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11月23日(木・祝)にて行われたasmiの初のホールでのワンマンライブ“Wonder Closet”の会場となった東京・LINE CUBA SHIBUYAには、TikTokやYouTubeなどのSNS、全国のイオンモール、『ポケットモンスター』や『うる星やつら』、『彼女、お借りします』などのTVアニメなど、様々な場所でasmiに出会った幅広い年齢層のファンが集まっており、彼女の部屋を模したステージには、これまでの数々のライブやアーティスト写真で着用してきた11着のカラフルな衣装が飾られていた。本稿では、東京公演の模様をレポートする、

TEXT BY 永堀アツオ

PHOTOGRAPHY BY Kato Shumpei

開演時間になると、ステージ中央のドアが開き、ルームウェアを身に纏ったasmiが登場した。オープニングナンバーは、フィーチャリングボーカルで参加し、TikTok流行語大賞2021「ミュージック部門賞」を受賞したMAISONdes「ヨワネハキ」。観客は早くも総立ちとなってクラップを鳴らし始め、“そういやさ そういやさ”のコールも巻き起こった。曲の終わりで、asmiが“試しにちゃんと生きてみよう”と歌い、溜め息ではなく、大きく伸びをして深呼吸。ドラムが楽曲を締めると同時に部屋のドアもバタンと閉まり、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)が作詞作曲を手がけた「妄想脚本執筆活動」でスピードを上げると、「Wonder Closet、始まるよ!」と明るく朗らかに呼びかけ、自身が作詞を手がけた「BLACK COFFEE」では観客がビートに合わせて、手拍子から手を左右に揺らすワイパーへと変化させるなど、会場では冒頭から心地良い一体感が生まれていた。

大きな拍手が沸き起こるなか、「やっと会えましたね」と繰り返したasmiは、「よくぞ、お越しくださいました。今日は存分に歌って踊って、一緒に楽しんでいけたらいいなと思います。昔からずっと応援してくれた人、SNSで出会ってくれた人、モールツアーで出会ってくれた人もいると思う。出会ったきっかけはなんでもいいんですよ。そんなみんなが今日、ここに集まってくれたことが私は何より嬉しくて、幸せです。ここにいる全員と話をするように歌うので、ぜひ受け取って帰ってください」と挨拶。「全部を忘れて、一緒に楽しめたらなと思います。全員で最高の1日を作っていきましょう」と呼び掛けたあと、“I love you , BABY…一瞬だってひとりにはさせない”という印象的なフレーズから始まる「Garbera」へ。自身が作詞作曲した等身大のラブソングはシンガーソングライター・asmiの真骨頂。



さらに、「この曲で出会ってくれた人もいるかな?」と語った「memory」、鈴の音がクリスマスムードを引き連れてくる「wish」と切ないウィンターラブソングを続けると、「今の私なりに平和を思って描いた」と解説した「Mon Star」では、争うばかりで滅亡間近となった地球から脱出する人々を目にしながらも“どんなにイヤミなmonsterだって 愛でほぐして笑い合おう”というフレーズに辿り着く。キャンディのように甘く愛らしい歌声で放たれる彼女の音楽の根底には共通して“愛”とユーモアがあり、大きな意味ではすべてがラブソングであることを再確認させられた思いがした。



ここで、ステージ上の巨大なハンガーラックに飾られていた衣装を1つ手に取り、ドアの向こうでリボンタイのついた白いブラウスに着替えた彼女は、ピアノバラード「ずっと」をエモーショナルに歌い上げると、「みんなには大切な人はいるでしょうか?」と語りかけながら、ソファへと移動。「普通に生きてたら、怒ったりとか憎んだりとか、どうしても起きちゃうと思うんですよ。でも、誰かを思うあったかい気持ちだけは大切に大切にしていきたいし、みんなにもそういう気持ちになってほしいなと思います。少し前に書いた曲なんですけど、昨日、恋をしたばっかりみたいな、大好きな気持ち、私の素直な気持ちで歌います」と話した「例えば」は、心の中の感情を思い切って吐露するかのようなブレスから始まるR&Bバラード。かわいくてポップなだけでなく、自身の内面を曝け出し、その時期の自分のリアルな心情を刻み込んでいく覚悟や苦悩もはっきりと伝わってくるパフォーマンスとなっていた。



2020年にフィーチャリングで参加したRin音「earth meal feat. asmi」のリアレンジバージョン「earth meal」では再び手拍子が起き、“何があってもふたりでいようか”というフレーズを観客と一緒に歌うと、サプライズゲストのRin音が勢いよくドアを開けて階段を駆け下りて登場。会場から驚き、喜びの声が上がるなかで、Netflixのコメディドラマ「離婚しようよ」のW主題歌「Good Bye」「Fruits」で観客のテンションを一気に引き上げると、スパンコールが煌めくトレンチコートへの着替えをはさみ、<何はともあれ>と<なにわともあれ>のダブルミーニングになっている大阪の恋の歌「大阪ランデヴ」では盛大なクラップが鳴り響く。2022年の最大のTikTokバズ曲「PAKU」では、みんなで掲げた手を開いて結ぶフリで楽しみ、見事なまでに観客と一体感溢れる空間を作り上げた。





「みんなとパクってするのがおもろーて、おもろーて、しゃーない」と笑顔を見せたあとは、「次は、私の大好きな地元、大阪の歌です」と話したあと、改めて自己紹介をするように、ゆっくりと語り始めた。



「私、asmiは2001年1月に大阪の上の方で生まれました。4歳上の姉がいて、4人家族。すくすく育ててもらって、こんなに大きくなったんですけど、高校3年生になって、進路を決めないといけないときに、私は将来の夢はまだまだピンとこーへんなと思って。大学に行って、夢を探そうという道を選んで、準備を進めてたんですけど、高校3年生の秋に、ある人に出会って、『あなたは歌を唄った方がいい。ええ声してるよ』って言ってもらって。そこで初めて、『……え?待って、私って歌をうたいたいやん』って初めて素直になれて。その瞬間に覚悟を決めたんです。歌うために1回、頑張ってみようって。そして、2019年春にasmiとしての活動が始まりました」という言葉から、ライブのお客さんが1人だった1年目を経て、人と人の出会いが曲に繋がっていった2年目、その1曲1曲が「今、ここにいるみんなに出会わせてくれた」という現在に至る4年半の道のりを振り返り、スタッフやいつも応援してくれるファンのみんなに感謝の気持ちを伝えると、会場からはこの日1番の大きく温かい拍手が送られた。



さらに、「こんな景色見ちゃうとね、最高すぎるから、もうこれでいいやんって思ってしまいそうになるけど、そうじゃないんです。今日は正直、通過点に過ぎないというか。もっと大きなところにみんなを連れて行きたいなと思っています。私の一番大きな目標は京セラドームです。もう、みんなのことを連れていけると思ってる」と未来に対する決意を口にし、「Call me」で終電で好きな人に会いにいくビターなラブストーリーを紡ぐと、本編のラストはアニメ『うる星やつら』のOPテーマでボーカルとして参加したMAISONdes「アイワナムチュー」、『ポケットモンスター』のOPテーマ「ドキメキダイアリー」というみんなで盛り上がれるアッパーチューンを続け、観客の手と声が上がるなかで本編は明るくハッピーなエンディングを迎えた。



アンコールの拍手が鳴り止まないなか再びステージに登場したasmiは、TVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』のEDテーマで最新シングル「破壊前夜のこと」を披露。東京の冬を舞台にした叶わない恋をテーマにしたメロウなラブソングで、場内は切ないながらも温かいムードで満ちた。最後に改めて、「今日はみんながここに集まってくれて、本当に私は幸せでございます。バンドでもないし、グループでもないから、ひとりぼっちやなと思うことがあって。けど、みんなの存在を大きなものとして意識し始めてから、私、ひとりぼっちと思わなくなりました」と感謝を伝え、「だから、離れないでもらいたいです。asmiとみんなでチームなので、私、1人にされたら困ります。離れないように頑張るし、幽霊部員にはさせないので、これからもついてきてほしいです」と続け、最後にドラマ「マイ・セカンド・アオハル」の挿入歌「開青」を伸びやかに力強く歌い上げ、観客1人1人に明日を生きる勇気を送り、asmiとして歌い始めた4年間を網羅したクローゼットは閉じられた。シンガーソングライターとして、ボーカリストとして、この先、さらにステップアップしていくんだという確かな決意をひしひしと感じるライブだった。



■asmi special live「Wonder Closet」東京公演セットリスト

M1. ヨワネハキ(MAISONdes)

M2. 妄想脚本執筆活動

M3. BLACK COFFEE

M4. Gerbera

M5. memory

M6. wish

M7. Mon Star

M8. ずっと

M9. 例えば

M10. earth meal

M11. Good bye feat. asmi(Rin音)

M12. Fruits feat. asmi(Rin音)

M13. 大阪ランデヴ

M14. PAKU

M15. Call me

M16. アイワナムチュー(MAISONdes)

M17. ドキメキダイアリー

<アンコール>

M18. 破壊前夜のこと

M19. 開青

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