「もう恋愛で失敗したくないのに…」初デートでうっかり飲みすぎた36歳女。その時、男は…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:デート帰り。タクシーで「家まで送るよ」と男が言っても、女が家のちょっと前で降りたら…
誰もいない玄関の扉を開け、「ただいま」を言ってみる。
もちろん、返答なんてない。
「まさか…!!」
仕事終わりから、何度もチェックしていたスマホ。ようやく届いたメッセージを心を弾ませながら開く。
「違う…」
届いていたのは広告系のお知らせで、私が待ち侘びている洸平からの連絡ではなかったので肩を落とす。
ここ最近、パタリと連絡が来なくなってしまった洸平。いい感じだったのに、どうして急に連絡がなくなってしまったのだろうか…。
Q1:男は最初、どういう気持ちで挑んでいた?
洸平とは、女友達の由香里を介して出会った。
由香里は洸平と別の食事会で会った。でも「真央が絶対に好きな感じだから!!」と、すぐに食事会をセッティングしてくれたのだ。
「ひと目見た時からわかったの。100%、真央のタイプだから」
由香里が自信満々で勧めてくれただけあって、『W AOYAMA The Cellar & Grill』に現れた洸平を見た時は、思わずよろめきそうになった。
丸の内にある大手インフラ系企業に勤務している33歳の洸平は、とにかく私のタイプだった。
高身長で、薄めの塩顔。爽やかな雰囲気なのに、実はガッツリ体育会系だという、ピンポイントすぎる好みまで当てはまっていた。
― ヤバい…なんだこの人は。
全身を稲妻に打たれたような衝撃が走る。
しかも嬉しいことに、洸平は独身で結婚願望もあるという。
「洸平くん、そんなに若いのに結婚願望があるの?」
「いや、そんな若くないですから(笑)真央さんとほぼ変わりませんよ」
「いや、でも私もう36だし…」
しかも洸平には言えないけれど、早生まれなので来年2月で37歳になってしまう。
「年上とか、どうですか…?」
「僕ですか?年上、好きです!」
眩しい。洸平の顔がタイプ過ぎるからなのか、若さゆえなのか…とにかく眩しくて、私は思わず目を細めたくなってしまう。
「真央さんは?どういうタイプが好きなんですか?」
― あなたです!!
そう食い気味に答えそうになるが、私はグッとおさえる。「ポルチーニ茸のスクランブルエッグ」を一口食べて、冷静さを取り戻してから答えた。
「頼り甲斐があって、優しい人かな」
「頼り甲斐ってどういうところで感じるんですか?」
「ふとした瞬間かな。洸平くんは?どういうタイプが好きなの?」
「僕は明るくて笑顔が可愛い人、かな。あとリアルに、年上の方も好きです」
2回も「年上も好き」と言ってくれるのはどういう心理なのだろうか。
― これって、私のこともちゃんと恋愛対象に入っている、ということだよね?
前の彼氏と別れて、もう2年が経つ。胸が高鳴るけれど、むしろ「好き」という感情が久しぶり過ぎて、どうすればいいのかもわかっていない。
そしてお酒が入ってきたせいなのか、急に洸平が私を見つめてきた。
「真央さんって、めっちゃ肌綺麗ですよね。そもそも美人だし」
「そんなそんな」
「今度、食事に誘ってもいいですか?もちろん二人で」
「も、もちろん!」
― ヤバイ、好き過ぎる…どうしよう。
次に会う約束の日まで、私の心はずっとフワフワとしていた。でもその間も、色々と気を使ってはいた。
LINEの頻度も、重くならないように洸平から連絡が来た時だけ返すようにしたり、デート当日に向けて腹筋の回数を増やしたり…。
そんなことをしているうちに、あっという間に初デートの日がやってきた。
Q2:初デートで緊張した女。飲みすぎたのがやっぱりNG?
そして迎えた初デート。緊張しながら待っていると、洸平がやって来た。登場した瞬間から、今日もかっこいい洸平に目が眩む。
「お待たせしてすみません!」
「全然。早く来ちゃっただけなので」
「洸平くん、スーツなんだね」
「今日は仕事で人と会っていたので」
どこまで褒めていいものなのだろう。あまりにも好き好きオーラを発すると、逆にウザがられる気もする。
でも、次の洸平の言葉で、また私の平常心は吹き飛ばされた。
「真央さんは、今日も可愛いですね」
― これは反則でしょ…!!
どうしても、洸平とうまくいきたい。ただそう思えば思うほど、どうやって動いて良いのかがわからなくなる。
そんなことを考えているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまった。
「真央さん、よければもう1軒行きませんか?」
「もちろんです!」
でも、ここで私は完全にやらかしてしまった。楽しすぎて、うっかり飲みすぎてしまったのだ。
2軒目のバーはいいムードのお店で、思わずペースも早くなる。
「真央さんって、今彼氏いないんですよね?」
「うん、いないよ」
本当にいない。だから私は洸平とどうにかなりたい。でも「ここで焦っても、いいことは何もない」と、経験上知っている。
それにさっきから、洸平は肝心なことは何も言ってきてくれない。何を考えているのか、わからない。
― 洸平は、私のことをどう思っているのだろう…。
この歳になると、傷つきたくない。
確実な勝負でないと、そもそも土俵にも上がりたくない。
恋愛で傷つくのがどれほど辛いか。そしてその傷を癒やすのに、どれほどの労力と時間を費やすのか…。
残念ながら、36歳の私は知っている。
恋愛で傷つくことに恐怖なんてなかった若い時の勢いは、今はどこにもない。
「真央さん、大丈夫ですか?」
洸平の声ではっと我に返る。
「うん、大丈夫。ちょっと酔ってきちゃったかも…」
気がつけば、ワインボトルが二人で1本空いている。お酒は弱いほうではないけれど、強いほうでもない。緊張してつい、飲みすぎてしまった。
「酔っ払った真央さん、可愛い」
「そんなことまた言って…。洸平くん、毎回女性にそんなこと言ってるの?」
「真央さんだけですよ!こんなこと、誰にも言いませんから」
「そうかなぁ〜なんか信じられない」
そんなことを話しながら、気がつけば手を繋いでいた私たち。距離も近いし、私の心臓の音がバレないか不安になるほど、ドキドキしている。
― あれ?これってかなりいい感じなのでは…?
そう思いながら、私たちは2軒目のお店を後にして一緒のタクシーに乗り込んだ。
でもそこからは何もなく、タクシーで家の下まで送ってくれた洸平。
「じゃあ真央さん、またね。気をつけて帰ってね」
「ありがとう。またね」
笑顔で手を振りながらも、次の展開を期待していた。このまま、もう付き合う流れかと思った。
でも蓋を開けてみればこの日以降、洸平からの連絡は急にそっけないものになってしまった。
だからといって、私が追いかけて、返信が来なくてひとりで悶々と悩んだり、惨めな思いをするのは耐えられない。
結局私は、ただひたすら洸平からの連絡を待っている…。
▶前回:デート帰り。タクシーで「家まで送るよ」と男が言っても、女が家のちょっと前で降りたら…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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酔っ払った女に対して男が思っていたことは