴室に排便の跡があるのを客室清掃員が発見。大会委員会に通報しました。報告を受けて、中国シャンチー協会は「ホテルに損害を与え、大会やシャンチーにも悪影響を及ぼす、公序良俗に反した悪質な行為だった」として、顔氏の優勝を取り消し、賞金も没収しました。

顔氏は紅星新聞の取材に対して、排便したこと自体は認めつつも、「目が覚めると腹痛があって、トイレへ行って戻ってとしていたのですが、あとトイレまで4〜5mというところで間に合わなくなり、やむをえず浴槽に排便しました」と説明。その後、浴槽を洗ったものの、排水栓の操作方法がわからず、用意されたフライトに間に合わなくなりそうだったため掃除を諦めて空港へ急いだと述べました。

顔氏によると、事態が明らかになった当初、中国シャンチー協会は「罰金100元(約2000円)で問題は解決」と説明したそうです。

この大会に関連して、大会参加者がメッセンジャーアプリのWeChatで「顔氏はアナルビーズを用いる不正行為を行っているのではないか」との疑いを提起。ホテルの一件と合わせて「シャンチーのバスタブゲート」などと呼ばれており、協会による追加の厳しい対応につながったのではないかとの見方があります。

ちなみに、「アナルビーズを用いた不正」とは、対局時にアナルビーズを装着しておき、外部協力者が有利な指し手を信号化してアナルビーズに送信するというもの。ただの与太話ではなく実用性はあるという検証も行われています。2022年にチェス世界王者のマグヌス・カールセン氏を複数回破ったハンス・ニーマン氏には、この手法で不正を行ったのではないかという疑惑があります。

チェス世界王者マグヌス・カールセンが対戦相手の不正疑惑について「もっと多く不正している」と声明を発表 - GIGAZINE



今回の大会で顔氏が不正を行ったかどうかについて、大会委員会は「不正行為をしたと確認することは現時点では不可能」と説明しています。

紅星新聞から不正疑惑について質問された顔氏は、アナルビーズやモールス信号のことはわからないと述べた上で、「地方出身の田舎者である私が、そんな仕組みを理解できると思いますか?私は年に数回しか大会に出ないのですよ」と否定しました。

なお、顔氏は「私は最初に大会委員会に自らの間違いを認め、罰金100元を支払いました。なのに、ネットで報道が出た後に、委員会は私を殴り殺したのです」と憤りをあらわにし、処分に対して不服を申し立てる意向を示しました。

中国シャンチー協会は紅星新聞の取材に対し「いまは都合が合いません。すべて、協会が発表したとおりです」と述べたとのことです。