橘 舞/ミスFLASH2023

 昭和、平成、令和を乗り越えてきた写写丸世代を苦しめる物価高と健康診断の数値高。この難題解決のカギは、500円以下で食べられる牛丼チェーン店の朝定食にアリ。正しく食べて “アレ” 、優勝級の結果を目指せ!

「朝食は健康の源」と聞くけれど、日々社会の荒波と戦う写写丸世代には、朝食を作る時間も、悲しいかなお金もない。そんな我らの救世主ともいえるのが、牛丼チェーン店の朝定食(朝定)だ。たとえば「すき家」なら、ご飯、味噌汁に牛小鉢、オクラ、おんたま、かつお節がついた「牛まぜのっけ朝食」を390円と、驚きの価格で提供。コンビニでパン、コーヒーを買うより安く、腹も満たされる。

 だがしかし、健康診断の数値悪化でわかるように、傷ついた体で安くて腹いっぱいになるからといって食べていいのか……。そんな疑問に答えてくれたのは、管理栄養士など栄養のプロを育てる女子栄養大学栄養学部専任講師・浅尾貴子先生。

「メニューをきちんと選べば、健康的な朝食を取ることができます。牛丼チェーンの朝食はたんぱく質が多く主食がご飯なので、パンや甘いものに比べて血糖値をコントロールしやすいです。また定食というスタイルのため “早食い” をしにくいのが特徴です」(浅尾先生、以下同)

 血糖値を抑えるなどさまざまな効果が期待できるたんぱく質。体に必要なので、朝食で取ることが大事だそう。

「たんぱく質を構成するアミノ酸は種類が多いのですが、どれかひとつを取るのではなく、まんべんなく摂取することが大事です。定番の牛小鉢やソーセージといった肉や魚、卵から動物性を、納豆や冷奴など大豆製品から植物性を取ることができます。定食だとさまざまな食材から違ったたんぱく質を取ることができ、魅力的です」

 たんぱく質は、体のスイッチを入れるためにも大きな役割を持つ。

「寝ているときに失われてしまったたんぱく質を取ることで、体が動き始めます。生活リズムを整えるためにも、たんぱく質を含む食事を意識してください。また、たんぱく質はやる気を引き出すドーパミンやセロトニンなどの主成分であるアミノ酸を生み出すので、やる気のスイッチが入り、仕事に集中しやすくなります。仕事を頑張りたい方は、たんぱく質が取れる朝食がおすすめです」

 いいことずくめの牛丼チェーン店の朝定食だが、注意点もある。

「チェーン店の食事は、どうしても食塩相当量が高くなりがちであることと、野菜が少ないのは否めません」

 厚生労働省は、一日あたりの塩分摂取量の目標量として、成人男性は7.5g未満と設定。一食あたり2.5gに抑えるのは、かなり難しいことだ。

「栄養的には魚が入った定食もおすすめですが、気になるのは塩分。塩味のついた切り身だと一切れでも塩分量が増えてしまう……。その点、牛小鉢などは味がしっかりとついているのに、意外と塩分量が抑えられていて優秀です。

 また、ソーセージやベーコンといった加工肉、うどんや豚汁といった汁物も、塩分量が少し多め。豚汁は野菜などの具材も多かったりするので、一概にダメなわけではないのですが、これらの副菜は “週に1回” など自分でルールを決めて選ぶといいと思います」

“塩分を控える” というのが、朝食に限らず外食での大きなキーワードになるという。

「サラダにしても、ドレッシングをかけるのではなく、牛小鉢と合わせて食べたり、卵かけご飯と牛小鉢を別々に食べるのではなく、一緒に食べて卵かけご飯の醤油を減らすなど、少し工夫するだけで塩分量はかなり変わります。小鉢で野菜を選ぶとき、漬けものではなく生野菜にするなど、塩分を意識することが大事です」

 健康診断の気になる “数値” 別の選び方も聞いた。

「中性脂肪が高い方は、魚のおかずが含まれる、すき家の『塩さばまぜのっけ朝食』(490円)がおすすめ。醤油の追加がけをしなければ塩分量もセーブできます。

 糖尿が気になる方は、松屋の『得朝牛皿定食』(380円)といった、野菜とたんぱく質のバランスがいいものを。

 尿酸値が高い方は、水やお茶をしっかり飲むことが大事。なか卯の『こだわり卵朝食 ご飯小盛』(270円)の味噌汁を温小うどん(100円)に変更し、店外でカフェオレや飲むヨーグルトなど尿酸値を下げる乳製品を取るといいでしょう。

 高血圧の方は、食塩相当量が低い、吉野家の『納豆牛小鉢定食』(468円)など、食塩相当量2g台のメニューが理想です」

 500円以下でもバリエーションが多い牛丼チェーン店の朝定食。なによりも朝食の習慣をつけることが大事という。

「朝食の習慣をつけると規則正しい生活を送ることができ、健康維持にプラスになります。おなかがすいていることは大前提ですが、だいたい、起きてから2時間以内に食べるのがいいと思います」

 出社途中に温かい朝食がワンコインで食べられる牛丼チェーン店。これからもタフガイであるために、朝定食に注目して食生活を改善すべし。

橘 舞/ミスFLASH2023

ーー朝定・牛丼チェーン店 <すき家>ーー

・野菜のあるバランスのいい朝食

朝5時〜11時に提供している朝定食は、「自社製ベーコンエッグ朝食」、「たまかけ朝食」など充実したラインナップ。なかでもオクラ、おんたま、かつお節をご飯に混ぜて食べる、ネバネバ食感がクセになる「まぜのっけ朝食」(290円)が人気だ。「牛小鉢や焼き魚、納豆などサイドがついた商品もあり、お好みの食べ方で毎日違うものを楽しむことができます」(すき家販促担当・長岡真由さん)

<塩さばたまかけ朝食(490円)>

ご飯と味噌汁、炙り塩さば、季節の小鉢、卵、のりがついた定食。3.1gと食塩相当量が高めだが、醤油をかけすぎなければ許容範囲だ

<牛まぜのっけ朝食(390円)>

ご飯と味噌汁、牛小鉢、オクラ、おんたま、かつお節がついた定食。すべて一緒に混ぜると、かなり満足度が高い定食に。肉と卵でたんぱく質がたっぷり取れる

<牛小鉢>

アレする副菜、秘伝のタレで煮込んだしっかり味の牛肉を小鉢で。これだけでご飯が進むのはもちろん、卵かけご飯と一緒に食べることで、醤油の量を減らすことができる

ーー朝定・牛丼チェーン店 <なか卯>ーー

・ “こだわり卵” で卵かけご飯を

朝5時〜11時に提供している朝定食。なか卯の代名詞 “こだわり卵” を使用した定食が人気。「 “こだわり卵” には、特別に開発した飼料を用いて飼育した鶏卵を使用しています。卵かけご飯にして堪能してください」(なか卯広報担当・志水涼瑛さん)。

<こだわり卵の納豆朝食(360円)>

ご飯と味噌汁、京風つけもの、納豆、卵、のりがついた定食。黄身に弾力感がある “こだわり卵” はコクがあってご飯が進む

<目玉焼き鶏小鉢朝食(390円)>

ご飯と味噌汁、目玉焼き、鶏小鉢、のりがついた定食。目玉焼きはとろっとした半熟で、オンザライスにぴったり

<鶏小鉢>

アレする副菜、栄養価の高い鶏肉を軟らかく煮込んだ、しっかりとした味の一品。牛小鉢より食塩相当量が低いのもポイント

ーー朝定・牛丼チェーン店 <松屋>ーー

・健康に合わせて小鉢をチョイス!

朝5時〜11時に提供している朝定食は、ミニ牛皿、納豆、国産とろろ、冷奴といった選べる小鉢が多い。「健康を気にする方からしっかり食べたい方まで、自分に合った定食を作れます」(松屋フーズホールディングス広報・寺島慶子さん)

<ソーセージエッグ定食(450円)>

ご飯と味噌汁、目玉焼き、ソーセージ、ミニ野菜、のり、漬けものに選べる小鉢がついた定食。パリッとしたソーセージの食感がたまらない。野菜がついてくるのも嬉しい

<冷奴>

アレする副菜、たんぱく質が豊富な冷奴。肉などの動物性たんぱく質を含む食品は多いが、植物性たんぱく質を含む食品は少ないのでぜひ朝から取りたい

ーー朝定・牛丼チェーン店 <吉野家>ーー

・一汁三菜にこだわったバランス重視の朝定

朝4時〜11時に提供している朝定食は、和食の基本である一汁三菜をテーマに、ご飯と味噌汁、おかず3品で構成。忙しい朝でもバランスのよい食事を意識している。「一食につきたんぱく質を20g以上摂取できるメニューです」(吉野家広報・茶木翔太さん)

<納豆牛小鉢定食(468円)>

ご飯と味噌汁、こだわりのタレで煮込んだ牛肉、納豆、生野菜がついた定食。甘辛い牛肉と一緒に煮込まれた玉ねぎがたまらない

<ハムエッグ納豆定食(468円)>

ご飯と味噌汁、特製ハムエッグ、納豆、生野菜がついた、満足度の高い定食。食塩相当量を気にして、マヨネーズ、醤油は少なめで

<納豆>

アレする副菜、たんぱく質と食物繊維が豊富な納豆。発酵食品なので腸にもいいが、醤油のかけすぎには注意

※紹介する定食はすべてご飯並盛り、すべて税込み価格です

朝定食を実食したのは、橘舞。1995年4月15日生まれ愛知県出身B90W60H89 朝食は和食派。「今回、食べた『まぜのっけ』みたいに納豆、卵を全部のせて食べるのが大好き!この仕事がミスFLASH2023としては仕事納め。来年もすぐFLASHに戻ってこられるように頑張ります」。最新情報は公式X(@maibanaofficial)、Instagram(maitachibana_official)にて

写真・岩松喜平(橘 舞)