中国におけるテレビ・ラジオ・新聞・出版などに関する規制・検閲を監督する国家新聞出版広電総局が、オンラインゲームに関する新しい規制草案を発表しました。この草案では、オンラインゲームでの「デイリーログインボーナス」などの廃止が義務付けられています。

国家新闻出版署关于公开征求 《网络游戏管理办法(草案征求意见稿)》意见的通知-通知公示-国家新闻出版署

https://www.nppa.gov.cn/xxfb/tzgs/202312/t20231221_823187.html



Tencent rocked by new Chinese online gaming restrictions

https://www.ft.com/content/36580e3b-c6d6-486d-825b-bd084a010925

Tencent loses $50 billion in market value as China targets in-game spending | CNN Business

https://edition.cnn.com/2023/12/22/business/chinese-tech-giants-shares-plunge-online-gaming-ban-intl-hnk/index.html

$46bn wiped off Tencent's market cap after China proposes new gaming curbs - Nikkei Asia

https://asia.nikkei.com/Business/Technology/46bn-wiped-off-Tencent-s-market-cap-after-China-proposes-new-gaming-curbs

中国では若者のゲーム依存症を防ぐため、ゲームをプレイできる時間を制限したり、実名を入力しないとゲームをプレイできなくしたり、ゲームリリースに必要なライセンスの発行を停止したりと、さまざまな規制を行っています。

現地時間の2023年12月22日、国家新聞出版広電総局はこれらに続く新しい規制草案を発表しました。この規制草案では、オンラインゲームに対して「課金限度額の導入」が義務付けられ、ゲームにログインすることを誘導するような「デイリーログインボーナス」「初回ログインボーナス」「連続ログインボーナス」などの実装も禁止されることとなります。

他にも、オークションなどで高額取引されることにつながるようなコンテンツの導入も禁止され、ゲームをライブストリーミング(生配信)するプレイヤーへの高額チップ(投げ銭)も禁止されます。また、ゲームはプレイヤーに実名登録のみを提供する必要があり、ゲームパブリッシャーはデータをローカルに保存することが義務付けられます。



なお、国家新聞出版広電総局は今回発表した規制草案に対する意見を公募しており、期限は2024年1月22日までとなっています。

CNNによると、今回の発表により中国のゲーム企業であるテンセントの時価総額は470億ドル(約6兆7000億円)暴落し、2008年10月以来最低の株価を記録したそうです。他にも、NetEaseは株価が25%も急落し、164億ドル(約2兆3000億円)もの時価総額を失っています。中国最大の動画共有プラットフォームであるBilibiliの株価も9.7%下落し、中国で2番目に人気なショート動画プラットフォーム快手の株価も7.2%下落しました。

日本経済新聞の英語版である日経アジアは、中国の大手ゲーム企業の幹部が「プレイヤーにログインを促す機能」に対する制限よりも、「課金制限の導入」を懸念していると報じています。同人物は「この制限が未成年者のみを対象としたものなのか、それとも成人にも適用されるものなのかは不明ですが、成人による課金も制限されることとなる可能性が高い」と語ったそうです。

また、テンセントのヴァイスプレジデントを務めるVigo Zhan氏は、「現在、未成年者によるゲームのプレイ時間と支出は、史上最低レベルにあります。パブリックコメントを募集している規制草案は、合理的なビジネスモデルやゲームの運営ペースなどの重要な要素を根本的に変えるものではありません」と述べ、今回の規制草案の影響を軽視しています。