作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。今回は、今年出会ってよかったお土産についてつづってくれました。

第112回「美味しかったお土産2023!!」

今年も、残すところあと1か月。正月から年末までのスパンが年々短くなっていく恐怖よ。二拠点生活をはじめてからは、衣替えさえ間に合わないくらいに季節があっという間に変わっていく。こういうエッセーを書いているとさぞかし丁寧な生活をしているのだろうと思われるけれど、そんなこともない。でも、梅干しをつけたりジャムを作ったり、自分の譲れないところにおいては時間をたっぷり使う。そうやってバランスをとりながら、「好き」を守っていけたらいい感じにいられそうだ。

今年はコロナという文字を忘れられるくらいに、いろんな方に会ったし、いろんな場所へと出かけることができた。一年を振り返りながら、忙しい日々を助けてくれた食品や、旅の中で出合ったこれ美味しかった! というお土産を紹介したいと思います。

●忙しい日も助かる「雲仙きのこ本舗」詰め合わせセット

まずは、これ。忙しい日にかなり活用させていただいた。「雲仙きのこ本舗」の詰め合わせセット。

宣伝でもなんでもありません。知人にお中元でいただいて食べたら、素直に美味しくて、元気も出るので愛用するようになった。どれも保存料や添加物を使わず、きのこがたっぷりなのも嬉しい。麺シリーズのなかで特に、ほかほかやさしいにゅうめんの「養々麺」が好き。ここに私は予め茹でておいた白菜とか小松菜を入れて一緒に食べている。打ち合わせが入っていたりして忙しい昼なんかは、非常に助かっております。

即席麺を食べることは今までほぼなかったんだけど、こんなに胃袋にやさしくて満足感のある商品があるんだなあと驚いてしまった。ぜひお試しあれ。

●いつも買っておきたいうどんとお味噌

麺といえば、今年の春にイベントで埼玉県深谷市にあるオーガニックスーパーのハーズへ行ったときに「どんちゃんふぁーむの地粉うどん」という乾麺を発見。これ、おいしいですよと友人が言うので買ってみた。時間をかけてしっかりと茹でていくと全体にとろみが出てきて麺がもっちりしてきた。全粒粉のうどんなので、茶色っぽい色をしているのだけれど、こんなに地粉の味がしっかりするうどんは初めてだった。うまい!! めちゃくちゃうまい! つやつやしすぎてない、大地の味わいでお汁も全部飲み干しだのだった。美味しすぎて、ああもっと買っておけばよかったーと思うお土産、ときどきあるよねえ。

そのときにお土産でいただいたのがヤマキ醸造の玄米味噌「御用蔵」だった。普段は自分で作ったお味噌を食べているのだけれど、味噌汁にさっそくこの玄米味噌を使ってみる。ふくよかで深い味わい。ご飯の他は味噌汁だけで十分といえるほどの満足感だった。市販のお味噌は加熱処理していることも多いけれどこれは生味噌で、酵母が生きている。また、保存料や添加物なども入っておらず、さらに原料の麹米や大豆は有機栽培ということで本当に丁寧に作られたお味噌だ。いつもは愛媛の家の米味噌と東京で作ったの豆味噌をブレンドして味噌汁を作っていたけど、これはブレンドなしでも深い味わいになる! 職人さんたちの情熱と明治時代からの歴史がなせる技だなあと思ったのだった。

●香ばしくてハマったピーナッツバター

それから、私が最近はまっているのがピーナッツバターなのです。初夏に母と名古屋へ旅したときにいただいたモーニングのきなこのピーナッツバターが美味しくて美味しくて、お土産にどっさりと買って帰った。そのお店がBUCCYO COFFEEの「煎り大豆クランチ入りきなこバター」だった。40%が大豆で、添加物や精製砂糖を使わずに作られている。ざくざくとしたクランチの大豆がアクセントになって濃厚なきなこバターだけど香ばしく食べやすい。朝食はもっぱら米派だったけれど、しばらくパン派になったのだった。

ピーナッツバターといえば、数年前に茅ヶ崎の旅館の朝食で出てきたピーナッツバターとほうれん草の和物が美味しかった。神奈川の秦野のピーナッツバターだと教えていただいたがどこの商品かは聞き忘れた。そしたら今年、友人がお土産に秦野のピーナツバターをくれた。芳甘菓豆芳の「ピーナッツバター瓶入り無添加」という商品。国内産の落花生をそのままペーストにしている。砂糖もミルク等も入っていなくて、どっしりとピーナッツそのもの! パンに塗る以外にも蒸し野菜と和えても美味しく、重宝している。

 

落花生の聖地、千葉県のピーナッツペーストも負けちゃいない。自然食のスーパーへ行ったときあまりにピーナッツペーストが多くて迷ったので店員さんにオススメを聞いたところ、「個人的に僕はここのピーナッツバターが一番好きなんですよ」と瓶を差し出してくれた。それが千葉県オオノ農園の「落花生100%ペースト」だった。濃厚でピーナッツ本来の甘味もあり砂糖なしでも十分に満足できる。落花生だけの商品はカチカチなことが多いけれど、ピーナッツオイルが入っているのでパンにも塗りやすくあっという間になくなったのだった。ハチミツと混ぜてもこれまた絶品でした。

ということで、今回はこの一年にいただいたお土産シリーズの特集でした〜。

本連載をまとめた書籍『暮らしっく』(扶桑社刊)が発売中。