日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「なんとか修復しようと努力をしていた自分がかわいそうだった」と涙を浮かべる綾子さん(仮名・50代)。20年を超えるレスの夫婦生活は苦しい思い出ばかり。夫の職場不倫を止めようとしたら、愛人からの嫌がらせをされたお話です。

なにこれ、嫌がらせ?ピンクの箱のプレゼント

二人目の子どもを出産した直後、夫の二度目の浮気が発覚。相手は職場のB美で、高熱を出して寝込む妻子をほったらかし、仕事をさぼってデート。別れさせようと義理の両親が奔走するなか、愛人のB美が綾子さんの自宅に押しかけてきました。

●離婚回避は、自分ではなく子どものため

一度目も二度目も、夫の浮気は綾子さんの産後。「私が行為を拒否していたわけではないのですが、育児に必死でそういう雰囲気にはなりませんでした。ただ、産後の女性ってみんなそうなんじゃないかな…」と振り返る綾子さん。
義理の両親はとにかく「子どもたちのためにもなんとかやり直して!」と必死だったといいます。

「一度目の浮気相手のA子のとき、『別れる、別れる』って言いながら、結局コソコソ会ったりしていて、あれがけっこう堪えたんです。だから、もう二度は耐えられないという話をしたのですが、義理の両親が離婚回避するためならなんでもするというくらいの勢いで。夫は一人っ子だからか、親の言うことは絶対みたいな部分がありました。だから、離婚しないための苦肉の選択肢がいくつか挙げられて、そのうちの一つが夫の転職だったんです」

●愛人と別れるために会社を辞めることになった夫

職場不倫を止めさせるために、夫は義理の父が営む工務店へと転職することに。

「義理の父とそのお兄さんが二人で経営している小さなサッシ屋さんなんですが、従来の年収を維持する形で、私たちの生活へ影響が出ないように義父がいろいろ配慮してくれたんです。そこまでしてくれるなんてありがたいけれど、夫自身から夫婦関係を維持したいという強い気持ちは感じられず、不安は残りました。けれど、この時の私にとっては、この提案がベストだと思って、離婚はしないことにしました」

夫は結局、不倫のことが社内の人にバレることもなく、ひっそり退職することに。表向きは「家業を継ぐことになった」とか調子いい話をしていたとか。

●夫が送別会でもらってきたピンクの箱

しかし夫にとっても新卒からずっと勤めていた会社だったので、いざ辞めるとなってからは少し寂しそうな様子。部署のメンバーから贈られたという色紙や花束、ずっと一緒にがんばってきた同期や親しい同僚からの贈り物を持ち帰ってくる日が続きました。

「夫が社内でこんなに愛されている存在だったことを知って、辞めさせしまうことに胸が締めつけられる思いもあったんです。あの箱をあけるまでは」

綾子さんが言う「あの箱」とは、送別の品の中でもひときわ目立つピンクのラッピングが施された小さなプレゼント。中をあけてみるとトランクスが出てきました。

「カードが入っていて、B美からでした。『そんなもの持ち帰ってくるな! キモイ、捨てなさい』と言って、速攻でゴミ箱へ入れてやりましたけれど、本当に気持ち悪かったです。この時は、頭に血が上ってあまり深く考えなかったけれど、これって嫌がらせなのかな? 思い出すだけで腹が立ちます」

夫本人は「ごめん、気がつかなかった」とすっとぼけるばかり。しかし愛人からの嫌がらせはまだ続きました。

●退職後にも送られ続けた年賀状

退職した年には、なんとB美から年賀状が送られてきたのだそう。

「義理の父の会社を調べたんでしょうね。家じゃなくて、会社宛に送られてきたんですよ。新年早々縁起でもない。『私も新しい彼氏をつくって、幸せになろうと思います』的な未練タラタラな内容が書かれていてドン引きでした。いつまで粘着されるのかなって」

気分が悪くて、縁切りで有名な都内のお寺にお参りに行ったりもしたそう。そんな甲斐もあって、この年賀状以降はなにもなくなったといいます

●浮気が終わると、また夫に求められた。けれど…

レスは夫の浮気の終焉とともに解消。ムラムラすると距離を縮めてくる夫に、綾子さんは嫌悪感を抱きました。

「したくないわけじゃなかったんです。夫を愛していたときは、むしろ体の関係がないことを寂しく思っていました。けれども、二度の浮気の原因は産後レス。また同じことを繰り返したくないという気持ちが上回っていました」

レスは解消できるのか? 夫の浮気癖は治るのか? 綾子さんの10年後の答え合わせのお話はまた次回したいと思います。